SiFive: RISC-Vチップの設計企業

RISC-Vコミュニティの牽引役

SiFive: RISC-Vチップの設計企業

SiFiveは、オープンソース命令セットアーキテクチャ(ISA)のRISC-Vに基づいてコンピューターチップを設計するファブレス半導体企業。SiFiveの製品には、SoCおよび開発ボードが含まれる。

SiFiveは、RISC-Vプロセッサコア、システムオンチップ、および関連技術の設計を行っている。例えば、Tenstorrent社はSiFive社のIPをAIチップに採用し、Samsung社は5GモデムにSiFive社のCPUコアを採用している。また、SiFiveは、HiFive Unmatchedや、BBCのDoctor Whoをテーマにした子供向けプログラミングキットに使用されているLearn Inventorボードなど、SiFiveのチップを搭載した独自のボードも製造している。

SiFiveは、2015年にカリフォルニア大学バークレー校の3人の研究者であるKrste Asanović、Yunsup Lee、およびAndrew Watermanによって設立された。この三人はDavid Patterson教授が所長を務めていたカリフォルニア大学バークレー校のParallel Computing LaboratoryでRISC-Vを開発したメンバーでもある。

SiFIveの設立者。Yunsup Lee (左), Krste Asanovic (中央), Andrew Waterman (右). Image Credit: SiFive.

RISC-Vが世界的に注目されているのは、RISC-Vが優れた新しいチップ技術であるからではなく、ソフトウェアが移植可能なフリーでオープンな共通規格であり、誰もがソフトウェアを実行するための独自のハードウェアを自由に開発できることにある。しかし、Linuxに触発された「自由な命令セット」を生み出しても、Armのようなチップの設計をライセンスする企業がない限りはRISC-Vの普及は現実的ではなかった。このため、三人は命令セットの設計と同時にチップ設計会社を作った。

現状、RISC-Vを採用した企業には、Armライセンスに伴うコストの削減と引き換えに、検証、物理設計、ソフトウェア開発の費用が生じている。SiFiveはこの顧客のコストをビジネス機会と捉え、顧客が必要とするシステムオンチップを設計し、個々のアプリケーションに適したCPUコアをサポートするビジネスユニットである「OpenFive」を開始している。

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2016年11月29日に、SiFiveはFreedom Everywhere 310 SoCとHiFive開発ボードをリリースし、SiFiveがRISC-V ISAを実装するチップを設計した最初の企業となった。2017年8月、SiFiveはNaveed SherwaniをCEOとして雇った。Naveed SherwaniはSiFiveで14社目というスタートアップの雇われCEOのプロ。共同創業者のKrsteAsanovićはチーフアーキテクト、Yunsup Leeは最高技術責任者という布陣を整えた。社内のビジネス体制が固まり、以降、資金調達が本格化した。

SiFiveは2020年、シリーズEラウンドで6,100万ドルを調達しており、推定5億ドルの評価を受けている。SiFiveは、Qualcomm、Western Digital、SK Hynixを支援者に持ち、インテルも小さいながらも株主の1人だ。

世界中に15のオフィスを持つSiFiveは、Sutter Hill Ventures、Qualcomm Ventures、Spark Capital、Osage University Partners、Chengwei、Huami、SK Hynix、Intel Capital、Western Digitalから投資の支援を受けている。

SiFiveが2020年にCEOとして迎え入れた、クアルコムの自動車部門を担当していた元幹部のPatrick Littleによると、半導体メーカーのトップ10社のうち6社がSiFiveと提携しているという。

ベンダーがSiFiveを利用する利点

SiFiveによると、特定のケースでは、シリコンチームをまったく持たない新興企業に製品を提供できる。つまり、SiFieの開発者は非常に小さなプレーヤーのニーズに対応する予定だ。通常、このような企業は高コストやその他の困難によりカスタムシリコンにアクセスできないが、SiFiveは、事前に開発されたFreedomプラットフォームを使用すると、スタートアップがセミカスタムチップを構築し、より高いパフォーマンスや既製のカスタマイズされていないチップまたはFPGA(Field Programmable Gate Array)と比較して消費電力が低い。SiFiveは、ガレージ内の数人のエンジニアが「中程度のキックスターターキャンペーンで」カスタムSoCにアクセスできる未来を想定している。

従来の半導体企業とIPプロバイダーは、取引が非常に困難だ。 インテルはAppleを常に追いかけているように、彼らは最大の顧客を追いかけることを重視している。半導体ベンダーは、大規模な顧客が必要とするソリューションを作成し、販売し、サポートするという業界構造が確立している。他方、IPベンダーは多くの質問と遅延を顧客に投げかけ、大規模で複雑な契約を要求し、一度顧客を獲得したあとは、ロイヤリティを請求し続ける。

SiFiveは、自分たちはRISC-V互換コアに基づくさまざまなチップの開発を専門とするファブレス半導体企業である、と主張している。セミカスタムRISC-V SoCは最も収益性の高い市場セグメントではないかもしれないが、SiFiveはここで唯一のプレーヤーであり、同社は明らかにその独自の地位を享受する可能性がある。RISC-V ISAを使用するというSiFiveの決定は、RISC-Vの開発者である創業者のバックグラウンドと会社のビジネスモデルを考えれば当然だ。AMD、Google、IBM、NVIDIA、Microsoft、Qualcomm、Western Digitalなどの企業が、テクノロジーの開発を管理するRISC-V Foundationに参加している。

セミカスタムチップビジネスの性質を考えると、SiFiveは自社のプラットフォームに関心のある会社の名前を公開できない。これは民間企業であるため、商用チップを開発しているかどうかを確認する必要はない。ただし、前述の業界の重鎮からRISC-Vへの関心を考えると、SiFiveは興味深いセミカスタムSoCを構築できるというだけでなく、実際に基づいて業界初の商用チップを開発できるため、注目すべき企業のようだ。

調査会社Crunchbaseによると、SiFiveは4回のラウンドで1億2950万ドルを調達している。投資家は、投資サイクルが半導体業界に適合しづらいベンチャーキャピタルではなく、半導体業界の大企業が占めている。

同社は、2018年4月に5,060万ドルを調達した。投資家はWestern Digital Capital、Samsung Venture Investment、Intel Capitalだ。同社によると、中国でのSiFiveの技術に対する関心は米国よりも急速に高まっており、中国の姉妹会社SaiFan Chinaはすでに約40人の従業員を雇用している。Qualcomm Venturesは2019年6月に出資した。SiFiveは、6,540万ドルの資金を調達し、SaiFan Chinaにさらに1,100万ドルの資金を提供したと発表している。

参考文献

Qualcomm Ventures. Portfolio Watch: By Democratizing Custom Silicon, SiFive Is Igniting Global Innovation in the Semiconductor Industry and Beyond.

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