ペロトンの新CEOが語る今後の厳しい道のり

【ニューヨーク・タイムズ】今月、ペロトンのカリスマ的な創業者であるジョン・フォーリーがCEO辞任を表明した後、68歳のSpotifyとNetflixの元最高財務責任者であるバリー・マッカーシーがCEOに就任。新CEOへの今後の方針についてインタビュー。

ペロトンの新CEOが語る今後の厳しい道のり
2019年10月28日(月)、米国ニューヨークのニューヨーク証券取引所(NYSE)のフロアでインタビューに応じる、Spotify Technology SAの最高財務責任者(当時)であるバリー・マッカーシー。Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

【ニューヨーク・タイムズ、著者:Andrew Ross Sorkin, Lauren Hirsch】ペロトンの過去1年間の課題は、自業自得のものも含めて、驚くほど多岐にわたっている。トレッドミルの事故で子供が亡くなり、数十人が怪我をして製品のリコールを余儀なくされた。パンデミックをきっかけにした巨大な成長が永遠に続くかのように資金を投入し、需要が減退すると大打撃を受けた。

現在、同社は売上の低迷、約15億ドルの在庫、支出の二日酔いに直面しており、前期は4億3,900万ドルの損失を計上した。2020年に4倍になった同社の株価は、この1年間で80%近くも下落し、時にはIPO価格を下回ることもあった。

今月、ペロトンのカリスマ的な創業者であるジョン・フォーリーがCEO辞任を表明した後、68歳のSpotifyとNetflixの元最高財務責任者であるバリー・マッカーシーがCEOに就任した。Netflixの初期の社員であったマッカーシーは、創業者の一人であるリード・ヘイスティングスと緊密に協力して、定額制サービスの革新的なストリーミングビジネスを開発し、2002年に同社を株式公開した。また、2015年にスポティファイのCFOに就任した際には、ポッドキャストへの参入など、オーディオ会社の広告戦略の先駆者になった。

ペロトンでは、マッカーシーの当面の任務は、船を正しい方向に導くことだ。ペロトンのCFOは、少なくとも年間8億ドルを節約したいと述べたが、同じ日にペロトンは会社の従業員の20%を解雇すると発表した。ペロトンのCFOは、年間8億ドル以上の経費削減を目指していると言っていた。

また、エグゼクティブ・チェアマンであるフォーリーとの複雑な関係をうまく調整しながら進めていかなければならない。フォーリーをはじめとするインサイダーは、ペロトンの株式の過半数を保有しており、拒否権を持っている。

就任後初めての大規模なインタビューとなったマッカーシーは、ニューヨークにあるペロトンのオフィスでニューヨーク・タイムズの「DealBook」の取材に応じた。サンディヘアで体格のよい彼は、ガーミンの時計やMinistry of Supplyのシャツなど、かつて人気を博したフィットネス企業の最高経営責任者にふさわしいアクセサリーを身につけている。しかし、初めてのCEOの仕事であるにもかかわらず、マッカーシーは注目すべきCFOの感覚を持ち合わせており、ペロトンの計画、フォーリーとの関係、ビジネスが犯した過ちなどについて、慎重かつ直接的に語っている。このインタビューは、わかりやすくするために編集され、凝縮されている。

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