中国人商人がロシア産原油の闇輸送のためタンカー13隻を3.8億ドルで買う

無名の中国人商人が、大西洋中部でロシア産原油の船舶間の積替えを実行するために、13隻のタンカーに3億7,600万ドルを費やしたことが、海事情報サイト「ロイド・リスト」のデータで明らかになった。

中国人商人がロシア産原油の闇輸送のためタンカー13隻を3.8億ドルで買う
Photo by Natalya Letunova

無名の中国人商人が、大西洋中部でロシア産原油の船舶間の積替えを実行するために、13隻のタンカーに3億7,600万ドルを費やしたことが、海事情報サイト「ロイド・リスト」のデータで明らかになった。

それによると、ある買主は香港と中国の間で、アフラマックスタンカー(8万〜12万載貨重量トン級)5隻、超大型原油タンカー(20万〜29万載貨重量トン級)7隻、スエズマックス(16万載貨重量トン前後)1隻を購入した。この買い手は5月から7月にかけて10隻を購入し、13隻すべてが中国の大連にある同じオフィスビルに連結されている。

「3隻を除くすべてのタンカーは、船会社の報告書と市場評価に基づいて、今年5月から7月の間に合計2億8500万ドルで購入された」とロイド・リストは書いている。「その後、1隻を除く全てのタンカーが、ロシア産原油の積荷を集約するために、ポルトガルの西860海里の国際水域に新たに設置されたリスクの高い積み替え拠点で、貨物輸送に従事している」

各船舶は少なくとも使用年数が15年以上経過しているため、従来の石油会社によるチャーター(荷主または運航業者が船主から船を借りること)の対象外である可能性が高く、一般的な融資を受けずに来たことから、中国の謎の買い手はキャッシュリッチであると考えられると報告されている。

この船団は、いかなる制裁にも違反した形跡がなく、ロシアがウクライナ侵攻以降、保険や規制を遵守しながら、従来の貿易ルートの範囲を超えて活動する、新しい石油流通を構築したことを実証している。

5月の時点で、公海上でのロシア産原油の船舶間の積替えが報告されており、買い手が供給元を不明瞭にしようとするため、「闇」輸送が急増している。長距離航海中の小型タンカーから大型タンカーへの船舶間の積替えは珍しくないが、リスクが高い。通常、流出のリスクを軽減するために、外洋ではなく、保護された海域で行われる。

ロシアは兵器についても、商船を使って米国の制裁を迂回するスキームを利用している。

ロシアはウクライナに対抗する武器を求めて世界中を駆け巡っている
米国の制裁下にある商船が先月末、シリアからロシアに向かう途中、トルコのボスポラス海峡を通過した。スパルタII号を追跡した欧州情報当局者によると、プーチン大統領のウクライナ戦争を支援するための軍用車両を積んでいたという。

Read more

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表 往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史