AIの過激なゲームチェンジ:ChatGPT級の言語AIがオープン化

MetaはChatGPT級の大規模言語モデル(LLM)を無料公開し、商業利用を認めるという過激な戦略をとった。OpenAIやGoogleは先駆者のリードを失ったが、言語AIの進歩が加速したのは間違いない。

AIの過激なゲームチェンジ:ChatGPT級の言語AIがオープン化
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MetaはChatGPT級の大規模言語モデル(LLM)を無料公開し、商業利用を認めるという過激な戦略をとった。OpenAIやGoogleは先駆者のリードを失ったが、言語AIの進歩が加速したのは間違いない。


Metaは7月18日(米国時間)、次世代のオープンソース大規模言語モデル「Llama 2」の提供開始を発表した。

MetaはLlama 2 の性能を誇っている。Metaの研究では、チャットボット型のLlama 2-ChatとGPT-4を含む他のLLMとの競争では、勝ちか引き分けが大半を締め(図表㊧)、GPT-4に対するLlama 2-Chatの有用性と安全性の勝率でも、緑色の領域でLlama 2 Chatが勝っている(図表㊨)。

Metaの採用した基準では、他のモデルと比較した安全性に関する人間による評価結果でも、Llama 2-Chatの成果は好ましいものだった(図表)。

フィナンシャル・タイムズによると、MetaのチーフAIサイエンティストであるヤン・ルカンは、Llama 2の発表を予告した上で「AIの競争環境は、今後数カ月、あるいは数週間のうちに完全に変わるだろう。Metaは、個人や企業など、ユーザーのタイプに特化したAIチャットボットを作るかもしれない」と語っていた。

Metaがオープンソース言語AIのリリースを予告 「競争環境を一変」とAIチーフ[吉田拓史]
Metaはオープンソースの大規模言語モデル(LLM)を間もなくリリースすると発表した。OpenAI / MicrosoftとGoogleとは異なる開放型のアプローチが競争環境を一変する、と同社は強調した。

オープンソース化は戦略的な意味合いを多分に含んでいる。ほぼすべてのプレイヤーに対してLLMに挑戦するハードルを引き下げることになり、Microsoft / Open AIのリードを無効にする。

Llama 1では、LLaMAを微調整したモデルがGPT-4とPalmに性能で伯仲するまでにかかった期間が3週間程度だった。モバイルデバイスへの移植でも動作確認まで同様に3週間程度しか要さなかった。構築費用は「600ドル以下」であったと報告されている。

LLMが大手企業しか参加できないハイステークゲームだという前提は覆され、Google社内で共有されたメモは「我々には堀がなく、OpenAIにもない」と訴えた。

今回のLlama 2は以前のアカデミア、エンジニアに限定されたライセンスとは異なり、商業利用を許可しているため、ゲームを変える劇薬となりうる。

Microsoftはゲームをひっくり返されることをすでに織り込んでいるのかもしれない。MetaはLlama 2の優先パートナーとしてMicrosoftとのパートナーシップを一段引き上げ、生成AIにおける取り組みを拡大すると明らかにした。Microsoft Azureを使用する開発者はLlama 2を使って設計し、コンテンツフィルタリングや安全機能のためのクラウドネイティブツールを活用できる。また、Llama 2はWindows上でのローカル動作に最適化されているため、開発者は、顧客がさまざまなプラットフォームで生成AI体験を享受できるようにするワークフローを実現できるという。

ルカンは、将来的にライセンス料を徴収する可能性に言及していた。ただ、現状の商用利用は無料とみていいだろう。Metaは「月間アクティブユーザー数が 7 億人を超える場合、お客様は Meta にライセンスを要求する必要がある」と規約に書いているが、7億ユーザーを持つのは、Metaが「競合認定」している米中のビッグテックだけだ。

十分に普及し、利用者がロックインされたときを見計らって値上げを始める、というライセンス・ソフトウェアの常套戦略の一つを目論んでいるようにも見える。

エッジデバイスでの利用を促進する協業も加わった。Qualcomm Technologiesは、スマートフォンやPC上でLlama 2を活用したAIの実装を2024年より提供すべく、Metaと協業していると発表した。Qualcommが提供するSnapdragonはスマートフォン用システムオンチップ(SoC)のシェア1位であり、この協業によってエッジデバイスでのLLM活用が想定される。Qualcommは、デバイス上でLlama 2ベースのAI実装を利用できるようにし、AIアプリケーションの作成を可能にする予定だ。 Llama 1ですでにそのような例がある。これがチップ側で最適化されれば、よりユーザーの便益が向上することは想像に難くない。

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