グローバリゼーションの終焉は何をもたらすか?

「ロシアのウクライナ侵攻は30年間のグローバリゼーションに終止符を打った」と、ブラックロック共同創業者兼CEOのラリー・フィンクは書いている。その後にあるのは新冷戦とインフレか。それともサステナビリティ投資の拡大と暗号通貨による新決済の時代か。

グローバリゼーションの終焉は何をもたらすか?
ブラックロックのCEO(最高経営責任者)であるラリー・フィンク. Photo by Bloomberg / Getty Images.

「ロシアのウクライナ侵攻は、過去30年間続いたグローバリゼーションに終止符を打った」と、世界最大の資産運用会社として10兆ドルを運用するブラックロックの株主に宛てた年次書簡で共同創業者兼CEOのラリー・フィンクは書いている。

Larry Fink’s Chairman’s Letter to Shareholders | BlackRock
Larry Fink’s Chairman’s Letter to Shareholders. Read about BlackRock’s strategy for long-term growth and delivering value for clients and shareholders.

ロシアのウクライナへの侵攻とそれに続く世界経済からの切り離しは、世界中の企業や政府に対して、依存関係を再評価し、製造や組み立ての足跡を再分析するよう促すだろう、と彼は予測している。

世界が冷戦から脱した1990年代初頭、ロシアは世界の金融システムに迎え入れられ、世界の資本市場にアクセスできるようになった、とフィンクは書いている。グローバル化の進展は、国際貿易を加速させ、世界の資本市場を成長させ、経済成長を促進させたという。

フィンクはその書簡の中で「サプライチェーンの大規模な方向転換は、本質的にインフレを引き起こすだろう」と書いている。シフトによって損害を受ける特定の国については触れていないが、フィンクは「メキシコ、ブラジル、米国、あるいは東南アジアの製造拠点が利益を得る立場に立つ可能性がある」と書いている。

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