中国で巨大洋上風力プロジェクトが動き出す
広東省潮州市が計画する洋上風力プロジェクトが、それだけでノルウェーの発電容量を超える見通しだ。中国は洋上風力発電市場で他国を圧倒的に引き離しているが、投資は長期的に続きそうであり、その傾向は今後より強まる可能性がある。
広東省潮州市が計画する洋上風力プロジェクトが、それだけでノルウェーの発電容量を超える見通しだ。中国は洋上風力発電市場で他国を圧倒的に引き離しているが、投資は長期的に続きそうであり、その傾向は今後より強まる可能性がある。
広東省潮州市は、2025年までに43.3ギガワットのプロジェクトを開始する計画を持っている。中国の風力発電業界紙である、北極星風力発電網に掲載された同市の5カ年計画によると、潮州市の沖合75〜185キロに建設されるこの洋上風力発電所は、全長10km、数千基の強力なタービンが設置される
この海域は風が強く、年間3,800〜4,300時間、つまり43〜49%の時間、タービンを稼働させるのに十分な強い風が吹く。このプロジェクトの工事は2025年以前に開始される予定だ。完成すれば、現在世界最大の風力発電所である、同じく中国にある20ギガワットの発電能力を持つ甘粛省酒泉市の風力発電基地をしのぐことになる。この計画では、プロジェクトにどれだけの費用がかかるかは明らかにされていない。
今年初めには、隣の福建省の漳州市が50GWの洋上風力発電を含む1兆元(1,380億ドル)のプロジェクトをした。BloombergNEFのデータによると、ノルウェーの2021年時点の設備容量は38GWだ。
中国は昨年、16.9GWの洋上風力発電容量を追加して記録を更新し、世界最大の洋上風力発電機群を誇っている。再生可能エネルギーは石炭や天然ガスなどの高価な化石燃料よりも安価であること、また習近平国家主席が2060年までにゼロエミッションを達成したいと考えていることから、電力会社や地方政府はこの発電方法の意欲的な拡大計画を継続している。
中国では、陸上風力は急速な発展を遂げていたが、風力発電のための3つの主要地域である中国北西部、北部、北東部は飽和状態に近づいており、利用可能な土地が少なく、風力発電が抑制されている。そのため、同国の風力発電業界は洋上風力に注目するようになった。
ハーバード大学博士候補(球惑星科学専攻)のPeter Sherman、ハーバード大学工学部環境科学科教授Michael McElroyらの2020年の研究は、中国最大の洋上風力資源は福建省の沖合にあり、次いで浙江省、広東省、上海市、海南省にも相応の機会がある、と書いているが、向かいに台湾をがある福建省は、排他的経済水域(EEZ)の制約によって、洋上発電容量の機会が限定されている。したがって、広東省は最も養生発電開発の機会が地域の一つである。
環球時報によると、世界初の2,000トン級洋上風力発電設置プラットフォーム「Baihetan」が、中国南部の広東省広州市で正式に引き渡され、稼働を開始した。Baihetanは、世界最強の吊り上げ能力、最も深い運用水深、最大の変動荷重、最大のデッキ面積を持つ総合風力発電設置プラットフォームである。
中国は洋上風力市場を独走している。洋上風力世界フォーラム(WFO)の2022年上半期の報告書によると、2022年上半期に世界で33の新しい洋上風力発電所が稼働(すべてのタービンが設置され、最初の発電が達成されたことを意味)し、そのうち25ヶ所が中国に、5 ヶ所がベトナムに、1 ヶ所が英国に、1 ヶ所が韓国に、そして1 ヶ所がイタリアに設置された。中国はこの期間における設置容量が2490万kWで、英国(1360万kW)、ドイツ(770万kW)、オランダ(300万kW)の合計を上回り、世界最大の洋上風力市場の地位を圧倒的に拡大したという。