中国のIPO資金調達額、米の2倍で世界一  日本は圏外
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中国のIPO資金調達額、米の2倍で世界一 日本は圏外

今年、中国のIPO資金調達額が米国の2倍となり、世界一であることが判明した。米国での上場廃止に伴う中国本土企業の上場と、中国政府の「先端技術」支援の姿勢が追い風となった。

吉田拓史

今年、中国のIPO資金調達額が米国の2倍となり、世界一であることが判明した。米国での上場廃止に伴う中国本土企業の上場と、中国政府の「先端技術」支援の姿勢が追い風となった。

香港紙SCMPが引用した会計事務所デロイトのデータによると、世界最大の携帯電話会社チャイナモバイルや中国最大の海洋掘削会社CNOOCによる大型案件を含む68件のIPOがあり、上海証券取引所での資金調達額は2,543億香港ドル(約4兆3,800億円)に達し、1年前に比べて49%増加した。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しているが、同様の上場廃止リスクに直面している太陽光発電メーカーのジンコソーラーとともに、上海は上半期に世界のトップ10 IPOのうち3つを獲得した。

2位は深セン証券取引所、3位は韓国証券取引所で、それぞれ1210億香港ドル(約2兆800億円)、899億香港ドル(約)の資金を調達した。ナスダックは7位、香港は9位、NYSEは12位にランクインしている。日本は言及されていない。

チャイナモバイルとCNOOCは、人民解放軍との関係が指摘され、米国防総省のブラックリストに掲載された後、上場廃止となった。上海に拠点を置くジンコソーラーは、2021年末に可決された法律に従って、米国の監査規制当局が3年連続で中国での監査人の記録を検査できなかった場合、米国の証券取引所から早ければ2023年に上場廃止になる可能性があると、米国の証券監視当局が指摘した120社以上の中国の発行体の中に含まれている。

デロイトは、SCMPに対して通年で、ナスダック中国版である上海のスターマーケット(科創板)での資金調達額は、160ものIPOから2300億元(342億米ドル)~2600億元に達すると予想している。一方、上海と深センのメイン市場では、80から100のIPOが行われ、合計で1400億元から1700億元を調達する可能性があるという。

デロイトは、今年の香港のIPOによる資金調達額について、4月に発表した約3300億香港ドルという予想から、1600億〜1800億香港ドルになると予想している。また、取引件数は120件から70件に減少するとの見通しを示した。

一方、フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が引用したDealogicのデータによると、今年、中国の新規株式公開による資金調達総額は350億ドル近くに達しており、これに対しウォール街では160億ドルにとどまっている。中国証券当局は、上海証券取引所に職員を派遣し、昼は上場申請者をテレビ会議で尋問し、夜は簡易ベッドと膨張式マットレスで寝泊まりさせたという。

FTが取材した上海の金融関係者によると、投資銀行は今年、数カ月間、顧客のオフィスにスタッフを常駐させ、検疫に引っかかったり、現地でのデューデリジェンスができなくなったりしないよう努めたという。

このような努力の結果、規制にもかかわらず、ディールメーキングの猛烈なペースが確保され、中国ではロックダウン中の1取引日に平均して1社以上のIPOが行われた。4月初旬から5月末までの間に、投資銀行は47件の公募増資を行い、87億ドル以上の資金を調達した。

上海に拠点を置くある株式資本市場のバンカーは、FTに対し、政策立案者が「先端技術」の企業による株式公開を推進した結果、「市場の回復の中で、企業はより高いバリュエーションでの上場を追求し、生産を拡大し市場シェアを獲得するための資金を調達できるようになった」と述べている。