台湾、TSMCの旺盛な電力需要に苦しむ
出典:TSMC

台湾、TSMCの旺盛な電力需要に苦しむ

台湾は台湾積体電路製造(TSMC)の旺盛な電力需要を満たすために四苦八苦している。TSMCは台湾のGDPの5%を超える経済の柱で、なおかつ地政学的な重要性を保つための核でもあり、電力を供給しない以外の選択肢はない。

編集部

台湾は台湾積体電路製造(TSMC)の旺盛な電力需要を満たすために四苦八苦している。TSMCは台湾のGDPの5%を超える経済の柱で、なおかつ地政学的な重要性を保つための核でもあり、電力を供給しない以外の選択肢はない。


台湾の南科市にあるTSMCのファウンドリー(チップ製造施設)は、7月下旬、夕方の時間帯に台湾で大規模な電圧降下が発生する中心的存在となった。この施設は正式には「18A」と呼ばれ、TSMCの最先端のチップ技術で半導体の製造を担っており、低下後すぐに、同社は生産が停止していないことを明らかにした。

業界では停電の影響について憶測が飛び交い、一部ではTSMCの先端プロセスノードのウェーハ生産が停止したのではないかと懸念される中、TSMCの回答がなされた。このような計画外の停止は、加工中のチップウエハーが無駄になるため、TSMCに数百万ドルの損失を与える可能性があった。

しかし、バックアップ電源がTSMCの先端ファウドリーを救った。TSMCの18Aで停電が発生したという報告は、現地時間の夕方から台湾のチップ製造業界を駆け巡り、台湾紙の經濟日報によって取り上げられた。同誌はこの出来事について、電圧低下はTSMCが最近直面した中でも最も深刻なものの1つであり、チップ製造施設では90%もの電圧が低下したと記述している。

チップ製造技術が進歩し、回路サイズが小さくなるにつれて、高出力の機械が必要となるため、その製造にはより多くの電力を必要とするようになっている。先端プロセスを生産するために使用される極端紫外線(EUV)露光装置は「電力消費型モンスター」と呼ばれる。

電圧の低下が見られた18A製造施設は、TSMCの最先端プロセスで半導体を製造する役割を担っている。これらはN5とN4(4nm)のプロセス技術ノードで、Appleなど、世界でも数社しか使っていない。

現在、TSMCはN3 (3nm)ノードのチップ生産を加速しているが、すでにN3の後継に向けた設備計画も進めている。非公式にはN2(2nm)と呼ばれるこのプロセスは、台湾の新竹で生産される予定で、TSMCは2番目の2nm施設も計画している。後者については、昨年末に台中市の当局に提出された報告書によると、このファウンドリーが1年間に数十億キロワット時の電力を消費することが明らかにされている。

TSMCの18Aが量産を開始して以来、台南サイエンスパーク(台南科学園区)の電力消費量が急増した。2019年末にかけて新竹サイエンスパーク(新竹科学園区)を上回っただけでなく、2020年6月には電力消費量が153万キロワットという歴史的最高値を記録し、前年比25%増となった。

電力供給は、TSMCと台湾政府の間で一貫して茨の道となっている。前者は安定した無停電供給を必要とし、後者は発電能力の拡張に対処し、産業用と民生用のバランスを取らなければならないからだ。

国立中央大学(桃園市)の梁啓遠教授(経営学)は、チップメーカーが独自の発電所の建設を始めない限り、台湾には半導体産業を受け入れるだけの電力容量がないとブルームバーグに対し指摘した。梁によると、台湾の運転予備力(不測の需要急増や供給途絶に対処するための追加能力)は、今年のある時点で政府が「適切」と見なす10%のマージンを下回る可能性があるとのこと。

TSMCは売上の最大2%を再生可能エネルギーに充てると発表。チップメーカーは、エネルギー使用が排出量の60%を占めるため、再生可能エネルギーに照準を合わせる考えを示している。TSMCは昨年12月に120万kWの風力発電の契約を締結しており、この種の契約としてはアジアで最大となる。