8月1週のニュースまとめ

米中ビッグテックに各国当局の圧力

8月1週のニュースまとめ
Photo by Greg Bulla on Unsplash

米国・欧州

  1. 欧州委員会は2日、Facebookが顧客管理サービスを手掛ける米Kustomerを買収する計画について、競争法に基づく本格調査に入ったと発表した。競争を阻害し、オンライン広告で一段と優位になる恐れがあるとした。
  2. 米連邦取引委員会(FTC)は3日、企業合併・買収(M&A)の届け出件数があまりにも多く、反トラスト法(独占禁止法)に基づいた審査の制約になっていると訴えた。
  3. 4-6月期のUberの調整後EBITDAの損失は5億900万ドルで、前年同期に比べて3億2800万ドル改善したが、ウォール街が予想していた3億2500万ドルの損失よりも悪化。配車や配送は、世界的にパンデミックによる制限がピークに達した前年同期と比較して105%増の15億件に達した。
  4. LyftはQ2で前年同期比125%の増収。収益は7億6500万ドル。ただし、Lyftの収益は2019年第2四半期と比べて12%減少している。乗客の数が2年前の期間よりも21%少なかった。
  5. 米国最大の料理宅配企業DoorDashは、関係者によると、ドイツの料理宅配Gorillas社への出資に興味を示している。評価額は約25億ドルで、当初の志望額である60億ドルから大幅に減額されている。
  6. Googleは2日、年内に発売予定の次の主力機種「ピクセル6」と「6プロ」に新たなシステムオンチップ(SoC)である「テンソル」が搭載されると発表した。Googleは2016年のピクセル投入以降、これまで全機種にクアルコムのプロセッサーを搭載していた。
  7. ホワイトハウスは、ワクチンに関するフェイクニュースと戦うためインフルエンサーを大量投入する予定。トップインフルエンサーだけでなく、限定的な地域に影響力のあるマイクロインフルエンサーも起用。
  8. 米労働当局はAmazonのアラバマの倉庫での労働組合結成に関する投票をやり直すよう指導。一度、反対多数で否決されたが、Amazonが労働者に対して不適切な力を講師した可能性があると当局。
  9. 米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は、暗号資産(仮想通貨)が投資対象の主流に加わるために極めて重要とされるビットコイン上場投資信託(ETF)の承認に道が開かれる可能性を示唆した。
  10. JPモルガン・チェースは暗号資産(仮想通貨)ビットコインに投資するファンドを富裕層顧客に売り込んでいる。仮想通貨メディアのコインデスクが報じた。

中国・アジア

  1. 中国国営メディアがゲームを「精神的アヘン」と非難する記事を掲載し、当局の既成がゲームセクターに及ぶとの憶測を呼び、投資家がゲーム関連銘柄を狼狽売りした。
  2. テンセントは、子供のビデオゲームのプレイ時間に制限を設けると発表した。この動きは、ゲームを「精神的アヘン」と呼んだ中国国営メディアの攻撃に対する対応。
  3. アリババは4-6月期(第2四半期)の業績を発表した。収益はここ2年余りで初めて市場予想を下回った。インターネット事業に対する中国当局の取り締まり強化の影響が表面化。自社株買い戻しプログラムを1.5倍の150億ドル(約1兆6400億円)規模に拡大する方針も示した。
  4. 国有通信最大手の中国移動(チャイナ・モバイル)が7月に行った5G設備の入札では、外国サプライヤーへの発注シェアが全体の5.4%にとどまり、前回入札が行われた2020年の11%から半減。エリクソンのシェアは11%から1.9%に急減した。
  5. EVバッテリーメーカーのSVolt Energy Technologyは7月30日、BOCGI、Country Garden Venture Capital、SCGC、CCB Investment、IDG、SANY、Xiaomi Groupが主導する102.8億元(約1650億円)のラウンドB資金調達を行ったと発表した。企業価値は260億元(約4,400億円)。
  6. WeChat Pay Scoreは、水曜日に即時配送サービスを正式に開始した。このサービスでは、ユーザーが荷物を発送した後、自動的に配送料が差し引かれる。SF Express、JD、ZTO Express、Hive Box、EMS、Yunda Expressなど、エクスプレスデリバリー業界の主要ブランドが接続されている。
  7. テスラの中国部門のウェブサイトは2日、「ロングレンジモデルS」の価格を82万9990元(約1280万円)から3万元増の85万9990元に引き上げたことを明らかにした。また、「Long Range Model X」の価格は、3万元増の90万9,990元に引き上げられた。
  8. 2021年第2四半期の欧州の携帯電話出荷台数は、シャオミがサムスンを抜いてトップ。シャオミは前年同期比67.1%増の1,270万台となり、サムスンは前年同期比7%減少して1,200万台。
  9. 中国の電子商取引大手JD.comの江蘇京東貨物航空は、中国民航総局華東地域局の初期審査に合格したと、CAACが火曜日に発表した。登録資本金6億人民元(約約100億円)の同社は、JD.com創業者のSuqian Jindong Zhanrui Enterprise Management社と南通興東国際空港の合弁会社。
  10. シンガポールの配車企業Grabの売上高は2億1,600万ドルと、前年同期のわずか100万ドルから大きく伸びたが、SECの指示で消費者に支払われたインセンティブを除外し国際会計基準に合わせたため、売上高の数字は大きく下方修正された。

インド

  1. 保険のオンラインプラットフォームを展開するポリシーバザールは新規株式公開(IPO)を申請した。IPO規模は最大601億8,000万ルピー(約890億円)となる可能性がある
  2. 決済スタートアップ企業であるBharatPeは、ニューヨークに拠点を置くTiger Globalが主導する資金調達ラウンドで3億7,000万ドルを調達したと発表した。今回の資金調達により、同社の企業価値は28億5,000万ドルに達した。
  3. 料理宅配のSwiggyとZomatoの独立請負の配達員はTwitterで、ガソリン価格の高騰に対する補償が不十分であること、長距離配送へのボーナスがないこと、1日の稼ぎの上限に直面していることなどを訴え、彼らの投稿には、何千もの「いいね!」や「リツイート」が寄せられている。
  4. Tata Consultancy Services、Infosys、Wipro、HCL TechnologiesのようなインドのIT企業は今年、インドの大学から合計 60,000 人近くの女性を採用する予定です。採用の大部分は新入社員レベルで行われる。

日本

  1. 楽天グループの三木谷浩史社長は5日、ブルームバーグテレビにオンラインで出演し、出資を受けている中国テンセント・ホールディングス(騰訊)を通じ、日本製の商品とコンテンツを販売していきたい考えをあらためて示した。
  2. ソフトバンクグループがスイスのロシュ・ホールディングの株式50億ドル(約5,500億円)相当をひそかに取得したことが、事情に詳しい複数の関係者の話から明らかになった。

📨ニュースレター登録

平日朝 6 時発行のAxion Newsletterは、テックジャーナリストの吉田拓史(@taxiyoshida)が、最新のトレンドを調べて解説するニュースレター。同様の趣旨のポッドキャストもあります。

株式会社アクシオンテクノロジーズへの出資

一口50万円の秋のラウンドに向けて事前登録を募っております。事前登録者には優先的に投資ラウンドの案内を差し上げます。登録は以下のからメールアドレスだけの記入で済みます。登録には義務は一切ともないません。

【2021年秋】(株)アクシオンテクノロジーズ個人投資家ラウンド事前登録
登録を頂いた方には優先して投資ラウンドのご案内を行います。

クリエイターをサポート

運営者の吉田は2年間無給、現在も月8万円の報酬のみでAxionを運営しています。

デジタル経済メディアAxionを支援しよう
Axionはテクノロジー×経済の最先端情報を提供する次世代メディアです。経験豊富なプロによる徹底的な調査と分析によって信頼度の高い情報を提供しています。投資家、金融業界人、スタートアップ関係者、テクノロジー企業にお勤めの方、政策立案者が主要読者。運営の持続可能性を担保するため支援を募っています。

Special thanks to supporters !

Shogo Otani, 林祐輔, 鈴木卓也, Kinoco, Masatoshi Yokota,  Tomochika Hara, 秋元 善次, Satoshi Takeda, Ken Manabe, Yasuhiro Hatabe, 4383, lostworld, ogawaa1218, txpyr12, shimon8470, tokyo_h, kkawakami, nakamatchy, wslash, TS, ikebukurou 黒田太郎, bantou, shota0404, Sarah_investing, Sotaro Kimura, TAMAKI Yoshihito, kanikanaa, La2019, magnettyy, kttshnd, satoshihirose, Tale of orca, TAKEKATA.

Read more

米国のEV革命は失速?[英エコノミスト]

米国のEV革命は失速?[英エコノミスト]

米国人は自動車が大好きだ。バッテリーで走らない限りは。ピュー・リサーチ・センターが7月に発表した世論調査によると、電気自動車(EV)の購入を検討する米国人は5分の2以下だった。充電網が絶えず拡大し、選べるEVの車種がますます増えているにもかかわらず、このシェアは前年をわずかに下回っている。 この言葉は、相対的な無策に裏打ちされている。2023年第3四半期には、バッテリー電気自動車(BEV)は全自動車販売台数の8%を占めていた。今年これまでに米国で販売されたEV(ハイブリッド車を除く)は100万台に満たず、自動車大国でない欧州の半分強である(図表参照)。中国のドライバーはその4倍近くを購入している。

By エコノミスト(英国)
労働者の黄金時代:雇用はどう変化しているか[英エコノミスト]

労働者の黄金時代:雇用はどう変化しているか[英エコノミスト]

2010年代半ばは労働者にとって最悪の時代だったという点では、ほぼ誰もが同意している。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの人類学者であるデイヴィッド・グレーバーは、「ブルシット・ジョブ(どうでもいい仕事)」という言葉を作り、無目的な仕事が蔓延していると主張した。2007年から2009年にかけての世界金融危機からの回復には時間がかかり、豊かな国々で構成されるOECDクラブでは、労働人口の約7%が完全に仕事を失っていた。賃金の伸びは弱く、所得格差はとどまるところを知らない。 状況はどう変わったか。富裕国の世界では今、労働者は黄金時代を迎えている。社会が高齢化するにつれて、労働はより希少になり、より良い報酬が得られるようになっている。政府は大きな支出を行い、経済を活性化させ、賃上げ要求を後押ししている。一方、人工知能(AI)は労働者、特に熟練度の低い労働者の生産性を向上させており、これも賃金上昇につながる可能性がある。例えば、労働力が不足しているところでは、先端技術の利用は賃金を上昇させる可能性が高い。その結果、労働市場の仕組みが一変する。 その理由を理解するために、暗

By エコノミスト(英国)
中国は地球を救うのか、それとも破壊するのか?[英エコノミスト]

中国は地球を救うのか、それとも破壊するのか?[英エコノミスト]

脳腫瘍で余命いくばくもないトゥー・チャンワンは、最後の言葉を残した。その中国の気象学者は、気候が温暖化していることに気づいていた。1961年、彼は共産党の機関紙『人民日報』で、人類の生命を維持するための条件が変化する可能性があると警告した。 しかし彼は、温暖化は太陽活動のサイクルの一部であり、いつかは逆転するだろうと考えていた。トゥーは、化石燃料の燃焼が大気中に炭素を排出し、気候変動を引き起こしているとは考えなかった。彼の論文の数ページ前の『人民日報』のその号には、ニヤリと笑う炭鉱労働者の写真が掲載されていた。中国は欧米に経済的に追いつくため、工業化を急いでいた。 今日、中国は工業大国であり、世界の製造業の4分の1以上を擁する。しかし、その進歩の代償として排出量が増加している。過去30年間、中国はどの国よりも多くの二酸化炭素を大気中に排出してきた(図表1参照)。調査会社のロディウム・グループによれば、中国は毎年世界の温室効果ガスの4分の1以上を排出している。これは、2位の米国の約2倍である(ただし、一人当たりで見ると米国の方がまだひどい)。

By エコノミスト(英国)