メタ、ARデバイス用自社設計半導体の採用を延期か

メタは同社のスマートグラスの最新モデルで、独自のカスタムチップを作成することによってAppleのM1のような成功例を再現することを望んでいた。しかし、現在その計画は延期されているという。

メタ、ARデバイス用自社設計半導体の採用を延期か

メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)は、同社のスマートグラスの最新モデルで、独自のカスタムチップを作成することによってAppleのM1のような成功例を再現することを望んでいた。しかし、現在その採用計画は延期されているという。

米テクノロジーメディアThe Informationによると、Metaの第2世代Ray-Ban Storiesスマートグラスは当初、Brasiliaと呼ばれる同社の新しいチップを使う予定だったが、Metaの拡張現実担当副社長Alex Himelが、プロジェクトを軌道に乗せるために、より使い慣れたQualcommのチップに固執することを選択した。

クアルコムのXR2チップは現在、Meta Quest 2に搭載されており、他のほとんどのVRヘッドセットでもクアルコムが選ばれている。カスタムシリコンを手がけるMetaの社内グループ、Facebook Agile Silicon Team(FAST)は、もともとクアルコムの支配から抜け出す方法としてBrasiliaを設計したと、レポートは説明している。

それが採用されていれば、Brasiliaは指向性のあるオーディオや「Metaの現在のレイバンストーリーズが撮影できるよりも高品質な写真を撮影できる」といった特定の利点を提供する予定だったと、The Informationは書いている。AppleとGoogleがそれぞれM1とTensorチップで成功したことは、企業の他のハードウェアとソフトウェアのために特別に設計されたカスタム・シリコンがどんな能力を発揮するかを示す2つの実例である。

Metaは、将来のARメガネのために独自の「XROS」オペレーティングシステムを開発する際、同様の困難に直面した。同社は、ARとVRのハイブリッド・ソフトウェアを担当するチームを解散したと伝えられており、The Informationは、Metaの最初のARスマートグラスが、発売時には代わりにAndroidの修正版を使うことになると示唆している。

Metaのスマートウォッチ

Metaのスマートウォッチには、「Carson」(カーソン)と呼ばれるカスタムチップが使用されていると報じられている。。

Brasiliaで行われた半導体設計は、たとえすぐに目にすることができなくても、無駄になることはなさそうだ。The Informationの情報源は、特定の機能が将来のチップに引き継がれる可能性を示唆しており、Carson にも引き継がれるかもしれないという。

FASTチームは、Metaの広大なデータセンター・インフラ向けのカスタム・シリコンを開発する小規模なチームとは別に運営されている。このインフラチームは約150人で、機械学習用のチップやデジタルビデオのエンコードとデコードに取り組んできたと、この件に詳しい関係者は述べている。

「FASTの努力を複雑にしているのは、ライバルが地位を確立する前に新製品を素早く市場に投入し、機敏さを保ちたいというザッカーバーグの欲求だ。この要因はBrasiliaプロジェクトを終了させる上で決定的なものとなった」とThe Informationは書いている。Brasiliaの不採用の決定は、Metaのメタバース部門であるReality Labs内の一部の人々の不満と失望を招き、彼らは同社はBrasiliaに固執するべきだと主張したとされる。

クアルコムのXR担当バイスプレジデントであるヒューゴ・スワートは、3月のThe Informationとのインタビューで、メタとクアルコムは「非常に強いパートナーシップ」を築いていると述べ、クアルコムがメタの要件の多くを焼き付けてXR2チップを構築したことに言及していた。

Read more

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表 往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史