高まるTikTokに対する米政府の圧力
バイデン政権がTikTokと国家安全保障上の懸念に関する協議で一定の進展を示したことがリークされた。TikTokが中国のプロパガンダや偽情報の格好の手段になり得る状況にどのように終止符を付けるのか。
バイデン政権がTikTokと国家安全保障上の懸念に関する協議で一定の進展を示したことがリークされた。TikTokが中国のプロパガンダや偽情報の格好の手段になり得る状況にどのように終止符を付けるのか。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)が引用した4人の関係者によると、過去数ヶ月の間に、バイデン政権はTikTokと 「国家安全保障上の懸念を解決するための」予備協定を起草したとのことだ。
報道によると、今回の草案には、主に3つのポイントがある。1つ目は、すべてのTikTokのデータを米国のサーバーにのみ保存することで、中国にいる従業員が米国のデータにアクセスするのを防ぐことに重点を置いている。2つ目は、中国のプロパガンダや偽情報キャンペーンを阻止するため、オラクルに、アルゴリズムによって推奨されるコンテンツを監視する権限を与えるというものだ。3つ目は、TikTokの米国での運営を監督し、米国政府に直接報告するセキュリティ専門家からなるTikTok委員会を設立し、ある程度の監視機能を持たせることだ。
この合意では、現在のTikTokの所有者である北京字節跳動科技(バイトダンス)が所有権を保持することになる。司法省と財務省の高官は、現在の草案は中国に対して十分に厳しくなく、国家安全保障上のリスクを完全に解決するために十分なことをしていないと批判しているとNYTは報じている。情報筋はNYTに対し、中間選挙を前に、バイデン政権とTikTokのやり取りは、最終決着を数ヶ月間引き延ばす可能性があると述べている。
TikTokはトランプ政権下では、米国のユーザーデータを、TikTokが管理するバージニア州とシンガポールのサーバーから、Oracleが管理するクラウドサーバーに移し、最終的にはこれらの独自サーバーから米国ユーザーデータのバックアップを削除すると述べていた。バイデン政権の中国に対するスタンスは、トランプ氏と「実質的に変わらない」という。
9月中旬に上院国土安全保障委員会では、TikTokの最高執行責任者ヴァネッサ・パパスはロブ・ポートマン上院議員に「中国へのすべてのデータとメタデータの流れを断つ」ことを約束するよう迫られたが、パパスは「米国政府との最終合意は、すべての国家安全保障上の懸念を満たすことになる」とだけ語るにとどめている。
また、国家安全保障を管轄する複数の機関からなる米国政府機関「CFIUS」と、今後の米国データの取り扱いについて協議を続けている。
TikTokは、6月にBuzzfeed Newsの報道で、中国にいる従業員が制限されているはずの米国のユーザーデータにアクセスしていたことが明らかになり、議論を巻き起こした。
また、NYTのRyan MacとChang Cheによる別の報道では、TikTokとバイトダンスの元社員や元幹部12人によると、TikTok CEOのShou Zi Chewの意思決定権は限られており、中国本体の影響力のもとにあるとされる。TikTokでのサービスに関する決定はバイトダンス創業者の張一鳴と、同社の戦略トップ、TikTokの研究開発チームのトップが行っているという。TikTokのグロース戦略は、バイトダンスのチームが主導し、その指揮系統はChewではなく、北京のバイトダンスで完結しているようだ。