7月5週のニュースまとめ

ビッグテックは輪転機にまさる?

7月5週のニュースまとめ
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米国・欧州

  1. Apple, Facebook, Google (Alphabet), Microsoftの第2四半期の利益は668億ドル。4社合計の利益は前年同期のほぼ2倍。
  2. Appleは27日、2021年度6月期の業績を発表した。収益は前年同期比36%増の814億ドル、希薄化後の1株当たり四半期利益は1.30ドルとなり、過去最高を記録。
  3. Alphabetは2021年6月30日に終了した四半期の業績を発表。収益は619億ドル(前年同期比62%)、純利益は185億ドル。YouTubeの収益は、昨年比83%増の70億ドルを超え、Netflixの四半期収益73.4億ドルに迫る勢い。
  4. マイクロソフトは、今年の第2四半期に相当する期間である2021年度第4四半期の業績を発表した。この期間に462億ドルの売上高、165億ドルの純利益、2.17ドルの1株当たり利益を計上した。売上高は前年同期比で21%増加し、純利益は47%増加した。
  5. Facebookは、同社の第2四半期の業績を報告した。利益は、前年同期比で倍増し、103億9,000万ドル(1株当たり3.61ドル)となり、アナリストの予想を大きく上回った。収益は56%増の290億8,000万ドル。
  6. Appleは27日、7-9月期には供給制約がスマホにも広がるとし、36%の増収となった4-6月期から伸びが鈍るとの見通しを示した。Appleは今秋の新型iPhone発売に向けて準備を進めている。
  7. Spotifyの広告収益は、ポッドキャスト事業の成長に支えられ、直近の四半期で2倍以上に増加したが、総ユーザー数は予想よりも少ない結果となった。
  8. Shopifyは第2四半期の業績を報告し、収益は11億ドルで、ウォール街の予測を上回った。米国や欧州で実店舗が再開されても、オンライン小売は今年の残りの期間、力強い成長を続けるだろうと予測。
  9. 欧州最大の料理宅配Just Eat Takeawayの筆頭株主Cat Rock Capitalは、敵対的買収を避けるために、同社が株価を支える緊急措置を取ることを要求した。料理宅配はだいたい赤字で株価が下がってアクティビィストの触手が動き始める頃合いか。
  10. ソフトバンクグループは配車サービスの滴滴出行への投資損失を穴埋めするため、保有するウーバー・テクノロジーズ株の持ち分の約3分の1に当たるウーバー株4500万株を売却。[CNBC]が複数の関係者を引用して伝えた。

中国

  1. 当局のテクノロジー企業規制により、中国企業の米国預託証券(ADR)の値動きを示す米ナスダックのゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数は7月23日以降20%下げており、5,000億ドル相当の時価総額を失った。
  2. 香港証券市場は、27日までの過去3日間で1兆2,000億ドル以上の価値が失われた。国営メディアが28日に事態の沈静化を呼びかけたため、投げ売りは停止した。
  3. 中国は1,000億ドル(約11兆円)規模の教育関連テクノロジー業界に対する包括的規制を発表した。学校の教科課程に関する学習支援サービスを手掛ける企業に非営利団体(NPO)への転換を求めるほか増資や株式公開を禁止する。
  4. テンセントのWeChatが、技術的なアップグレードを行っているとして、個人アカウントの新規ユーザー登録ポータルを閉鎖した。サイバー・セキュリティ規制や独占禁止規制への対応と考えられている。
  5. 中国は美団などの料理宅配業者に対し、料理宅配の宅配員が最低賃金以上の報酬を得られるようにすること、宅配員がアルゴリズムによる不当な要求から解放されるようにすること、そしてこれらの労働者が社会保障を受けられ、組合に参加できるようにすることを命じた。
  6. IDCが28日に発表したレポートによると、中国は第2四半期に約7,810万台のスマートフォンを出荷し、前年同期比で11.0%減少した。中国の2021年上半期の携帯電話の出荷台数は、前年同期比6.5%増の1億6,400万台となった。
  7. TSMCは、台湾・新竹市の50エーカーの土地に2ナノメートル・チップ用の新工場を建設し、2024年に製造を開始する予定と[Nikkei Asia]が報じた。2022年初頭に建設を開始し、2023年に設備を設置することが決まっている。
  8. シャオミが自社開発の画像信号処理(ISP)チップ「Surge C1」を発表したのに続き、中国のスマートフォン大手であるOPPOとVivoの2社が、独自のISPチップを間もなく発表すると現地メディアが[報じた]。
  9. テンセントは平均して3.8日に1つのゲームスタジオに投資。データプロバイダーのQichachaの報告書によるとテンセントは上半期に合計163件の投資を行い金額は931億人民元(約1兆5753億円)に達した。

インド

  1. オンライン自動車販売のDroomは、2億ドルのプレIPO資金を12億ドルの企業価値で受け取り、ユニコーンとなった。Beenos、Lightbox、Beenext、Digital Garage、Integrated Asset Management、豊田通商、Joe Hirao氏(ZigExnの創業者)などが参加。
  2. Twitterは、デリー高等裁判所から「最後の機会」を与えられ、インドの改正IT規則への準拠を示す「より良い宣誓供述書」を1週間以内に提出することになった。裁判所は、同社が現在「完全に非遵守」であるとしている。
  3. 会話型メッセージング・プラットフォームのGupshupは、来年の米国での新規株式公開(IPO)の可能性に先立ち、セカンダリー・トランザクションでTiger GlobalとFidelityから2億4,000万ドルを調達。同社は4月に評価額を14億ドルに引き上げた。
  4. 配車大手のOlaは、新規株式公開(IPO)に向けて、従業員持株会(ESOP)を3億株に拡大し、従業員に4,000万株の株式を追加で提供する。

日本

  1. エムスリーが7月28日に発表した2022年3月期第1四半期の税引前損益は24,763百万円、直近のIFISコンセンサス(22,025百万円)を12.4%上回る水準だった。
  2. サイバーエージェントは7月28日、2021年9月期(20年10月~21年9月)通期の連結業績予想を上方修正し、売上高が前回予想から500億円増の6500億円(前期比35.8%増)になる見通しだと発表した。「ウマ娘 プリティーダービー」などゲーム事業が好調で収益を押し上げている。

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)
新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

今月初め、イギリス、エストニア、フィンランドの海軍がバルト海で合同演習を行った際、その目的は戦闘技術を磨くことではなかった。その代わり、海底のガスやデータのパイプラインを妨害行為から守るための訓練が行われた。今回の訓練は、10月に同海域の海底ケーブルが破損した事件を受けたものだ。フィンランド大統領のサウリ・ニーニストは、このいたずらの原因とされた中国船が海底にいかりを引きずった事故について、「意図的なのか、それとも極めて稚拙な技術の結果なのか」と疑問を呈した。 海底ケーブルはかつて、インターネットの退屈な配管と見なされていた。現在、アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトといったデータ経済の巨人たちは、中国と米国の緊張が世界のデジタルインフラを分断する危険性をはらんでいるにもかかわらず、データの流れをよりコントロールすることを主張している。その結果、海底ケーブルは貴重な経済的・戦略的資産へと変貌を遂げようとしている。 海底データパイプは、大陸間インターネットトラフィックのほぼ99%を運んでいる。調査会社TeleGeographyによると、現在550本の海底ケーブルが活動

By エコノミスト(英国)