バークシャーが南米デジタルバンクNubankに5億ドルを出資

南米のローテク金融を革新する企業価値300億ドルフィンテック企業

バークシャーが南米デジタルバンクNubankに5億ドルを出資

要点

南米ではコロナウイルス感染症の流行を期に未発達だった金融のデジタル化が進展し、Nubankを通じて初めて金融へのアクセスを獲得した人々が多数生まれた。バークシャー・ハサウェイはセコイアやテンセントのような優良投資家に続くNubannkの株主となった。


ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイは、ブラジルに拠点を置く非公開のデジタルバンクNubankの親会社に5億ドルの投資を行ったことを、南米の企業が火曜日に発表した。同社のCEOはウォール・ストリート・ジャーナルに、新規株式公開の可能性はあるが予定はないと語った。

報道によると、Nubankは、300億ドルの企業価値で7億5,000万ドルを追加調達し、バークシャー・ハサウェイが5億ドルを出資し、残りの資金はさまざまな金融サービスの投資家から調達したという。Nubankは1月にシリーズG資金として4億ドルを企業価値250億ドルで調達した。セコイア・キャピタル、テンセント、リビット・キャピタルなどが出資していた。

バフェットは、伝統的な銀行や保険会社がバークシャーの投資ポートフォリオの大部分を占めていることから、金融会社への投資には馴染みがある。しかし、有価証券報告書によると、バフェットは第1四半期末までに保有していたウェルズ・ファーゴの株式をほぼ全て売却している。

Nubankは2013年にコロンビア出身のDavid Vélezが設立した。その目的は、高額な手数料とローテクな銀行システムで有名なブラジルのサンパウロで、紫色の手数料無料のクレジットカードを作ることだった。それから10年も経たないうちに、このフィンテック企業は、不況とパンデミックを乗り越え、ブラジル、コロンビア、メキシコで現在4,000万人以上の顧客を抱え、クレジットカード、貯蓄口座、生命保険、個人ローン、投資商品を提供している。従業員は1,000人を超えている。

ブラジルでは、5つの銀行が国内資産の80%以上を管理し、クレジットカードの年利は300%に達し、人口の3分の1が銀行を利用していないという、非効率でアクセスしにくい金融エコシステムが存在していた。銀行の支店はブラジルの60%の都市にしかないが、デジタルプラットフォームであれば、場所を問わずに顧客をサポートすることができる。

ここ数年、ブラジルの中央銀行は、銀行口座を持たない大規模な人口にサービスを提供しようとする新興金融機関を支援することで、競争の激化を図ってきた。

マスターカードの調査によると、COVID-19パンデミックは、ラテンアメリカのオンラインバンキングへの移行を加速させ、数ヶ月のうちに数千万人が「デジタル化」することを促した。Nubankは、政府援助の分配、PayPalやAmazonとの提携、そして2020年末には完全デジタル化されたカスタマイズ可能な生命保険の提供を開始するなど、拡大を続けている。

Nubankの手数料無料の仕組みのおかげで、顧客はこれまでに20億ドル以上の手数料を節約できたと同社は推定している。評価額250億ドルの同社のクレジットカード商品は、4年間にわたって利益を上げているが、会社全体ではまだその目標を達成していない。

デジタル証券会社を傘下に

同社は昨年10月、50億ドルの資産と160万人の顧客を有するブラジルのデジタル投資プラットフォーム「Easynvest」を買収する契約を締結。5月に中央銀行が買収を許可した。Easynvestのデジタル・プラットフォームでの株式、オプション、BDR、FII、ETFの仲介手数料はゼロとされ、口座開設や維持に費用はかからないとされている。

投資を開始したいNubankの利用者は、Easynvestのアプリをダウンロードするか、Nubankのアプリから直接口座を作成することができ、簡単で手軽で実用的な方法で投資を行うことができる。Nubankアプリを使ってEasyで口座を開設する機能は現在、一部の顧客でテスト中だ。

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米国のEV革命は失速?[英エコノミスト]

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労働者の黄金時代:雇用はどう変化しているか[英エコノミスト]

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