石油や天然ガスは、植物や動物の死骸が地層に埋まり、何百万年もかけて熱と圧力を受けてできたものである。この2種類の化石燃料は、何十年もの間、世界の主要なエネルギー源となっている。近年では持続可能性の達成が国際的なイシューとなり再生可能エネルギーの利用が加速している。
福島第一原発の事故以来初めて、日本国民の大多数が原発の再稼働に賛成している。これは、世界第3位の経済大国が、地政学的混乱の中で限られた資源と向き合い、電力を維持するのに苦労しているという認識が広がっていることを示している。
米国のエネルギー生産は、石油やガスの価格が高止まりしないことを懸念する経営者たちが、少しずつ増やしているに過ぎない。欧州が一部の指導者のロシアの石油や天然ガスの購入をやめたとしても、すぐに米国産の燃料で置き換えることはできないだろう。
プーチンがロシアのガス供給を停止した場合欧州は配給制になる危険性がある。 支払い条件をめぐる争いで、来月には供給が停止される可能性がある。ドイツが最も影響を受けるが、影響は広範囲に及ぶ。
ロシアのウクライナ侵攻は、世界のエネルギー市場に連鎖反応を引き起こし、石炭はさらに脚光を浴びている。多くの人がもうすぐ廃れるだろうと考えていた石炭という燃料への依存は、今やかつてないほど強くなっている。
バイデン政権は、ハッカーがエネルギー分野の組織を標的に、特注の悪質なソフトウェアを使って産業用制御システムにアクセスし、混乱させようとしていると警告している。
欧州はロシアの石炭を禁止する方向で大きな賭けに出ており、世界の他の地域が価格高騰に対処する一方で、自国は供給不足と計画停電に見舞われる可能性がある。
天然ガス市場の微妙なバランスが崩れつつあり、各国が十分な燃料の確保に苦労する中、世界経済にさらなる負担を強いている。世界のLNG市場は10年半ばまでに年間1億トン近く不足する可能性があるという。
ロシアがウクライナに侵攻する2日前の2月22日、3万3千トンの石油を積んだドイツ船籍の船がロシアのプリモルスク港を出港した。3月3日、英国の石油基地トランメアに到着した船は、冷ややかな歓迎を受けた。港湾労働者の中には、この船がどこから来たかを知って、荷降ろしを拒否する者もいた。このようなボイコットは、他の国でも起こっている。データ会社のKayrrosによると、侵攻後の2週間で「水上の」石油量は13%近く増加した。また、ロシアに戻る船舶の数も急増した。 ここ数週間、ロシアから流出したもののほとんどは、戦争が始まる前に購入され、支払われたものだ。今はそもそも国外に流出する石油が減っている。制裁や悪評に対する懸念から、多くの買い手が購入を一時停止している。データ会社のKplerによると、3月24日のロシアの海上石油輸出量は230万バレル/日(BPD)であり、3月1日のレベルを200万バレル近く下回っている。これらのバレルが売れないため、ブレント原油の価格は115ドルに迫っている。しかし、非難を浴び、新たな物流上の障害を乗り越えようとする国にとっては、ロシアの原油はお買い得に見え始めている。
よりクリーンで安全なエネルギーシステムを構築することは、壮大でリスクの高い、困難な仕事である。しかし、解決策が浮かんだら、プーチン率いるロシアに頼るかどうか、自分に問いかけてみてほしい。
ドイツの産業基盤は、パンデミックや前例のないサプライチェーンの課題から脱したばかりだが、ロシアのウクライナ戦争によって、自動車、化学、精密機械などの有力メーカーが再び打撃を受けつつある。