テスラは株式市場を支配しているに等しい

テスラ株のオプション取引は現物株の規模を超える異常なレベルに達しており、それを通じてテスラは1.1兆ドルの時価総額を遥かに凌ぐ影響力を株式市場に持ち始めている。

テスラは株式市場を支配しているに等しい
Photo by Manny Becerra on Unsplash

要点

テスラ株のオプション取引は現物株の規模を超える異常なレベルに達しており、それを通じてテスラは1.1兆ドルの時価総額を遥かに凌ぐ影響力を株式市場に持ち始めている。


フィナンシャルタイムズ(FT)が引用したゴールドマンサックス(GS)のデータによると、テスラの1日あたりのオプション取引額(2,400億ドル/日)は、他のオプションの合計額(Amazon1,380億ドル/日、その他1,120億ドル/日)に匹敵するあ。

巨大な関連デリバティブ市場の広大で絡み合った網は、同社の時価総額である1.1兆ドルをはるかに上回っている。これによりテスラの株価はオプションに固有のレバレッジを考慮すると、より大きな変動を起こしやすくなっている。

「これらの要素を組み合わせると、株式市場の変動に対するテスラの影響力は、その大きさからは想像できないほど大きくなる。その影響力の大きさは、歴史的に見ても比類のないものではないかと分析する人もいる」とFTのRobin Wigglesworthは指摘している。

GSによると、テスラのオプション市場は、FTSE100オプション市場全体の60倍以上、Euro Stoxx 50オプション市場の7倍以上の活況を呈しており、今年、米国のオプション取引量が実際の株式取引量を上回る主要な要因となっている。

また、GSによると、11月のオプション取引は名目上、株式取引よりも50%ポイント高かったが、テスラとアマゾンがなければ20%ポイント低かっただろうという。時価総額の高さと異常なオプション取引の組み合わせにより、テスラは重要なドライバーとなっているという。

オプションの価値は原株の動きに左右されるが、その複雑な仕組みから、オプションに十分な動きがあれば、オプションが原株に影響することもあり、さらには株式市場全体に波及して、市場の混乱に拍車をかける可能性がある。

テスラのオプションブームを支えているのは一般の個人投資家だ。IT企業の億万長者であるレオ・コグアン(Leo KoGuan)は、11月初旬までにテスラの株式を720万株(約83億ドル相当)近く積み上げたと語っている。これは、テスラのコールオプション(ある商品を将来のある期日までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決められた特定の価格で買う権利)を積極的に購入することで積み上げたもので、いまでは個人投資家の人気の手法となっている。

ブルームバーグはコグアンが直接保有する株式とオプション投資の規模が拡大していることを確認しており、9月にはテスラのIR責任者であるマーティン・ヴィエチャがコグアンの当初の主張を確認している。

これにより、コグアンはテスラの個人株主の中で、マスク、オラクルの共同創業者であるラリー・エリソンに次ぐ第3位の株主となり、80億ドル近くの株式を保有することになっている。

対照的にショートセラーは焼かれてきた。金融分析会社のS3 Partnersによると、過去10年間にテスラ株を空売りしたヘッジファンドの累積損失は600億ドルを超え、今年に入ってからは110億ドルに達している。

FTが引用したS3によると、テスラの「ショート・インタレスト」(ヘッジファンドに貸し出され、売られている株式の割合)は、2020年初頭の20%から、11月中旬にはわずか3.3%にまで低下している。業界関係者によると、ファンドマネージャーたちが、長い間金融の重力に逆らってきた株に賭けることで自分のキャリアを危険にさらしたくないと考えていることの表れだという。

マイケル・ルイスの著書『マネー・ショート 華麗なる大逆転』で有名になった、2007〜2008年のサブプライム危機と世界金融危機の前から莫大なショートポジションを持っていたことで知られるヘッジファンド・マネージャーのマイケル・バーリは、昨年、テスラの株価を「馬鹿げている」と言い、空売りをしていることを明らかにした。しかし、10月には取引を終了し、ショートポジションを解消したと語った。

FTが引用したQuant Insightの分析によると、Teslaの株価は他の市場や経済の動向にあまり影響されない傾向があり、ビットコインとは多少の相関関係があることが、その財務的特異性を強調している。

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