量子ベンチャーの資金調達、2020年は12%減少

CB Insightsの最新の報告書によると、量子コンピューターのスタートアップのベンチャーキャピタル投資案件の数は、2020年には2019年と比較して46%増の37件となったが、このセクターで調達された総額は12%減の3億6500万ドルとなった。

量子ベンチャーの資金調達、2020年は12%減少

CB Insightsの最新の報告書によると、量子コンピューターのスタートアップのベンチャーキャピタル投資案件の数は、2020年には2019年と比較して46%増の37件となったが、このセクターで調達された総額は12%減の3億6500万ドルとなった。

案件数だけを見ると、2015年のわずか6案件から年間集計は順調に上昇している。資金調達総額については、2019年の4億1700万ドルからは減少したものの、2015年の7300万ドルを大きく上回っている。

ここから導き出される結論はいくつかある。第一に、このスペースに引き込まれるスタートアップの数は明らかに増加している。研究が進むにつれ、適切な技術的知識を持った多くの起業家が、今こそスタートアップの構築を始めるべきだと感じている。

第二に、2020年の平均的なディールサイズは1,000万ドル弱だった。IQMが調達した4,600万ドルを含めると、他のほとんどの案件の平均はさらに下がることになる。これは確かに楽観主義を示しているが、量子バブルを示すようなバリュエーションとは程遠い。

最後に、スタートアップ企業は、最近の量子業界で起きていることのごく一部である可能性が高い。課題の大部分は、地平線が長く、十分な収益を生み出すまでに何年もかかる可能性のある技術に投資するための巨額の資金を持っているテック系の大企業によって推進されている。インテル、IBM、グーグル、マイクロソフト、アマゾンなどだ。

実際、アマゾンは量子コンピューティングに特化した新しいブログを展開したばかりだ。昨年、Amazon Web Servicesは、企業が量子コンピューティングの実験を始めるための製品「Amazon Braket」を発表した。それでも、AWSの量子コンピューティング担当ディレクターであるシモーネ・セベリーニは、このブログの最初の投稿で、企業の顧客はまだこの現象全体に頭を悩ませていると書いている。

Photo: "IBM Quantum Computing" by IBM Research is licensed under CC BY-ND 2.0

Read more

AI時代のエッジ戦略 - Fastly プロダクト責任者コンプトンが展望を語る

AI時代のエッジ戦略 - Fastly プロダクト責任者コンプトンが展望を語る

Fastlyは、LLMのAPI応答をキャッシュすることで、コスト削減と高速化を実現する「Fastly AI Accelerator」の提供を開始した。キップ・コンプトン最高プロダクト責任者(CPO)は、類似した質問への応答を再利用し、効率的な処理を可能にすると説明した。さらに、コンプトンは、エッジコンピューティングの利点を活かしたパーソナライズや、エッジにおけるGPUの経済性、セキュリティへの取り組みなど、FastlyのAI戦略について語った。

By 吉田拓史
宮崎市が実践するゼロトラスト:Google Cloud 採用で災害対応を強化し、市民サービス向上へ

宮崎市が実践するゼロトラスト:Google Cloud 採用で災害対応を強化し、市民サービス向上へ

Google Cloudは10月8日、「自治体におけるゼロトラスト セキュリティ 実現に向けて」と題した記者説明会を開催し、自治体向けにゼロトラストセキュリティ導入を支援するプログラムを発表した。宮崎市の事例では、Google WorkspaceやChrome Enterprise Premiumなどを導入し、災害時の情報共有の効率化などに成功したようだ。

By 吉田拓史
​​イオンリテール、Cloud Runでデータ分析基盤内製化 - 顧客LTV向上と従業員主導の分析体制へ

​​イオンリテール、Cloud Runでデータ分析基盤内製化 - 顧客LTV向上と従業員主導の分析体制へ

Google Cloudが9月25日に開催した記者説明会では、イオンリテール株式会社がCloud Runを活用し顧客生涯価値(LTV)向上を目指したデータ分析基盤を内製化した事例を紹介。従業員1,000人以上がデータ分析を行う体制を目指し、BIツールによる販促効果分析、生成AIによる会話分析、リテールメディア活用などの取り組みを進めている。

By 吉田拓史