メディアのデジタル化は日本でも起こる? ゲスト小宮貫太郎 Axion Podcast #11

在米ジャーナリストの小宮貫太郎さんと「ジャーナリズムの未来」について議論。欧米メディアで著しく進むデジタル化が、日本のメディア業界にも起きるのか。

メディアのデジタル化は日本でも起こる?  ゲスト小宮貫太郎 Axion Podcast #11

Axion Podcastは、テクノロジー業界の最新トレンドを、元DIGIDAY編集者で起業家の吉田と280万会員の写真を扱うベンチャーの事業統括者の平田でディスカッションする対話形式のラジオです。Apple PodcastSpotifyGoogle PodcastAnchorでも聴取可能です。

今回は、在米ジャーナリストの小宮貫太郎(@KantaroKomiyaJP)さんと「ジャーナリズムの未来」について話し合いました。欧米メディアで著しく進むデジタル化が、日本のメディア業界にも起きるのか。

スピーカーの紹介

小宮貫太郎 (@KantaroKomiyaJP)

21歳の在米ジャーナリスト。Bloomberg東京支局や英字紙Japan Times、マレーシア現地メディアで記者してました。アメリカ外国特派員クラブ学生賞受賞者。板橋出身→東京外大に4ヶ月→DePauw大学経済学専攻3年生。次世代のビジネスニュース/ニュースビジネスの二兎を追求中 ■TwitterProfile

ホスト:吉田拓史 Yoshi (@taxiyoshida)

記者, 編集者, Bizdev, Product Manager, Frontend Engineer. 早稲田大学政治経済学部卒業後, ジャカルタで新聞記者を5年. 米系デジタルマーケティングメディアDIGIDAYの日本版創業編集者を経て, デジタル経済メディアAxion(アクシオン)を創業. プロフィールサイトLinkedInを参照. ■Twitter  ■BlogNewsletter  ■You Tube

話したこと

  1. ブロックチェーン技術のメディア運営への応用。マイクロペイメントが可能になれば、少額の課金が可能になる。メディアはクレカ会社などの手数料から解放される。
  2. 吉田はSteemitと有料購読メディアの間の子のようなものを作っていた。「ゲーム内通貨」的な使い方も興味深いが、ビットコインなら、すべてのプラットフォームを通底して使える。
  3. 吉田は、メディアが仮想通貨を活用する目的の1つは、収益ストリームを、GAFAによる寡占状況のアドテク(デジタル広告)から、多様化することだと考えていた。
  4. 読まれる記事はゴシップ。ジャーナリズムらしいものは、あまり大きな反響を得ない傾向がある。
  5. 小宮がジャーナリズムに興味を持ったのは、パナマ文書
  6. 金融市場の取引の大半がAIで行われているように、ストレートニュースの大半の取り扱いが、AI対AIで行われるようになるかもしれない。
  7. 必要な「ジャーナリスト」とは、社会の行方を探る人。重要な問題を人々が理解しやすい形で伝えられる人。コンピューターが代替できない次の世界のあり方への洞察、予測等を見つけられる人。
  8. 小宮が留学しているアメリカでは、ジャーナリズムをめぐる研究の基盤がある。ハーバード大学のNieman Journalism Labがその典型例。
  9. アメリカの地方紙はかなり厳しく、倒産が相次いでいる。地方紙が去った自治体の一部では、監視の目がないため、政治的腐敗が起きているという報告が相次いでいる。
  10. 小宮は次のインターンシップはダウ・ジョーンズ。創業120年超のメディア企業で、経済新聞「ウォールストリート・ジャーナル」の発行元。
  11. フィルターバブル。レコメンデーションエンジンの中身のアルゴリズムの「目的」の設定が鍵となっており、広告モデルの場合は、それがインプレッション(デジタル広告のスクリーンへの表示回数)やそれに類するものに設定されている。それは、クリックベイト、信憑性の怪しい情報などのような「低品質コンテンツ」をユーザーに押し付ける「加速器」のような役割を果たしている。
  12. 記名記事の必要性。欧米の個人主義との違いのせいか、日本でも記名は始まっているが、「個人がその情報を作っている」ということを受け入れる文化がまだないのかもしれない。
  13. 海外メディアは少数精鋭で運営しているが、日本メディアは仕事の細分化と組織の階層化が著しい。年功序列、終身雇用の日本的経営を守ることを主眼に組織運営をしているため、組織としてのパフォーマンスには疑問符がつく。事実上、雇用問題であるため、解決は難しそうだ。
  14. また、日本の大半の大手メディアは不動産、野球チーム、テレビ局等の多角経営を行い、潤沢な資産を保有している。新聞社が儲からなくとも、ホールディングス全体が沈むわけではなく、英米メディアのように急速に改革を進める理由が見つからない。
  15. 小宮がインターンしていた Malaysiakini では、中国語と英語の読者に課金を求めるというような「言語ごとの課金」を実行していた。
  16. 日本のメディアのデジタル変革は、漸進的にしかおきないと予想される。スクラッチから作るのが、いいのではないか(と思い、吉田は起業した)
  17. 日本の既存メディアには十分な存在意義がある。たとえば、霞が関のことを知りたかったら、NHKのニュースを1時間視るだけで、たくさんのことがわかる。経済産業省や経団連のことを知りたかったら、日経新聞を読めば、たくさんのことがわかる。次世代のジャーナリズムは、現在のメディアが提供している価値とは異なる価値を提供する必要があるだろう。
  18. **集団でハイエンドコンテンツを作ろう。**NetflixやSpotifyで楽しめるようなハイエンドコンテンツの製作は集団で行われている。ハイエンドのジャーナリズムコンテンツの製作もすでに多人数での製作が当たり前。商業インターネットの開始以降、リバタリアン的な、個人によるコンテンツ製作に注目が集まってきたが、ローエンドコンテンツやフェイク、トロールがインターネットの中で蔓延する現在、価値が高まっているのは、集団作業から生まれるハイエンドコンテンツ。

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訂正

吉田は自分の経歴を話している件がありますが、年号がことごとく間違っていました。正しくは、大学の学部時代が2005年〜2010年。インドネシアのジャカルタ新聞の在籍が2010〜2015年、DIGIDAY[日本版]の在籍が2015年〜2017年。Axion運営が2017年以降。日曜の朝の収録だったので、寝ぼけていたのかもしれません。

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新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

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世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

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新型ジェットエンジンが超音速飛行を復活させる可能性[英エコノミスト]

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1960年代以来、世界中のエンジニアが回転デトネーションエンジン(RDE)と呼ばれる新しいタイプのジェット機を研究してきたが、実験段階を超えることはなかった。世界最大のジェットエンジン製造会社のひとつであるジー・エアロスペースは最近、実用版を開発中であると発表した。今年初め、米国の国防高等研究計画局は、同じく大手航空宇宙グループであるRTX傘下のレイセオンに対し、ガンビットと呼ばれるRDEを開発するために2900万ドルの契約を結んだ。 両エンジンはミサイルの推進に使用され、ロケットや既存のジェットエンジンなど、現在の推進システムの航続距離や速度の限界を克服する。しかし、もし両社が実用化に成功すれば、超音速飛行を復活させる可能性も含め、RDEは航空分野でより幅広い役割を果たすことになるかもしれない。 中央フロリダ大学の先端航空宇宙エンジンの専門家であるカリーム・アーメッドは、RDEとは「火を制御された爆発に置き換える」ものだと説明する。専門用語で言えば、ジェットエンジンは酸素と燃料の燃焼に依存しており、これは科学者が消炎と呼ぶ亜音速の反応だからだ。それに比べてデトネーシ

By エコノミスト(英国)
ビッグテックと地政学がインターネットを作り変える[英エコノミスト]

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今月初め、イギリス、エストニア、フィンランドの海軍がバルト海で合同演習を行った際、その目的は戦闘技術を磨くことではなかった。その代わり、海底のガスやデータのパイプラインを妨害行為から守るための訓練が行われた。今回の訓練は、10月に同海域の海底ケーブルが破損した事件を受けたものだ。フィンランド大統領のサウリ・ニーニストは、このいたずらの原因とされた中国船が海底にいかりを引きずった事故について、「意図的なのか、それとも極めて稚拙な技術の結果なのか」と疑問を呈した。 海底ケーブルはかつて、インターネットの退屈な配管と見なされていた。現在、アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトといったデータ経済の巨人たちは、中国と米国の緊張が世界のデジタルインフラを分断する危険性をはらんでいるにもかかわらず、データの流れをよりコントロールすることを主張している。その結果、海底ケーブルは貴重な経済的・戦略的資産へと変貌を遂げようとしている。 海底データパイプは、大陸間インターネットトラフィックのほぼ99%を運んでいる。調査会社TeleGeographyによると、現在550本の海底ケーブルが活動

By エコノミスト(英国)