AI(人工知能)という言葉がメディアで濫用されており、それが何を指すかについては大きな混乱が見られます。

MIT Media Lab と IEEE は今日のメディアメッセージングによくあるような「AI」を取り巻く擬人化および混乱を避けることが必要だと考えています。彼らは「拡張知能(Extended Intelligence)」という言葉を当てはめ、自律的に物事を執行し人を助けるシステムであると定義しています。彼らは「自律」と「知能」を独自に定義することは本質的に困難とし、「自律知能システム(A / IS)」という語句を優先して使うべきであると説明しています。そこには機械が中心ではなく「人間を中心に置いたもの(Human in the Loop)」であるという含意が存在します。

彼らの説明はさらにこのようなフレームを追加しています。実用的な目的のための「知能」の範囲を、アルゴリズムとデータを使用する計算システムに限定することは理にかなっている。これには、「以前の決定を評価することに基づいてシステムのパフォーマンスを向上させるシステムの機能」が含まれることがあります。自律知能システムは割り当てられたドメインのなかで、どんな環境変化が生じてもタスクを達成できるという点で「自律的」と見なされます。

MIT Media Lab と IEEE は拡張知性評議会(Council on Extended Intelligence)を立ち上げています。拡張知性評議会はメディアを広める「人間対機械」の物語を超えて社会を動かすアルゴリズム時代のための実用的なビジョンを提供するための組織です。

MIT Media Labの所長である伊藤穰一は、ブログで以下のように指摘しています。

おそらく我々は個体としてターミネータというよりはサイボーグのように見える未来が来るだろう. それは独立した個人というよりも, 人間と機械の混成からなるネットワークが今まで以上に強力な拡張知能を作り上げ,それぞれの因子(アクター)|ビット, 原子, 細胞, そして電子回路が適切に配置され, 同時にいろんな方法で交換可能だけど複雑な総体として強固に統合されている状況だ.

伊藤が知能の議論に盛り込もうとしているのは、複雑系の観点である。人間自体がシステムで構成されたシステムという形をとっており、その人間が形成した社会システムも同様な構造をもっています。そこに自律的なシステムが介在することで、ネットワークのなかで人間の知性と社会のシステムが接続し、”知性が拡張される”という含意を「拡張知性」は含んでいるようです。

Image via Su San Lee

参考文献

伊藤穣一、「拡張知能」Joi Ito's PubPub

CXI - Council on Extended Intelligence | IEEE-SA & MIT Media Lab