スタートアップ関係者のツイートがSVBの取り付け騒ぎを悪化させた−最新研究
最新研究は、スタートアップ関係者のツイートが、先月のシリコンバレーバンク(SVB)の取り付け騒ぎを悪化させた証拠を発見した。皮肉にも、数多くのSNSを育んだシリコンバレーが、SNSの負の側面を露見させた格好だ。
最新研究は、スタートアップ関係者のツイートが、先月のシリコンバレーバンク(SVB)の取り付け騒ぎを悪化させた証拠を発見した。皮肉にも、数多くのSNSを育んだシリコンバレーが、SNSの負の側面を露見させた格好だ。
コロラド大学ボルダー校リーズスクールオブビジネス准教授(ファイナンス)のJ. Anthony CooksonらがSSRNに投稿した論文は、Twitterは、シリコンバレーバンク(SVB)の取り付け騒ぎを引き起こし、米国の銀行業界全体に不安を広げるのに大きな役割を果たした、と結論づけている。
Cooksonらの調査によると、SNSへの露出が多い銀行ほど、取り付け騒ぎの際に株式市場価値の損失が大きかったことがわかった。これは、銀行の資産価値や無保険預金など、銀行経営に寄与しうる他の要因を考慮した上でもそうだった。
研究者たちは、SVB取り付け騒ぎ前の数ヶ月間と取り付け騒ぎ期間中(3月1日から3月14日までと定義)の全ツイートのデータベースを調査した。
研究チームは、アルゴリズムを用いて、対象となる銀行に関連するツイートを選別した。また、"run "や "withdraw "などのキーワードをもとに、ツイートをポジティブかネガティブかに分類し、誰がツイートしているのか、スタートアップ関係者なのかなどを追跡した。最後に、無保険預金の割合と時価評価損をもとに、銀行を「銀行破綻リスク」の高い銀行と低い銀行に分類した。
銀行が取り付け騒ぎに見舞われた際に、Twitterでその銀行についてより多く語られた場合、株式市場での損失がより大きくなることが判明した。ツイートの前後1時間の株価を見ると、「銀行に関するツイッターの会話の強さは、株式市場の損失を予測する」とCooksonらは書いている。
これは、すでに取り付け騒ぎのリスクを抱えていた銀行では、さらに顕著だった。人々が銀行について否定的なツイートをすると、すぐに株式市場に損失が発生した。
SVBの取り付け騒ぎに関連するツイートは、(銀行の顧客である可能性のある)スタートアップコミュニティの人々によって書かれ、取り付け騒ぎの拡散に関連する単語が言及されていた場合、預金引き出しによる損失はさらに加速した。このことは、取り付け騒ぎの際に人々がTwitterを使って互いにコミュニケーションをとっていたことを示唆している。
ただし、研究者はこの期間の預金流出に関するデータを入手できなかったため、株価を一種の代理として使用している。Cooksonらによると、この2つは高い相関関係があるようだ。今後の研究で、預金流出についても明確に調査するという。
SNSに起因する銀行の経営破綻は、金融システムにとって新たなリスクであり、規制当局もその管理方法をまだ理解していない。このような研究は、この現象を理解するのに役立つ。
参考文献
- Cookson, J. Anthony and Fox, Corbin and Gil-Bazo, Javier and Imbet, Juan Felipe and Schiller, Christoph, Social Media as a Bank Run Catalyst (April 18, 2023). Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=4422754 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.4422754