米国で太陽光発電ブーム:新規発電容量の半分以上の予測

米国エネルギー情報局(EIA)の最新分析によると、2023年に米国で新たに追加される発電容量の半分以上を太陽光発電が占めることになる。バイデン政権の補助金政策は再エネ導入の追い風になりそうだ。

米国で太陽光発電ブーム:新規発電容量の半分以上の予測
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米国エネルギー情報局(EIA)の最新分析によると、2023年に米国で新たに追加される発電容量の半分以上を太陽光発電が占めることになる。バイデン政権の補助金政策は再エネ導入の追い風になりそうだ。


EIAの報告によると、 電力事業者は2023年に米国の電気系統に新たに54.5ギガワット(GW)の発電容量を追加する計画であることが判明した。この発電容量の半分以上は太陽光発電(54%)で、次いで蓄電池(17%)となる予定だ。

2022年の電力事業規模の太陽光発電の増設は2021年から23%減少したが、EIAはサプライチェーンの混乱やその他のパンデミック関連の課題を挙げている。同機関は、これらの遅れた2022年のプロジェクトの一部が2023年に稼働を開始し、太陽光発電の総設備容量が2023年に2,910万kWに達する可能性があると予想している。

この容量がすべて計画通りに稼働した場合、2023年は単年で最も多くの新規太陽光発電設備が追加されることになり、現在の記録(2021年の1340万kW)の2倍以上になるとEIAは予想している。最大のテキサス州(770万kW)と2位のカリフォルニア州(420万kW)を合わせると、計画されている太陽光発電の新規容量の41%を占める。

2023年に米国に導入される各種電源の容量の予測。出典:米国エネルギー情報局。「Preliminary Monthly Electric Generator Inventory, December 2022」

BloombergNEFの調査によると、オハイオ州とインディアナ州では15ギガワット相当の太陽光発電パネルが設置されると予想されており、これは1,200万世帯の電力をまかなうのに十分な量だ。BNEFのデータによると、両州にはそれぞれ300メガワット以上を発電する開発段階のプロジェクトが23件ある。300メガワットの発電所は、一般的な天然ガス火力発電所の約半分の容量だが、米国の太陽光発電の基準からすると大規模なものだ。

2つの州は長年石炭火力に依存してきたが、2027年までに、ネバダ州と肩を並べ、カリフォルニア州とテキサス州をしのぐほどの太陽光発電所建設ブームに沸くことになる、とBloombergNEFは予想している。

蓄電池、風力発電も躍進

また、EIAは、蓄電池の新設容量の71%がカリフォルニア州とテキサス州になると予想している。EIAは、2023年には米国の蓄電池の総容量が2倍以上になると予測している。開発者はEIAに対し、既存の880万kWの蓄電池容量に940万kWの蓄電池を追加する計画であると報告した。

「風力発電や太陽光発電のプロジェクトでは、蓄電池システムの導入が進んでいる。風力発電や太陽光発電は、風が吹いているときや太陽が照っているときだけ発電する間欠的な発電方法だ」とEIAの報告書は記述している。「風力発電や太陽光発電で余った電力を電池に蓄え、後で利用することができる」

風力発電のトップランナーもまたテキサス州である。2023年にテキサス州で最も多くの風力発電容量が追加され、20GWとなる予定だ。今年稼働が見込まれる洋上風力発電容量は、ニューヨークの130.0MWの洋上風力発電所「South Fork Wind」だけである。

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