日産リーフの中古電池を蓄電池に再利用する丸紅出資の米太陽光発電企業
電気自動車(EV)の電池パックの二次利用については、自動車メーカーが試行錯誤しているが、丸紅出資のカリフォルニア州の電力企業は、日産リーフの電池パックを蓄電池として再利用し、実際に収益を上げている。
要点
電気自動車(EV)の電池パックの二次利用については、自動車メーカーが試行錯誤しているが、丸紅出資のカリフォルニア州の電力企業は、日産リーフの電池パックを蓄電池として再利用し、実際に収益を上げている。
米B2U Storage Solutionsは使用済み車載蓄電池を用いた電気系統向け蓄電池の事業開発を行う太陽光発電企業だ。B2Uは、EVで使用した蓄電池を定置型へ二次利用するコンテナ型蓄電池の開発を行っている。
B2Uの独自開発技術により、使用済み車載蓄電池を解体・再検査・再梱包することなく、定置型として安価で容易な二次利用が可能になる。
B2Uの太陽光発電・蓄電施設は、モハーベ砂漠の端に位置するカリフォルニア州ランカスターにある。この施設は、1MWの太陽光発電所といくつかの小さな建物で構成されており、それぞれの建物の中には、オリジナルのケースに入れられた約20個の日産リーフの電池が設置されている。
同社は、1年以上前からカリフォルニア州の電力市場で定期的に入札を行っているという。B2UのCEOであるフリーマン・ホールは、同社はエネルギーをMWhあたり200ドルで販売し、バッテリーへの充電はMWhあたり25ドル程度のコストで行っていると語っている。
現在、蓄電地の容量は4MWhで、2.75MWの電力供給が可能だという。このパックは、エネルギー価格が低い時(昼)に太陽電池アレイから充電され、価格が高いエネルギー需要のピーク時(夜間)には送電網に電力を放電することができる。
米国国立再生可能エネルギー研究所が最近発表した調査によると、リチウムイオン電池プロジェクトのミッドレンジコスト予測が1キロワット時あたり200ドルを下回るのは2030年になってからとのことだ。この分析では、定格容量で4時間の放電が可能な蓄電所を対象としている。
つまり、B2Uは、同じプロジェクトを新品のバッテリーで建設する場合に比べて、大幅な割引を主張している。安価に建設できるということは、新品のバッテリーよりも早く採算が取れ、早期に利益を得られるということだ。
ホールは米Canary Mediaに対し「しかし、この低い設備投資コストは、プロジェクトの寿命とのバランスを考慮する必要がある。我々の評価では、二次電池が新品のセルを使ったプロジェクトと競争するためには、2,000〜4,000サイクルの性能が必要だ」と語っている。先行投資の節約は魅力的だが、新品でよりもずっと早く電池が劣化してしまうのでは、意味がないのだ。
リチウムイオン電池は、リチウム、コバルト、ニッケルなどリサイクルが困難な金属で構成されており、また、電池セルは強力な接着剤で固められているため、分離するのが困難だ。新しい金属を採掘したほうが安くつくことも多い。
「すべてのバッテリーは劣化曲線を描くが、経験を積むことで、当社のプロジェクトで使用する2次電池について、放電深度、充放電速度、セルの温度など、サイクル寿命に影響を与える関連要因を制御して、信頼性の高い劣化曲線を示すことができるはずだ」とホールは説明している。
B2Uは先日、ランカスター工場の生産能力を拡大し、来年の第2四半期または第3四半期までに南カリフォルニアにも工場を建設するために、約1,000万ドルのシリーズAを実施した。この資金調達ラウンドは丸紅の電力部門がリードした。
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運営者の吉田は2年間無給、現在も月8万円の役員報酬のみ。