Twitter頼みの株式売買は危ない? ツイート株価予測を騙す手口が発見される

Twitter頼みの株式売買は危ない? ツイート株価予測を騙す手口が発見される

何年もの間、Twitterの投稿やその他のオンラインメッセージは、株式市場の動きを予測するために、金融アルゴリズムによって収集・分析されてきた。しかし、これらのスマートなシステムは簡単に騙されることが判明した。

金融に関心のある開発者は、ドナルド・トランプやイーロン・マスクなど、広く支持されている公人のツイートを取り込み、彼らのつぶやきの感情に基づいて取引を行うプログラムを作成した。

金融の専門家は、単一の情報源に過度に依存しないように、より多くの人々のネット上の投稿を分析する、より高度なソフトウェアに依存する傾向がある。しかし、彼らの目標は、利益を生む市場予測を行うことであることに変わりはない。

しかし、データが過度に信頼されると、より複雑になる。米国の3つの大学とIBMの6人の研究者が発見したように、破壊的なツイートは、Twitterを使った株価予測を失敗に終わらせる可能性がある。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のYong Xieは「A Word is Worth A Thousand Dollars: Adversarial Attack on Tweets Fools Stock Prediction(一語は千金に如かず。ツイートに対する敵対的な攻撃は株価予測を愚弄する)」というタイトルの論文で彼らのアプローチについて説明している。

何が問題なのかを説明するために、彼らは2013年4月23日にAP通信のツイッターアカウントに不届き者が投稿した誤報「ホワイトハウスで2つの爆発、バラク・オバマが負傷」によって、市場価値1,360億ドルが一時消されたことを指摘している。

しかし、この研究者は、広くフォローされ信頼されているアカウントから配信される悪意のあるツイートがもたらす被害や、Twitterの人気者が上場企業について推測に基づいた発言を事実であるかのように行った場合に生じる市場の混乱を探るのではなく、「連結」攻撃を提案している。

連結されたツイート。2つ目のツイートのアカウントは別で、自然言語処理を使い1つ目の正しいツイートを分析した上で、2つ目の「操作されたツイート」を連結している。研究論文のスクリーンショット。出典: Yong Xie 2022.

この技法は、金融分析モデルを欺くために設計された偽情報を通常のツイートと「結合」(引用リツイート)することで、良識あるツイートを効果的をハイジャックするものだ。

「我々の課題は、ソーシャルメディア上のリツイート機能を模倣し、それを使って敵対的なサンプルをデータセットに送り込む」と、この論文は説明している。研究者らは、人間や機械の潜在的な読者にはわからない方法で、良性ツイートと結合された悪性ツイートのセマンティクス(コンピュータが分析する意味)を一致させることで、これを実現したと主張している。

投資家や機械学習モデルが、株価の動きを予測するためにリアルタイムの情報やセンチメントを収集するために、ソーシャルメディアにますます依存している。

このような、精巧な悪意のツイートであなたの投資企業の株価が急落する可能性があってもおかしくはない。

Read more

AI時代のエッジ戦略 - Fastly プロダクト責任者コンプトンが展望を語る

AI時代のエッジ戦略 - Fastly プロダクト責任者コンプトンが展望を語る

Fastlyは、LLMのAPI応答をキャッシュすることで、コスト削減と高速化を実現する「Fastly AI Accelerator」の提供を開始した。キップ・コンプトン最高プロダクト責任者(CPO)は、類似した質問への応答を再利用し、効率的な処理を可能にすると説明した。さらに、コンプトンは、エッジコンピューティングの利点を活かしたパーソナライズや、エッジにおけるGPUの経済性、セキュリティへの取り組みなど、FastlyのAI戦略について語った。

By 吉田拓史
宮崎市が実践するゼロトラスト:Google Cloud 採用で災害対応を強化し、市民サービス向上へ

宮崎市が実践するゼロトラスト:Google Cloud 採用で災害対応を強化し、市民サービス向上へ

Google Cloudは10月8日、「自治体におけるゼロトラスト セキュリティ 実現に向けて」と題した記者説明会を開催し、自治体向けにゼロトラストセキュリティ導入を支援するプログラムを発表した。宮崎市の事例では、Google WorkspaceやChrome Enterprise Premiumなどを導入し、災害時の情報共有の効率化などに成功したようだ。

By 吉田拓史
​​イオンリテール、Cloud Runでデータ分析基盤内製化 - 顧客LTV向上と従業員主導の分析体制へ

​​イオンリテール、Cloud Runでデータ分析基盤内製化 - 顧客LTV向上と従業員主導の分析体制へ

Google Cloudが9月25日に開催した記者説明会では、イオンリテール株式会社がCloud Runを活用し顧客生涯価値(LTV)向上を目指したデータ分析基盤を内製化した事例を紹介。従業員1,000人以上がデータ分析を行う体制を目指し、BIツールによる販促効果分析、生成AIによる会話分析、リテールメディア活用などの取り組みを進めている。

By 吉田拓史