人種間で公平に動作する乳がん予測AI、MITが開発
MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究者は、米国、ヨーロッパ、アジアの患者間で一貫したパフォーマンスを示す乳がんリスク評価アルゴリズムを作成したと発表した。
MITコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究者は、米国、ヨーロッパ、アジアの患者間で一貫したパフォーマンスを示す乳がんリスク評価アルゴリズムを作成したと発表した。この新しいアルゴリズムは、将来の複数の時点における患者のリスクを共同で学習し、オプションで年齢や家族歴などの臨床的リスク因子を引き出すという、リスクモデリングの要件を満たしている。米テクノロジーメディアのVenture Beatが報じた。
報道によると、CSAILチームのアルゴリズムであるMiraiは、マンモグラフィ装置の選択など、臨床環境に応じて一貫した予測ができるように設計されており、マサチューセッツ総合病院(MGH)の20万件以上の検査のデータセットを用いて訓練された。マンモグラフィ画像はエンコーダに通され、画像がどのビューから来たかをラベル付けした画像表現が作成される。Miraiは、他のビューの他の画像の表現を集約して、マンモグラム全体の表現を取得する。マンモグラフィでは、タイラー・キューシックモデルと呼ばれるモデルを用いて、患者の従来の危険因子を予測する。この情報をもとに、Miraiでは、今後5年間の各年の患者のリスクを予測する。
報道によると、Miraiは、「付加ハザード層」と呼ばれるツールを使って、すべての時点で同時にリスクを予測するように設計されている。この層では、5年などのある時点での患者のリスクを、以前の時点(例えば4年)でのリスクの延長線上にあるものとして予測する。このようにすることで、モデルは追跡調査の量が変化するデータから学習することができる。リスク因子を必要とせずにその情報を活用するために、Miraiは学習時にその情報を予測し、それがない場合は独自の予測バージョンを使用する。マンモグラフィは豊富な健康情報源であり、年齢や更年期の状態など多くの要因を画像から予測することができる。この設計の結果、世界中のどのクリニックでも同じモデルを使うことができると研究者はいう。
研究者らによると、Miraiは、CSAILとMITのJameel Clinicの科学者チームによる2年前の手法を含め、MGH、スウェーデンのカロリンスカ研究所、台湾のChang Gung Memorial Hospitalの検査データセットを用いたリスク予測と高リスク群の同定において、従来の手法よりも「有意に」正確であったという。マサチューセッツ総合病院(MGH)の検査データセットの高リスク群を比較したところ、研究チームは、Miraiのモデルが現在の臨床標準と比較して約2倍の将来のがん診断を同定したことを明らかにした。Miraiは、MGH検査セットでは人種、年齢層、乳房密度のカテゴリーが異なる患者、カロリンスカ検査セットではがんのサブタイプが異なる患者においても、同様の精度を示したという。
Image via Adam Yala/ Youtube