NVIDIA、爆益継続の予感:AIチップの需要沸騰
NVIDIAの最新の決算報告が米国時間23日に迫っているが、半導体不況のさなかでも、AIチップは記録的な不足状態にあり、「専売企業」の勢いは微塵も揺らいでいないようだ。
NVIDIAの最新の決算報告が米国時間23日に迫っているが、半導体不況のさなかでも、AIチップは記録的な不足状態にあり、「専売企業」の勢いは微塵も揺らいでいないようだ。
5月下旬、NVIDIAは次の四半期(5-7月期)の売上高をめぐって約70億ドルというウォール街のコンセンサス予想に対し、約110億ドルが見込まれると発表した。その翌日、NVIDIA は時価総額を約1,840億ドル増加させた。
株価は歴史的な高値圏を維持しているが、23日に報告される決算は、NVIDIAの好調が続くのかどうかを示すことになるため、株式市場とテクノロジー業界の注目を一身に集めている。
現状、NVIDIAを脅かす要因を見つけることが難しい。リークされた情報を追ってみよう。
- 原価率は10%程度か? 米メディアBarron'sのシニアライターであるTae Kimは、高性能GPU「H100」個あたりのコストを3,320ドルとする推定をSNS「X」(旧Twitter)で明らかにした。Kimは金融コンサルティング会社 Raymond Jamesの概算を引用したとしている。NVIDIAのH100の小売価格は、最も安価なバージョンで約2万5,000ドルから3万ドル。この計算のもとでは、H100の原価率は10%程度だ。NVIDIAは驚異的な利益率を享受していることになる。
- 2024年半ばまで受注残が積み上がる。H100は、2024年まで注文が積み上がっている。NVIDIAも出資するAIクラウド新興企業CoreWeave の共同創設者兼 CTO の Brian VenturoはKimに対して、企業の調達担当者は「来年の第 2 四半期と第 3 四半期に導入するための購入を開始している」と言った。
- TSMCはGPUの製造能力を即座に引き上げるすべを持たない。GPUは、「CoWoS製造プロセス」を必要とする。CoWoSを使用すると、複雑な多段階の高精度エンジニアリング・プロセスが追加されるため、GPUの生産速度が低下する。これらの状況は、NVIDIAのDGXシステム担当バイスプレジデント兼GMであるチャーリー・ボイルが独メディアComputerBaseに対して認めている。
- 55万個出荷でも足りない。フィナンシャルタイムズ(FT)の取材に応じたNVIDIAとTSMCに関係する複数の内部関係者によると、NVIDIAは2023年にH100を世界で約55万個出荷する予定であり、その大半はアメリカのテクノロジー企業に供給されるという。この数字に、中国専用のダウングレードモデルA800とH800が含まれているかどうかは不明。
- 潤沢な資金を誇る中東勢もゲームに参加。FTによると、サウジアラビアは公的研究機関であるキング・アブドラ科学技術大学(KAUST)を通じて、少なくとも3,000個のNVIDIAのH100を購入した。UAEも数千のNVIDIA製チップへのアクセスを確保し、アブダビのマスダール・シティにある国営技術革新研究所で、Falconとして知られる独自のオープンソース大規模言語モデルをすでに開発している。
- NVIDIAが支援するAIクラウド企業にGPUを優先的に提供。 新興企業はクラウド大手のように代替AIチップを開発せず、NVIDIAに依存。武器(GPU)と軍資金(出資)を渡された新興企業は、大手に競りかける「併せ馬」に仕立て上げられている。https://www.axion.zone/NVIDIAai-4/
- GPUの行方はテクノロジー業界のトップゴシップ。OpenAIのAI研究者Andrej Karpathyは「誰がいつ何個のH100を手に入れるかは、シリコンバレーのトップゴシップだ」と述べていた。KarpathyはXで、広く出回っているブログ記事を共有し、「大小のクラウドプロバイダーにおける大規模なH100クラスタのキャパシティは底を尽きつつある」と推測し、H100の需要は最低でも2024年末までこの傾向が続くだろうと予想した。 https://www.axion.zone/NVIDIAgpu/
NVIDIAのテクノロジー市場における戦略的ポジショニング、特にAIの成長に不可欠なGPUへの注力は、同社を極めて重要なプレーヤーに位置づけている。今のところ、ハードウェアとソフトウェアの両面で築いたリードをひっくり返すプレイヤーは見つかっていない。