EVのモーターがレアアースを必要としなくなる
テスラは次世代のモーターが希土類(レアアース)・フリーであると明言し、EV業界におけるレアアース削減の動きを主導した。中国の供給網支配は強烈で、EVメーカーはリスク分散が求められている。

テスラは次世代のモーターが希土類(レアアース)・フリーであると明言し、EV業界におけるレアアース削減の動きを主導した。中国の供給網支配は強烈で、EVメーカーはリスク分散が求められている。
テスラは、3月初旬の投資家向け説明会で、次世代のモーターにレアアースのネオジム磁石を使用しないと発表した。
パワートレイン・エンジニアリング担当バイスプレジデントのコリン・キャンベルは「Model 3 とModel Yのパワートレインはすでにレアアースの消費量を4分の1に削減しており、テスラの次期ドライブユニットにはこの材料を一切使用しない永久磁石モーターを採用する」と述べた。
説明では明言されなかったが、テスラの次世代モーター設計においてネオジム磁石に代わる最も可能性の高い候補は、フェライト磁石であると予想される。フェライト磁石は酸化鉄を主成分にコバルトやニッケル、マンガンなどを混合焼結した磁性体だ。
ただし、影響は限定的なようだ。金属・鉱物のアドバイザリー会社Adamas Intelligenceの調査によると、世界のネオジム磁石の消費量のうちEVモーターが占める割合は12%で、そのうちテスラは約15%から20%を担っていたという。
テスラがレアアース不要の新しいモーターをすぐに商業化し、規模を拡大できると仮定しても、世界のレアアース磁石市場は「短期的には需要のわずか2~3%を失うだけで、テスラがEV市場のリーダーシップを維持すると仮定すると長期的には最大3~4%になる」とAdamas Intelligenceは書いている。
だが、テスラの決断を他社が追随する可能性はあり、レアアース・フリーは長期的な共通の目標になりうる。