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要点

バイトダンスが2019年に純利益30億ドルを計上した。企業価値は1100億ドルのレンジにあり、IPOで18000億ドルに到達するとの予測もある。ディズニー幹部を引き抜き、1万人の人員増加を進める同社は最も価値のある未上場スタートアップとなった。

収益は2018年から2倍以上の170億ドル

中国のテクノロジー業界では、バイドゥ、アリババ、テンセントの「BAT」が主流だが、第2集団の「TMD」の台頭が著しい。Toutiao(運営のバイトダンス)、Meituan Diangping(美団点評)、Didi Chuxing(滴滴出行)の3社だ。そのなかでも、バイトダンスは突出した成功を収めている。

バイトダンスは2019年の純利益30億ドルを達成した、とBloombergが報じた。報道によると、収益は2018年の74億ドルから2倍以上の170億ドルに到達。TikTokとDouyin(中国国内のTikTokの呼称)の5月のアプリ内購入額は、新型コロナの追い風を受け、平時の10倍である7,800万ドルとなり、YouTube、Tinderのような有名企業を超えた。

2010年代に創業した新興企業がBATの三強の一角を崩した格好だ。2019年上半期には、バイトダンスは中国のデジタル広告費の23%を占有した。これは500億元(70億ドル)に相当する。33%のアリババには及ばないものの、14%のテンセントを凌いだ。

企業価値が高騰している。未上場であるバイトダンスの企業価値はセカンダリーマーケットで1050億〜1100億ドルと算定されており、1400億ドルでの取引が成立したこともあるとされる。

Bloombergによると、バイトダンスは、新規株式公開で1500億ドルから1800億ドルの時価総額を得る可能性がある、とシンガポールを拠点とするDZT Researchのアナリスト、Ke Yanは推定している。世界的に事業規模が大きく、ゲーム事業が急成長していることから、ソーシャルメディア大手テンセントの売上高の20%と比較した際、プレミアムがつくとYanは予測する。

2019年最大のテックIPOはUberだったが、仮にバイトダンスが近くIPOを遂げるとすると、2倍以上の規模を達成することになりそうだ。Uberは上場以降、ビジネスの多角化に悩み、コロナ禍の大打撃を受けたが、バイトダンスは対照的な印象だ。同社は黒字化されており、AI駆動の価値提供のあり方を広げるべき領域が、教育、ゲームなどのように明確に存在する。

コロナウイルスの感染拡大は、デジタルエンタテイメント企業の同社にとっては、大きな追い風になった。月間15億人のユーザーが、同社が提供するAI駆動のアプリに時間を割いている。国内ではDouyinが、eコマース・プラットフォームとしての側面を強化し、1日4億人のユーザーの収益化。ライブストリームで商品を売るために、人気ハイテク企業の重役を採用し、数千万人の視聴者を集めている。

アプリ調査会社センサータワーによると、主力アプリのTikTokは2016年にローンチして以来、アプリのダウンロード数は20億回を超えている。Toutiao(今日头条)は、1.2億人のユーザーを誇り、深層学習アルゴリズムを利用し、パーソナライズされた高品質のコンテンツフィードを提供している。

急速な事業拡張

このような業績の好調さと、資金調達が容易な状況が、バイトダンスを急速な事業拡張に導いている。同社は約6万人の従業員を擁するが、世界中の多くのテクノロジー企業がレイオフを余儀なくされている世界的な冷え込みに逆らい、1万人の新規雇用を目指していると言われる。

同社はラテンアメリカ事業のデータアナリストから、深センを拠点とするゲームプラットフォームのオペレーションマネージャーまで、世界中で1万人以上の求人を募集している。さらに、社内の採用掲示板によると、3,000人のインターンや、大学卒業予定者を募集しているようだ。

同社は、手厚い給与と福利厚生で知られており、シリコンバレーに拠点を置くスタートアップ企業に近い福利厚生を提供している。募集広告によると、従業員は毎日3食無料で「無制限の軽食」やジムの会員権を受け取れる。

Disney+の担当役員を引き抜く

さらにこの過熱する人材獲得のなかでも、バイトダンスがグローバル企業としての地位を固めたと印象づける出来事が、ディズニーのストリーミング事業担当役員のケビン・メイヤーの引き抜きだ。メイヤーはショートフォーム動画アプリ「TikTok」のCEOに就任し、バイトダンス本体のCOOにも就任した。

メイヤーには、有望なコンテンツ製作会社の企業買収を手掛けることが求められている可能性がある。メイヤーはディズニー在籍時、ピクサー、マーベル・エンターテインメント、ルーカスフィルム、クラブペンギン、メーカー・スタジオの買収、および2017年12月に21世紀フォックスの映画関連事業の買収に関与したとされている。

これらの買収は、ディズニーにとって重要な資産をもたらしており、Disney+に対して豊富なキラーコンテンツを供給するのにも役立った。スマートフォン向けの短尺動画を制しているTikTokが、より高品質な長尺コンテンツへの拡大を検討することは、想像に難くない。

Photo by Bytedance Newsroom