米政府、最速で今週中に対中国の半導体禁輸措置を拡大か
米国は中国のAIおよびスーパーコンピュータ産業に寄与する半導体と半導体装置をめぐる新たな制限を計画中で、早ければ今週中にも発表される可能性がある、と複数の米メディアが4日報じた。
米国は中国のAIおよびスーパーコンピュータ産業に寄与する半導体と半導体装置をめぐる新たな制限を計画中で、早ければ今週中にも発表される可能性がある、と複数の米メディアが4日報じた。
この新しい規則は、データセンターやスパコンを強化する米国の技術への中国のアクセスを阻止するために、バイデン政権がこれまでに取った最も徹底的な行動となる可能性がある、とこの情報を最初に報じたニューヨーク・タイムズ(NYT)のPaul Mozurらは書いている。
Mozurらが引用した複数の関係者によると、バイデン政権は、中国企業がハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)を可能にする技術にアクセスすることを制限する新たな措置を発表する見込み。中国の通信大手ファーウェイに打撃を与えたトランプ時代の規則を基にしたものになる。世界中の企業が米国の技術、機械、ソフトウェアを使用して製造した製品をファーウェイに送ることを禁止する、いわゆる外国直接製品規則(FDPR)の使用によるものだ。
一方、ワシントン・ポストの情報源によると、いわゆるFDPRの使用により、企業が米国の技術を使用してチップを製造した場合、世界のどこであれ、米政府のライセンスなしに特定の高度なコンピューターチップを中国のバイヤーに販売することができなくなるとのことだ。
こうした高度なコンピューティングシステムは、核兵器や極超音速ミサイル、ミサイル防衛の開発に利用される可能性があると、当局者はワシントン・ポストに対して述べている。国家安全保障局とエネルギー省による2016年の報告書によると、ここで米国のリーダーシップが失われれば、国家安全保障が「著しく損なわれ」、「米国経済の収益性の高い部分が損なわれる」ことになるという。
さらにワシントン・ポストによると、バイデン政権はまた、中国の大手メモリーチップメーカー・長江メモリ(YMTC)や、中国の大手プロセッサーメーカー・中芯国際集成電路製造有限公司(SMIC)といった中国企業が使用するチップ製造ツールの中国への輸出を制限しようとしている。もしこの規則が現在の構想通りに制定されれば、14ナノメートル以下のチップのためのアメリカの製造・設計ツールへのアクセスが断たれることになる。
ただ、SMICは、仮想通貨の採掘のためのマイニング・プロセッサに関するTechInsightsによる調査の結果、現在の制裁措置により最先端の装置技術へのアクセスが制限されているにもかかわらず、 7nmプロセス技術を使用していることが確認されている。
先月、米国政府はNVIDIAがGPUのA100とH100の香港を含む中国とロシアへの輸出に対して新しいライセンス要件を課したことが、SECへの提出書類によって9月1日に判明した。この措置はAMDが販売するGPU、MI250にも課せられた。
ここ数週間、米国のチップメーカーや製造装置販売業者の中には、装置メーカーのラムリサーチ、KLA、アプライドマテリアルズ、チップメーカーのNVIDIAやAMDなど、新しい規制に関する政府の通知を受け取ったと公言する企業がいる。