新型コロナとデジタルジャーナリズム ゲスト: エディ・ダン Axion Podcast #15

今回のポッドキャストは、George Washington Universityでジャーナリズムと国際関係論を学ぶダン・エディ(Eddy Duan)さんと「コロナとデジタルジャーナリズム」について議論しました。

新型コロナとデジタルジャーナリズム ゲスト: エディ・ダン Axion Podcast #15

Axion Podcastは、テクノロジー業界の最新トレンドを、元DIGIDAY編集者で起業家の吉田と280万会員の写真を扱うベンチャーの事業統括者の平田でディスカッションする対話形式のラジオです。Apple PodcastSpotifyGoogle PodcastAnchorでも聴取可能です。

スピーカーの紹介

ダンエディ Eddy Duan

架け橋的ジャーナリスト志望の20歳。関心分野は日米中関係、情報の信頼性向上、報道の公平さなど。現在Factcheck Initiative Japanで新型コロナウイルス関連のプロジェクトに参加している。

アメリカ生まれの中国人として東京で育ち、幼い頃より外国人に対する世間のステレオタイプに懸念を抱く。特に2012年ごろの日中対立の激化を目の当たりにした事で、分断を許さず世界の架け橋となれる国際ジャーナリストを目指すようになった。高校では、世界的問題となった偽情報の蔓延に触発されメディアリテラシー教育の研究を主に行った。

12歳より朝日中学生新聞特派員、高校では広報委員長や生徒主体の研究ゼミ長を務め、大学ではジャーナリズム専攻を目指し渡米。現在はGeorge Washington University 2年生としてジャーナリズムと国際関係を二重専攻。これまで、大学在学中に朝日新聞アメリカ総局にてインターン、大学新聞GW Hatchetではライターを務めた。

より公平で正確な情報の生態系構築を模索している。

第11回「メディアのデジタル化は日本でも起こる?」に出演した小宮貫太郎(@KantaroKomiyaJP)とJanguard: ジャーナリズム最前線リポート(https://note.com/janguard/n/n9ea8059eb7fb)を主宰。

ホスト:吉田拓史 Yoshi (@taxiyoshida)

記者, 編集者, Bizdev, Product Manager, Frontend Engineer. 早稲田大学政治経済学部卒業後, ジャカルタで新聞記者を5年. 米系デジタルマーケティングメディアDIGIDAYの日本版創業編集者を経て, デジタル経済メディアAxion(アクシオン)を創業. プロフィールサイトLinkedInを参照. ■Twitter  ■BlogNewsletter  ■You Tube

話した内容

今回は、George Washington Universityでジャーナリズムと国際関係論を学ぶダン・エディ(Eddy Duan)さんと「コロナとデジタルジャーナリズム」について議論しました。

  1. 広告出稿の急減。デジタル広告最大手のGoogle、Facebookも第二四半期は厳しいとの見通し。アメリカのメディアでレイオフが起きている。ニューヨーク・タイムズのように広告からサブスクリプション中心に収益構造を転換できた会社は、新型コロナの影響を軽減、一部には追い風にしている会社もある。
  2. レイオフは悲しいが、日本の終身雇用、年功序列で固定化したメディアの雇用制度には厳しさがなく、競争が失われている余地がある。
  3. ジャーナリズムは「歴史の第一稿」を作ること。歴史を自己検証するために最初の情報を作る。
  4. 記者クラブ制度はひとつの取材、情報生成手法における「早押しクイズ」の傾向を生み出してしまうし、場合によっては権力の監視が効かなくなる。
  5. 黒川検事長の麻雀問題では「検察の独立性」についての議論の素地をマスメディアは説明できると良かった可能性がある。検察が独立していることにも検察がより内閣の影響力を受ける状態にあることにも、どちらも便益とリスクがつきまとう。
  6. ニューヨーク・タイムズのように経営の危機に直面することで、会社のあり方の大転換に成功した新聞社も存在する。
  7. 報道倫理は裁判の結果によってコロコロ変わる。場合に拠る。「記者が情報を得るために何をしていいか」について米国では取り決めをし、監視するための非営利組織(NPO)があるが、日本にはそれらしきものがない。
  8. フィルターバブルは、エンターテイメントの分野においては問題にならないが、政治や社会に関連する情報の取得において、それが生じていると、社会にとって大きなリスクになる。ソーシャルメディアが社会の二極化と関連性がある可能性は高いように見える。米国ではすでに2つに割れきってしまい、両社のコミュニケーションが生じるべくもないレベルまで到達した。
  9. 現状のインターネット情報の副作用(フェイクニュース、トロール、依存、極性化)の大きな要因としてモバイルがある。モバイルは社会に大きな便益をもたらしている一方で、人をフックさせ、膨大な時間を使わせ、時に人を扇動するための経路になる。

イントロとアウトロの曲

吉田が大学時代に作った曲です。

Photo by Brian McGowan on Unsplash

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OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

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OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

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アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史
新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)