まずEmbedded Intelligence(組み込み知能)の基盤となる組み込みシステム(Embeded Systems)について説明しましょう。組み込みシステムとは組み込み機器に搭載されて動作するソフトウェアのことです。組み込み機器とは特定用途向けに特化、限定した機能を果たすことを目的とした機器のことを指します。洗濯機、電子レンジ、テレビ等の「組み込み機器」に簡易なシステム(組み込みシステム)が載っているのをご存じだと思います。

近年は組み込みシステムが進歩しており、その代表例としてはAndroidの携帯等に搭載されているAndoird OS、Apple社iPhoneに搭載されるiOSがあげられます。

組み込みシステムの重要性が増している背景は大きく三点あります。まず、スマートスピーカーが登場したように組み込み機器・システム自体の性能が向上しています。もうひとつは5Gの導入による無線ネットワークの著しい進歩です。これにより、デバイス同士がリアルタイムに対話をする可能性が開かれました。最後が機械学習の発展です。これによりデバイスが自律的に動くことが想定できるようになりました。

このような背景に基づいて組み込みシステムの上に機械学習モデルを追加することができるのではないか、それにより自律的なロボットやあらゆるモノのスマート化が実現するのではないか、と考えられているわけです。

「すべてのものが知性を宿したスマートシティ」というような夢が広がるわけです。パーソナルコンピューターがワードプロセッサからグローバルな通信デバイスおよび情報ポータルに変化したように、組み込みコンピューターは、自己完結型ボックス(洗濯機、冷蔵庫等)から、本質的に分散した人間環境を検知、監視、制御するコネクテッド物理システムに変化すると考えられます。

組み込み知能を載せたインテリジェントなロボットの例としては自動運転車、産業用ロボットがわかりやすい例です。

組み込み知能の実現のためにインテル、クアルコム、NVIDIAのようなチップメーカーがさまざまな用途のチップを開発する競争をしています。近年はApple、Tesla、Google、Microsoftが機械学習に特化したチップを開発しています。

Fig01 Teslaが開発を発表した機械学習チップ/ via Tesla

また機械学習には推論と学習の二つの過程がありますが、推論だけでなくヘビーな計算量を必要とする学習も組み込み知能で行うことが、研究者の間で企図されています。特に少ないデータに基づいた学習が近年の業界の関心であり、これが達成されると、知性を組み込んだ自律ロボット、自律システム、自律ネットワークが出現するようになるでしょう。

Image via Microsoft Project Brainwave