中国研究者がRISC-Vのフォークで欧米から完全分離するシナリオに言及
中国のトップコンピュータ科学者がRISC-Vのフォークによって欧米圏から独立するシナリオに言及した。米中の貿易摩擦において半導体は最も鍔迫り合いの激しい領域であり、中国は完全な隔離を受けた場合でも生き残る道を確保しようとしている。
中国のトップコンピュータ科学者がRISC-Vのフォークによって欧米圏から独立するシナリオに言及した。米中の貿易摩擦において半導体は最も鍔迫り合いの激しい領域であり、中国は完全な隔離を受けた場合でも生き残る道を確保しようとしている。
中国科学院のコンピュータ技術専門家で、中国RISC-Vアライアンスの事務局長を務めるBao Yungang(包云岗)は、中国の質疑応答プラットフォーム「知呼(Zhihu)」で、米国から技術的に切り離された場合、中国は「供給の途絶」に直面するかという質問に対し、中国はロシアよりも、西側諸国からのチップ設計アーキテクチャに対する制裁の可能性に対処できる立場にあると述べた。彼はRISC-Vアーキテクチャに基づく別のエコシステムを開発し、一帯一路のメンバー間でそれを拡大することができると付け加えた。
「中国はロシアよりも有利で、すでに中央演算処理装置(CPU)の独立した進化が可能であり、十分な市場規模とはるかに大きな人材のプールを持っている。 したがって、極端な話、RISC-V標準仕様のフォーク(RISC-Xと呼ばれると仮定)があったとしても、中国はRISC-X標準の進化を独自に進め、一路一体諸国と一緒にエコシステムを構築し、元のRISC-V国際オープンソースのエコシステムとできる限り互換性を維持することが十分に可能であると言えるだろう」。
Yungangは、中国はCPUの研究能力、豊富な人材、大きな市場を持っているため、制裁や戦争を含む極端なシナリオの下ではロシアよりはるかに良い結果を出すことができると主張している。
「この場合、中国で開発されたRISC-X関連製品は、(現在のファーウェイ製品のように)米国や欧米諸国には進出できないかもしれないが、中国や一帯一路諸国での販売や利用には影響がない。 RISC-Xはオープンソースのままでいられるので、発展途上国の66億人の人々と力を合わせて、オープンソースチップを世界に普及させるためのエコシステムを構築することができるのだ」
ここ数年、米国が中国の半導体産業に対する制裁を強めているため、オープンソースのRISC-Vチップ・アーキテクチャは、x86アーキテクチャや、クアルコムやアップルなどほぼすべてのモバイルチップ設計者が採用している英Armのアーキテクチャに代わる可能性があると注目されている。命令セットアーキテクチャであるRISC-Vはオンラインで公開されているため、輸出規制の対象にはならず、ライセンス料も不要である。
RISC(Reduced Instruction Set Computer)は、1980年にカリフォルニア大学バークレー校でDavid Patterson教授が初めて開発し、2015年にRISC-Vとして技術の第5世代でオープンソース化された。現在はスイスに本拠を置く非営利団体「RISC-V International」が規格を整備し、公開している。
同団体の20の「プレミアメンバー」のうち、現在米国から制裁を受けているファーウェイやアリババクラウドなど、半数が中国企業である。
同時に、中国国内では、欧米企業で開発されたオープンソース技術に完全に依存することができないのではないかという懸念が高まっている。中国は海外のチップ製造技術への依存を減らそうとしているが、チップの設計と製造の両面で、世界の同業他社に遅れをとっているのが現状だ。
特に、電子設計自動化(EDA)ソフトウェアにおける中国の弱点は、RISC-Vの採用が進んでいても、制裁の対象となる可能性があると、業界の専門家は指摘している。米国は、チップ設計や製造技術に不可欠なEDAソフトウェアでかなりのリードを保っている。
ファーウェイのチップ設計部門であるHiSiliconは、この課題をよく表しています。同社はまだArmのV8アーキテクチャにアクセスできるが、Armベースのチップを製造してくれるファウンドリを見つけることができないのだ。米国の制裁により、世界最大の受託チップメーカーである台湾積体電路製造(TSMC)のような企業が、米国発の技術でファーウェイのチップを製造することは禁止されている。