技術は進歩しても人類は進歩しない
Photo by Riku Lu on Unsplash

技術は進歩しても人類は進歩しない

インターネット、スマートフォンは我々の生活を劇的に変化させた。その一方で、偽情報、部族化、フィルターバブル、誹謗中傷、過激な主義主張の台頭のような膨大な問題を生み出している。この負の側面を直視すべき時を迎えている。

吉田拓史

インターネット、スマートフォンは我々の生活を劇的に変化させた。その一方で、偽情報、部族化、フィルターバブル、誹謗中傷、過激な主義主張の台頭のような膨大な問題を生み出している。この負の側面を直視すべき時を迎えている。

英テクノロジーメディアThe RegisterのコラミストのMark Pesceが「40年間技術に携わってきて、私はすべての技術革新は暗い側面を含んでいると思うようになった(After 40 years in tech, I see every innovation contains its dark opposite)」というコラムを書いている。これは40年の経験に根ざした重要な知恵を与えてくれており、僕の心を打った。

1982年にソフトウエアエンジニアとして仕事を始めたPesceは、キャリアの最初の10年間を、さまざまな通信機器用のファームウェアを書くことに費やしたという。そのキャリアの途中では、RSA SecurIDの最初のバージョンで、今日使われている多くの二要素認証システムの原型となったものも作ったという(いわゆる、1分毎に1回のみ利用できるワンタイムパスワードを生成するシステムのことだ)。

やがて、PesceはTCP/IPのコーディング方法を学び、ウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』に触発された、インターネットへの仮想現実のインターフェースという、独自のアイデアを夢想していたという。

ちょうどその時、大きな技術革新が生まれようとしていた。「私がこの研究に取り組んでいた頃、地球の裏側ではティム・バーナーズ=リーが、世界中のすべてのコンピュータをハイパーリンクでつながった単一のリソースにするためのプロトコルを開発していた」

1990年代末の5年間は、テクノロジーの面ではカンブリア紀の大爆発のような時代だった。より多くの情報がサイバースペースに入ってくるようになり、情報はよりアクセスしやすく、共有しやすくなった。情報の不足から過多の時代へと一気に移行したのだ。

2000年初頭、Web1.0バブルが崩壊し、すぐにマネタイズできないアイデアはほぼ一掃されることになった。そのあとにFriendsterが現れ、ソーシャルメディアは、まるでもうひとつの革命のように感じられた、とPesceは綴っている。

しかし、それは序曲に過ぎなかった。スマートフォンが登場したからだ。「2007年1月、スティーブ・ジョブズが最初のiPhoneを持ってステージに上がった日から、地球上の成人の半数がスマートフォンを所有するまでに、わずか12年しかかからなかった」

ただし、Pesceはこの驚異的なスマートフォン革命が生み出した負の側面に着目している。「私たちはもはや、これらのスクリーンから目をそらすことを望まない。点滅する光と連続する通知は、多くのことを約束しながらも、FOMO(取り残されることへの恐怖)、失望、ネガティブな感情を次々ともたらす」

「私たちはまだ、これらのデバイスを安全な距離で持つ方法、つまり自分自身を保持する方法を学んでいない。そのためには、考えたり感じたりするための時間と空間が必要だ」と彼は書いている。

「『指先ひとつで知識が得られる』という素晴らしさは、惑星規模の『無知増幅器』の基礎を築いた。ソーシャルネットワークを介した人間の大規模なハイパーコネクティビティは、部族を形成する我々の傾向を再認識させ、加速させた」

「私たちは、自分たちの強みが必然的に弱みに変わることを理解していないようだ。謙虚さがあれば、次の40年間を航海するときに悲劇を避けることができるだろう。私たちが知らないことを認めることができるスペースには、考えるための、感じるための、そして呼吸するためのスペースがある」と彼は結んでいる。

とても考えされられる内容だ。40年の歩みの中で技術が進歩し、社会に取り入れられた。その一つの影響として、現代が直面している無数の混乱が指摘されている。

技術は進歩しても人類は進歩しない、ということだろうか。人類は進化するのに非常に長い時を要する生き物である。このため、問題を解決するには、何らかの工夫が必要になるだろう。

そしてPesceが指摘している内容は、アクシオンが解こうとしている問題でもある。この会社は、現代人を、彼らが常時さらされている低品質情報から引き離し、長期的なウェルビーイングの世界へといざなうミッションに取り組んでいこうと考えている。

人類をあらゆる制約から自由にし、その幸福追求を最適化する
9年前、私はジャーナリストとしてインドネシアに拠点を置く日本の新聞社で働き始めました。 私はインドネシアの都市計画、産業インフラ、社会インフラ、マクロ経済、地域経済連携、そして日本のビジネス(インドネシアは様々な産業を含む日本のビジネスエコシステムのミニチュアを持っています)のような様々な分野での経験を積んできました。 学部を卒業したばかりの外国人ジャーナリストである私にとって、すべてが新しいものだったので何をするにもとても興奮しました。
ミッション:インターネットの情報流通を改善する「賢い節」をつくる
スマートノードとは、中央集中型の情報散布機能である「ブロードキャスト」から、人々を結んでいくつながりへと移行する情報世界のなかで、凝集するクラスタと協働する頑強な結節点たちのことです。