8月4週のニュースまとめ

東南アジアの覇者Seaが南米も手中に入れるか

8月4週のニュースまとめ

今週のトップニュース

東南アジアテック企業の雄Sea LimitedのECサービス「Shopee」が、南米での2021年のダウンロード数で地場最大手Mercado Libreを大きく上回っている。同社のFPSゲーム「Free Fire」は南米で最も人気のあるゲームとなっている。

米国・欧州

  1. FacebookのDavid Marcus、今年中に仮想通貨ウォレットを発売する準備ができているとThe Informationにコメント。米ドルに連動するステーブルコインとして知られるデジタル通貨diemも一緒に導入したいようだが、規制当局の対応次第という。
  2. 米国証券取引委員会(SEC)は、ニューヨークでの上場を目指す中国企業に対し、リスクに対する投資家の認識を高めるため、新たな情報開示要求を始めたことが、ロイターと関係者が確認した文書で明らかになった。
  3. ホワイトハウスで開催されたサミットでは、米ビッグテック企業が数十億ドル規模のコミットメントを表明し、米国の不十分なサイバーセキュリティ対策を強化するとした。
  4. 米半導体大手ウエスタンデジタルがキオクシアホールディングスとの合併に向けて交渉。この案件の規模は200億ドル(2兆2000億円)余りになり得るという。交渉が順調に進めば9月中旬までに合意に達する可能性がある。
  5. Waymoがサンフランシスコでもロボタクシーを開始した。自律走行トラック部門でも物流業者の数百台が利用するための物流ハブを建設している。かつて想定されたほどの速度ではないが、着実に商用化の範囲が広がっている。
  6. 米セールスフォース・ドットコムの5-7月(第2四半期)決算では、収益は前年同期比23%増の63億4000万ドル(約7,000億円)と大幅増収となった。同社は2022年1月通期(21年2月-22年1月)の売上高見通しを引き上げた。
  7. 米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は2日、率直な投資家保護論者を側近のアドバイザーに指名し、ウォール街に対してより敵対的なアプローチを取る準備を進めると予想されている。
  8. 暗号通貨取引所がブーム。BinanceやFTXなどの取引所は、今年10億ドルを超える利益を達成する見込みであることが、各社やFinancial Timesの計算で明らかになった。
  9. スウェーデンのフィンテック企業Klarnaは第2四半期に小売業者に代わって処理した購入額が3分の2に増加し、200億ドルに達したものの営業損失は前年同期の8,900万ドルから9億6,500万ドルに拡大した。

中国・アジア

  1. 台湾のファウンドリが再び製造受託価格の値上げを計画していると台湾メディアが伝えている。それによると、TSMCは2021年第4四半期に10~20%の値上げを予定しているとするほか、UMCも11月に再び同様の値上げを顧客に対して予告したという。
  2. 中国最大の漫画プラットフォームであるKuaikanは、CCB International、One Store、Tencent、Coatue、Tiantu Capitalなどの投資家を迎え、2億4,000万ドルの資金調達を完了したことを発表。月間アクティブユーザー数は約5,000万人。
  3. Pinduoduoの株価が22%以上の急上昇。昨日発表された第2四半期決算によると、純利益は24億元(約400億円)の黒字で、前年同期の8億9,930万元の損失に比べて大幅に改善。利益を農村関連のプロジェクトに投資すると表明。
  4. シャオミのスマートフォン出荷台数はファーウェイが制裁措置を受けたことの恩恵を受けており、欧州、東南アジアで急速に上昇している。サムスンの世界一の座に迫っているか。
  5. 杭州市の共産党員の公務員が、昨年のIPO予定の際にアントグループの株5億元(84億円)相当を優先的に買い付けるよう便宜を図ってもらったとの弁護士の主張を受けて、捜査を受けている。アントは疑惑を否定。
  6. Didi Global(滴的出行)は英国および欧州への進出計画を延期。関係者によると、中国当局のサイバーセキュリティ調査が原因のようだ。
  7. バイドゥ傘下のAI音声アシスタント企業「シャオドゥ・テクノロジー」が51億ドルの評価額でシリーズBの資金調達を終えたと発表。AIチップ部門のKunlunとともにバイドゥをAI企業に変身できるか。
  8. TikTokの親会社であるBytedanceは、中国のVRハードウェアメーカーであるPicoの買収に50億元(約835億円)を投資したと噂されている。

インド

  1. 昨年のパンデミック以来、大都市圏以外の若年層に株式や暗号通貨の取引が浸透。ボンベイ証券取引所のユーザー登録数は前年比で約60%増加。オディシャ州では70%、アッサム州では191%、ビハール州では85%、マディヤ・プラデシュ州では80%の伸び。
  2. インドの暗号通貨企業はInternational Financial Services Centres Authority(IFSCA)をインド国内のすべての暗号取引の規制当局とすることを検討するよう政府に求めているという。インドには現在、暗号通貨の規制がなく、暗号通貨法案は何ヶ月も内閣の承認を待っている。
  3. 会計ソフト新興企業Khatabookは、Tribe CapitalとMoore Strategic Ventures(MSV)が率いる投資家からシリーズCの資金調達ラウンドで1億ドルを調達し、同社の価値は6億ドルに達した。

日本

  1. 楽天ペイメントは「楽天ペイ」の中小規模の新規加盟店の決済手数料を10月1日から1年間実質0円とする「中小店舗様応援! 決済手数料実質0円キャンペーン」を実施する。

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OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

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By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

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アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史