ソニーのゲーム制作会社買収が囲い込み競争の火に油を注ぐ
最新のソニーの買収は、マイクロソフト、テンセント、メタ、エレクトロニック・アーツ等との「ゲーム制作会社囲い込み競争」をエスカレートさせそうだ。
ソニー・グループは1月下旬、ゲーム業界で最も成功した2つのフランチャイズ、『Halo』と『Destiny』の生みの親である民間ゲーム開発会社Bungieを36億ドルで買収することで合意したと発表した。
これは先行する2つの買収計画を追いかける意味合いを持っている。マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザード社の690億ドルでの買収計画と、テイクツー・インタラクティブによるモバイルゲームメーカーのジンガの現金と株式での110億ドルでの買収計画だ。ゲームパブリッシャーの買収は昨年のマイクロソフトによる75億ドルでのビデオゲームパブリッシャーZeniMax Mediaの買収に続くものだ。
Bungieの買収により、ソニーは大ヒットした『Destiny 2』の開発者を擁することになる。また、Bungieの専門知識を活用して、同様に大規模で長期的なライブサービスタイトルを制作することになりそうです。ソニーは『God of War』『Ghost of Tsushima』『The Last of Us』『Ratchet & Clank』などの高価なシングルプレイヤーゲームで有名だ。しかし、『Fortnite』や『Destiny』のように、何年もかけて定期的にアップデートされ、プレイヤーを飽きさせないような独自のゲームは持っていない。
ソニーのBungieとの契約は大きなものだが、最近の買収劇の中では最新のものに過ぎない。PlayStationのボスであるジム・ライアンは、Gamesindustry.bizのインタビューで、Bungieの買収は、2022年にすでに発表された大型買収に対抗するものではないと述べている。しかし、業界の大半の人々は、ソニーの買収を、業界の統合の潮流に乗り遅れないようにするための試みと捉えているだろう。2021年だけでも、ソニーはPC移植版開発会社のNixxes Software、『Returnal』開発会社のHousemarque、The Playroom製作会社のFiresprite Studios、PlayStationのリメイク / リマスター専門会社のBluepoint Games、God of WarサポートスタジオのValkyrie Entertainmentを買収している。
また、マイクロソフトは2021年にZeniMax Media / Bethesda Softworksを、2019年にPsychonauts 2の開発会社Double Fine Productionsを買収し、2018年には5つのスタジオの買収を発表するなど、M&Aに余念がない。また、マイクロソフトは2014年にMinecraftメーカーのMojangを買収して大成功を収めてもいる。
買収競争に名乗りを上げているのは、ソニーとマイクロソフトだけではない。Facebookの親会社であるメタは、同社のQuestヘッドセットに優位性を持たせるために、たくさんのVRスタジオを買収した。ただし、メタのVR部門は、VRフィットネスアプリ「Supernatural」のメーカーを買収したことなどで、規制当局の監視下に置かれていると報じられている。
エレクトロニック・アーツは数十億円を投じてCodemasters、Glu Mobile、Playdemicを買収している。
また、中国の大手企業であるテンセントは、皆さんが思っている以上に多くの業界を支えている。モバイルでヒットした『Call of Duty: Mobile』『Honor of Kings』『Pokémon Unite」』の開発元であり、『League of Legends』のメーカーであるRiot Gamesを所有し、『Fortnite』の開発元であるEpic Gamesに40%の出資をしており、2016年には『Clash of Clans』のスタジオであるSupercellをソフトバンクグループから買収している。
テンセントはもしかしたらソニーよりも積極的な買収者かもしれない。最近では、同社は『Back 4 Blood』の開発会社であるTurtle Rock Studiosの親会社であるSramfireを買収すると発表した。また、イギリスのゲームスタジオSumoの買収、『Don't Starve』の開発会社Klei Entertainmentの過半数株式の取得、『Yooka-Laylee』の開発会社Playtonic、『DayZ』の開発会社Bohemia Interactive、『Life is Strange』の開発会社Dontnod、『Alan Wake』と『Control』の開発会社Remedy Entertainmentの少数株式の取得など、2021年だけでも多くの重要な投資を行っている。
ソニーは、今後も買収が行われる可能性を示唆している。ライアンはGamesindustry.bizに対し、「我々は絶対にもっと期待すべきだ…PlayStationでは、まだまだ先が長い」と述べている。ソニーによるBungieの買収はまだ完了していないが、別の大規模なスタジオの買収もまた視野に入っているかもしれない。