静かな退職というバズワードの真偽は?
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静かな退職というバズワードの真偽は?

欧米圏の若い従業員は、昇給や昇進が不可能な場合、「静かな退職」(クワイエット・クイッティング)を選択し、生活水準の低下と賃金の低迷に抵抗している、と言われる。バズワードはどこまで正しいのか?

編集部

欧米圏の若い従業員は、昇給や昇進が不可能な場合、「静かな退職」(クワイエット・クイッティング)を選択し、生活水準の低下と賃金の低迷に抵抗している、と言われる。バズワードはどこまで正しいのか?

静かな退職は、ニューヨークの24歳のエンジニア、ザイド・カーンがそれについてのTikTokビデオを投稿し、すぐに800万回以上再生された。その1ヶ月後の8月、メディアがその言葉の存在を嗅ぎつけ、それを巡る情報の氾濫が始まった。静かな退職とは8時間きっかりでオフィスを去り、夜中にメールに返信せず、要求された職務以上のことをしないことだ。

調査会社Gallupが全世界を対象に実施した職場のリサーチでは、仕事に愛着を感じている社員はわずか21%、総合的なウェルビーイングが向上している回答した社員は33%で、ほとんどの社員が仕事に意義を見出せず、自分の人生がうまくいっているとは思えず、自分の将来に希望を持てないと答えているという。また、世界中の従業員は過去最高だった2020年よりもさらにストレスを感じている、と報告書は示している。

英テクノロジーメディアThe Registerが引用した人材会社ロバート・ウォルターズの調査によると、30歳未満の労働者の約半数が、賃金や昇進の可能性が低いままなら、自分の職務に必要な「最低限のこと」を行うつもりであると回答していることがわかった。

また、少なくとも管理職の視点からは、リモートワークのトレンドが「静かな退職」を可能にする一助となっていることがわかった。調査では、51%の人が、若手社員の生産性の低下により、自分がその遅れを取り戻さなければならないと感じていると回答している。39%の管理職がハイブリッドやリモートワークによってチームの生産性を測定することが難しくなっていると回答している。さらに24%は、勤務形態や勤務時間が柔軟なため、生産性を測る普遍的な指標がなく、「静かな退社者」がサボりやすくなると述べている。

ただ、静かな退職は「人為的に作られたバズワード」の側面もありそうだ。ペンシルベニア大学ウォートン校の経営学教授であるマシュー・ビッドウェルは、雇用主は労働者が静かな退職に加わることをあまり心配していない、とWharton Business Dailyに対し述べている。現在の厳しい労働市場において、雇用主が気にかけているのは採用や定着のほうだという。

「必要以上の仕事をしない」という態度の広がりは、経済状況と何らかの関係を持つ可能性は否定できないかもしれない。8月には430万人近くの労働者が自主的に仕事を辞め、過去20年間の政府データでは過去最高となった。また、インフレに対して賃金上昇が追いついておらず、従業員側は賃料や燃料費のような生活費の膨張によって可処分所得の圧迫を感じている可能性がある。

新たなフレーズ「生産性パラノイア」

一方で、雇用主側はコロナ・パンデミックによって広く普及したリモートワークに神経をとがらしている。Microsoftの最近のリサーチは「生産性パラノイア」という現象にスポットライトを当てている。この調査では、約85%のビジネスリーダーが「従業員の生産性を確実に把握するのは難しい」と回答している。しかし、リモートワークであれ、ハイブリッドワークであれ、87%の社員が「会社の成果は上々だ」と答えている。

MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラは「リーダーは従業員の生産性が低いと思っているが、従業員は生産性が高いと思い、多くの場合、燃え尽き症候群さえ感じている」とブルームバーグに語っている。「この新しい仕事とハイブリッドワークの世界で最も重要なことの1つは、このパラドックスに橋をかけることだ」。

この調査を行ったMicrosoftは、職場に関連するソフトウェアの最大の提供者であることを留意しないといけない。Microsoft Teamsは上司がリモートワーク中の部下を監視する手段の一つとして機能している側面がある。Productivity Scoreは職場を監視し、個々の従業員に点数を付ける。Microsoftは、Productivity Scoreの他にも、「会議の質を監視する装置」の特許を取得している。

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