会員獲得が鈍化するNetflixがゲーム事業に関心

鈍化する有料会員成長の刺激策

会員獲得が鈍化するNetflixがゲーム事業に関心

平日朝 6 時発行のAxion Newsletterは、デジタル経済アナリストの吉田拓史(@taxiyoshida)が、最新のトレンドを調べて解説するニュースレター。同様の趣旨のポッドキャストもあります。登録は右上の「Subscribe」ボタンから。

要点

Netflixはゲームへの参入が取り沙汰されている。動画と利用者の可処分時間を取り合うゲームを取り込むことができれば、鈍化している有料会員の成長を刺激できる可能性がある。


Netflixは、Netflix会員向けの新しいバンドルで、ゲーム分野にさらに進出する可能性がある。先月、The InformationはNetflixが新しいゲームの取り組みを監督する役員を雇用したいと考えており、Apple Arcadeのようなサブスクリプションで利用できるゲームバンドルを検討していると書いた。

Apple Arcadeは2019年に発売されたもので、多数の専用ゲーム(および時限的な専用ゲーム)が用意されており、月額4.99ドルで利用できる。

Axiosが情報源とした関係者は、Netflixの加入者に提供される予定のこのサービスを、ライセンスを受けたNetflixのIPと、インディーズスタジオに依頼したゲームの両方を含む、「小さなApple Arcade」のようなものだと考えていると述べたという。サービスの開始は2022年になる可能性があるとのことだ。

ただ、The Informationによると、Netflixは、ゲームを自社で制作したり、ゲームをテレビで動作させたりする取り組みを含む、他のアプローチを排除していないとのことだ。

Netflixは、これまでにもインタラクティブな映像体験やビデオゲームの実験を行っており、2018年には『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』を公開した。この映画では、アドベンチャーゲームのように物語の途中で分岐となる選択肢が出現し、主人公にどちらの行動を取らせるかを選択する。映像の途中で選択肢が10秒ほど表示されるので、そのどちらかを選び、物語の展開を選択していく。2020年には『アンブレイカブル・キミー・シュミット』のエピソードで同様のインタラクティブな体験を提供している。

さらに、Netflixは『悪魔城ドラキュラ』『バイオハザード』『ウィッチャー』(Netflix最大の番組のひとつ)など、現在公開中または制作中の人気ゲームを題材にしたタイトルが数多くあり、同社はビデオゲームのIPとしての価値を明確に認識している。また、Netflixは、『ストレンジャー・シングス』シリーズを題材としたゲームをサードパーティ開発者とともに制作したことがある。

Netflixがゲームに関心を持っていることは、ここ数年で明らかになっている。Netflixの契約数は、オリジナル番組の制作が遅れていることもあり、過去1年間でその成長が低迷しており、ストリーミング分野での競争は激化し続けている。同社は2021年第1四半期の業績報告において、全世界の新規加入者数が398万人となり、加入者数の伸びが鈍化したことを報告した。

Netflixは2019年に、最大の競争相手は実は『フォートナイト』であり、これがストリーミングサービスからプレイヤーを引き離す可能性の方が高いと明らかにしている。

ゲームがストリーミング利用者の時間を奪う存在であると同時に、ビデオゲームは最も急速に成長しているエンターテイメントカテゴリーであり、その収益は映画産業と音楽産業の合計よりも大きい。今週、Amazonがストリーミングゲームのサービスを米国のAmazon Prime会員に提供開始したが、これによりすべてのビッグテック企業はゲームビジネスに参入したこととなった。

ただし、Netflixの挑戦がどれほど難しいかは、GoogleのStadiaストリーミングサービスでの苦戦や、Amazonの社内ゲームスタジオでのわずかな成果を見ればわかるだろう。

📨ニュースレター登録とアカウント作成

ニュースレターの登録は記事の下部にある「Sign up for more like this」か右上の「Subscribe」ボタンからサインアップをお願いします。あるいはこちらから。

Special thanks to supporters !

Shogo Otani, 林祐輔, 鈴木卓也, Kinoco, Masatoshi Yokota,  Tomochika Hara, 秋元 善次, Satoshi Takeda, Ken Manabe, Yasuhiro Hatabe, 4383, lostworld, ogawaa1218, txpyr12, shimon8470, tokyo_h, kkawakami, nakamatchy, wslash, TS, ikebukurou 黒田太郎, bantou, shota0404, Sarah_investing, Sotaro Kimura, TAMAKI Yoshihito, kanikanaa, La2019, magnettyy, kttshnd, satoshihirose, Tale of orca.

寄付サブスク (吉田を助けろ)

吉田を助けろ(Save the Yoshi!)。運営者の吉田は2年間無休、現在も月8万円の報酬のみでAxionを運営しています。

月10ドル支援したいと考えた人は右上の「Subscribe」のボタンからMonthly 10ドルかYearly 100ドルご支援ください。あるいは、こちらからでも申し込めます。こちらは数量が99個まで設定できるので、大金を助けたい人におすすめです。

その他のサポート

こちらからコーヒー代の支援も可能です。推奨はこちらのStripe Linkです。こちらではない場合は以下からサポートください。

デジタル経済メディアAxionを支援しよう
Axionはテクノロジー×経済の最先端情報を提供する次世代メディアです。経験豊富なプロによる徹底的な調査と分析によって信頼度の高い情報を提供しています。投資家、金融業界人、スタートアップ関係者、テクノロジー企業にお勤めの方、政策立案者が主要読者。運営の持続可能性を担保するため支援を募っています。
Takushi Yoshida is creating writing/journalism | Patreon
Become a patron of Takushi Yoshida today: Get access to exclusive content and experiences on the world’s largest membership platform for artists and creators.

投げ銭

Betalen Yoshida Takushi met PayPal.Me
Ga naar paypal.me/axionyoshi en voer het bedrag in. En met PayPal weet je zeker dat het gemakkelijk en veiliger is. Heb je geen PayPal-rekening? Geen probleem.

Read more

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表 往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史