9月4週のニュースまとめ

9月4週のニュースまとめ

今週のトップニュース

米ビッグテック、競合企業を買い漁るRefinitiv社のデータをFTが分析した所によると、ハイテク企業は2021年に入ってから少なくとも2,640億ドルを投じて10億ドル以下の潜在的なライバル企業を買収しており、これはドットコムブームの2000年に記録された過去の記録の2倍にあたるという。

米国・欧州

  1. IC Insights社によると、今年のファウンドリ総売上高は初めて1,000億米ドルを突破し、2025年まで年平均11.6%の力強い成長率で増加を続け、ファウンドリ総売上高は1,512億米ドルに達すると予想されている。
  2. テスラ愛好家のツイートによると、初めての蓄電池「MegaPack」用のメガファクトリーの起工式が行われたとのこと。それだけ需要があることの証明で、蓄電池を利用した冗長性の確保された電力系統のほか、再エネ、VPP、電力オークションなどが発展していく趨勢を示している。
  3. Facebookマーケットプレイスには10億人のユーザーがおり、同社にとって最も有望な資金源の一つとなりそうだ。しかし、Propabulicaの調査では、買い手と売り手が詐欺出品、偽アカウント、暴力犯罪から保護されていない状態だと明らかにされた。
  4. 司法省が主導する委員会は、Zoomが約150億ドルを投じてFive9を買収したことを調査しているとWSJが報じた。Five9を買収した際に発生した許認可申請を審査する必要があるという。
  5. Googleは、ニューヨーク市マンハッタンのオフィスビルを21億ドルで購入すると発表。延べ床面積130万平方フィート。莫大な現金を持つビッグテック企業は、オフィスビジネスの最大の買い手・借り手になっている。
  6. 時価総額330億ドルのフィンテック企業であるRevolutは、米国で手数料無料の株取引を開始すると発表。収益化方法は小口投資家の注文を引き渡すマーケットメーカーからのキックバックでロビンフッドと同じ。
  7. ロビンフッドが仮想通貨ウォレットをのテストを開始すると発表。ウォレットから取引所開設までがセットと見られ、コインベースのライバルになるかもしれない。
  8. Appleはうつ病、認知機能低下を検出するためにiPhoneの機能に取り組んでいるとWSJ。Appleが、ストレス、不安、うつ病を研究しているカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)や、軽度認知障害を研究している製薬会社バイオジェンとの研究提携が進展している。
  9. 米連邦取引委員会(FTC)は2019年7月、個人情報の管理に著しい不備があったとしてFacebookに50億ドル(約5,400億円)の制裁金を科したが、株主らは、FBがマーク・ザッカーバーグを個人的な責任から守るために、FTCが当初求めた金額よりも49億ドルも多い金額を支払ったと主張し、訴訟を起こした。

中国・アジア

  1. 9月23日まで中国政府が中国恒大を救済するという確実なニュースは出ていない。同社の危機は期せずして2007〜2008年の米金融危機以来の世界金融システムのストレステストとなっている。
  2. 中国恒大問題で揺れる中国不動産開発業界、米事業抱える大手も経営難。中国恒大以外にも海の藻屑になる不動産業者がありそうだ。中国政府はバブルがひどくなる前に弾けさせようとしているようだ。
  3. 中国の習近平国家主席は21日、同国が他国で石炭火力発電所の新規建設を停止する計画だと国連総会で表明した。石炭火力にとって国際的な最後の資金源の一つがなくなる恐れがある。
  4. 中国メディアの界面新聞は、テンセントが今週中に検索大手Sogouの合併を正式に発表すると報じた。合併により、テンセントはSogouの事業と従業員のほとんどを吸収することになる。
  5. 自律走行用コンピューティング・チップを開発するブラック・セサミ・テクノロジーズ(黑芝麻智能)は資金調達を完了し、企業価値が約20億米ドルに達した。
  6. ByteDanceは「Xiaoquxing」という子供向けの教育短尺動画アプリをリリースした。このアプリの開発は、Dali Educationの子会社が担当している。
  7. Didiのプレジデントであるジーン・リューは、一部の親しい関係者に退任の意向を伝えたと、この件に詳しい2人の関係者が語った。一部の関係者に対して、政府が最終的にDidiの経営権を取得し、新しい経営陣を任命することになるだろうと話していたと、2人の関係者は述べている。
  8. 深圳に拠点を置く倉庫用ロボットのスタートアップ企業であるHAI ROBOTICSは、新たに総額2億ドル以上の資金を獲得したことを発表した。今回のラウンドにはセコイア・キャピタル・チャイナなどが参加した。

インド

  1. インド政府は、122億ドル規模のインド史上最大のIPOを予定する国営保険大手、生命保険公社(LIC)の株式を中国の投資家が購入するのを阻止したいと考えていると、政府高官4人と銀行家1人がロイターに語った。ICはインド生保市場の60%以上を占め5,000億ドル以上の資産を保有。
  2. 1月から7月の間に828件ものベンチャーキャピタルによる出資が発表され、合計開示額は169億ドルだったと分析会社GlobalData。投資を受けた新興企業たちは数年後、株式市場デビューするだろう。
  3. 中国政府がスポンサーと見られるハッカー集団がインドの政府機関、メディア企業をハックした可能性があるとするセキュリティ会社の報告書が出た。国境紛争の次はサイバー戦争か。
  4. テンセントとソフトバンクのビジョン・ファンドは、インドのオンライン中古車販売会社Cars24に4億5000万ドルを投資するラウンドに参加した。企業価値は約20億ドルとのこと。

日本

  1. ソフトバンクグループは22日、ムニューシン前米財務長官が創設したプライベートエクイティ(PE)ファンド「リバティー・ストラテジック・キャピタル」(25億ドル規模)に投資することを明らかにした。投資額は未公表。
  2. 金融庁は22日、システム障害を相次いで起こしたみずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループに対して、業務改善命令を発令したと発表した。みずほがシステム障害で業務改善命令を受けるのは、2002年の発足から3度目となる。

📨ニュースレター登録

平日朝 6 時発行のAxion Newsletterは、テックジャーナリストの吉田拓史(@taxiyoshida)が、最新のトレンドを調べて解説するニュースレター。同様の趣旨のポッドキャストもあります。

[平日朝6時]デジタル経済の動向をまとめるニュースレター
あなたのビジネスや人生のための「先知」を提供します。

株式会社アクシオンテクノロジーズへの出資

10月1日から1口50万円の公募を行います。詳しくはこちら。

アクシオン、10月1日に1口50万円の第2回公募を開始|吉田拓史 株式会社アクシオンテクノロジーズ代表取締役|note
デジタル経済メディア「アクシオン」を運営する株式会社アクシオンテクノロジーズ(本社:埼玉県さいたま市、代表取締役:吉田拓史、以下「アクシオン」)は、10月1日に第2回公募を開始します。 今回の公募では1口50万円で個人投資家の投資を募ります。事前登録はこちらのフォームから。登録いただいた方に9月下旬から順次案内のメールを差し上げます。そのメールによって交渉・取引が開始されます(特に義務は生じません)。 【2021年10月】(株)アクシオン個人投資家ラウンド事前登録 登録を頂いた方には優先して投資ラウンドのご案内を行います。 forms.gle

クリエイターをサポート

運営者の吉田は2年間無給、現在も月8万円の役員報酬のみでAxionを運営しています。

  • 投げ銭
  • ウェブサイトの「寄付サブスク」ボタンからMonthly 10ドルかYearly 100ドルを支援できます。大口支援の場合はこちらから。
  • 毎月700円〜の支援👇
Betalen Yoshida Takushi met PayPal.Me
Ga naar paypal.me/axionyoshi en voer het bedrag in. En met PayPal weet je zeker dat het gemakkelijk en veiliger is. Heb je geen PayPal-rekening? Geen probleem.
デジタル経済メディアAxionを支援しよう
Axionはテクノロジー×経済の最先端情報を提供する次世代メディアです。経験豊富なプロによる徹底的な調査と分析によって信頼度の高い情報を提供しています。投資家、金融業界人、スタートアップ関係者、テクノロジー企業にお勤めの方、政策立案者が主要読者。運営の持続可能性を担保するため支援を募っています。

Special thanks to supporters !

Shogo Otani, 林祐輔, 鈴木卓也, Kinoco, Masatoshi Yokota,  Tomochika Hara, 秋元 善次, Satoshi Takeda, Ken Manabe, Yasuhiro Hatabe, 4383, lostworld, ogawaa1218, txpyr12, shimon8470, tokyo_h, kkawakami, nakamatchy, wslash, TS, ikebukurou 黒田太郎, bantou, shota0404, Sarah_investing, Sotaro Kimura, TAMAKI Yoshihito, kanikanaa, La2019, magnettyy, kttshnd, satoshihirose, Tale of orca, TAKEKATA, Yuki Fujishima.

Read more

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表 往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史
新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)