Grabの企業価値400億ドルは高過ぎる

Grabの企業価値400億ドルは高過ぎる

トヨタ、三菱UFJ、ソフトバンクGなどの多数の日本企業が出資するGrabは難点を含んだSPACとの合併上場を控えている。同社の400億ドルの企業価値は他国の配車・料理宅配企業と比較して高過ぎる。

吉田拓史

要点

トヨタ、三菱UFJ、ソフトバンクGなどの多数の日本企業が出資するGrabは難点を含んだSPACとの合併上場を控えている。同社の400億ドルの企業価値は他国の配車・料理宅配企業と比較して高過ぎる。


シンガポールを拠点とする「スーパーアプリ」であるGrabは12月2日(米国時間)にナスダックに上場する。Altimeter Growthとの逆合併によってGrabは400億ドル(約4兆5600億円)近い企業価値をつけることになる。

この取引の一環として、Grabは、モルガン・スタンレー、ブラックロック、シンガポールの整形ファンドのテマセク、フィデリティ、アルティメーター、T. ロウ・プライスのPIPE(上場企業の私募増資)による40億ドルの民間投資を含めた、45億ドルの現金を受け取る。

Grabは自らを「スーパーアプリ」と称し、バイクタクシー、配車、料理宅配、モバイルペイメントなどのサービスを提供している。東南アジア市場に注力しており、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、カンボジア、ミャンマーで事業を展開。

同社は2012年に配車アプリとしてサービスを開始し、Uberとの競争の結果、Uberと真っ向勝負することは持続不可能になり、2018年3月、UberはGrabの23%の株式を持って同地域から撤退することに合意した。その後、Uberの株式は16.6%に縮小し、Grab上場後は14.3%になる。

Uberの撤退に伴い、GrabはUberEatsのフードデリバリー事業を引き継ぎ、同年5月にGrabFoodを立ち上げた。また、Grabはフィンテック分野に進出し、2017年にGrabPayウォレットを導入し、その翌年にGrab Financial Groupを立ち上げた。

2020年12月、グラブは地元の優良通信事業者シングテルとの提携により、シンガポールでデジタルバンクのライセンスを獲得した。グラブはこの合弁会社に60%の株式を保有する。また、マレーシアではデジタルバンクライセンスを申請し、インドネシアではパートナーのEmtek Groupと共同で銀行業への参入を模索している。

低迷するビジネス

しかし、今回設定された400億ドルの企業価値は高すぎる可能性がある。Grabの収益に対する企業価値の比率(株価売上高倍率=PSR)は、配車の同業他社であるUberやLyftの2倍以上だ。

ソフトバンクGが関与する新興企業が上場後、高すぎたバリュエーションから転落するのは頻出するパターンである。

11月、インドでは同じくソフトバンクGが投資するPaytmが過去最大のIPOを行い、高く設定されすぎたバリュエーションが崩壊し、発行価格から最大40%減の水準まで株価が落ち込んだ。ソフトバンクが筆頭株主だったDiDi Global(滴滴出行)も当初は1000億ドルのバリュエーションでの上場を望んだが、600億ドルまで切り下げられ、現在は360億ドル周辺で推移している。

WeWorkの場合は一度上場を諦めなければならず、致命的な不発弾となり、ソフトバンクGに1兆円以上の損失を与えたが、これも上場審査の甘いSPACで市場に押し込んだが、現在、SPAC上場の基準価格である10ドルを割り込んだ8.5ドルを付けている。時価総額は62億ドルで、ソフトバンクが2018年段階で付けた420億ドルとその後の上場目論見で検討された1,000億ドルのレンジとはかけ離れたものとなっている。

Grabの上場への険しい道程

GrabのSPAC上場への道は険しいものだった。同社は当初、米国での上場を7月に予定していたが、一部の財務書類が欠け、同社の会計と国際会計基準(IFRS)との間に齟齬があることが分かり、米証券取引委員会(SEC)に過去3年間の監査を要求されたため、第4四半期に上場を延期していた。

9月には、Grabはパンデミック関連の移動制限が不確実であることを理由に、通年の業績予想を下方修正した。

11月中旬に発表された第3四半期決算では、収益が減少する中でGrabの赤字幅は膨らんでいる。調整後EBITDAベースでは、第3四半期の損失は2億1,200万ドルとなり、前年同期比で66%拡大した。純損失は9億8,800万ドルで、前年同期の621万ドルを59%上回った。特にパンデミックによる移動規制がGrabの配車事業を圧迫し、9月に終了した第3四半期の収益は9%減の1億5,700万ドルとなった。

また、GMVと収益の成長が乖離する奇妙な現象も起きている。Grabの第3四半期の売上高の減少は、同社の商品総価値(GMV)が32%増の40億ドルに達したにもかかわらず起こったものだ。第3四半期の収益はGMVの3.9%で、前年同期の5.6%、第2四半期の4.6%から減少している。これは、事業のドライバーに資さない「本質的ではないGMV」がかさ増しされた可能性を示唆している。

料理宅配へのシフト

セグメントごとの状況を見てみると、Uberと同じようにパンデミックによって料理宅配へのシフトが起きている。

Grabの配車事業は低調で収益は26%減の8,800万ドルとなった。調整後EBITDA(金利・税金・減価償却前利益)は26%減の6,400万ドルだった。Grabの8つの市場のうち、6つの市場が移動規制の強化による影響を受け、第3四半期の大部分で「移動GMVがゼロかそれに近い状態」となった。

配車と同様にGrab Financial Groupを含む金融サービス事業の収支も悪化した。調整後EBITDAは前年同期の5,800万ドルの損失に対し、7,600万ドルの損失に拡大した。

第3四半期の収益の中で唯一明るい話題となったのは料理宅配で、収益は58%増の4,900万米ドルとなった。損失はわずかに縮小し、調整後EBITDAの損失は2200万ドルとなり、100万ドルの改善となった。

Grabは食料品配送事業であるGrabMartへの投資を継続しており、GMVは前年比380%の伸びを示しました。地域全体でGrabMartに新たな大手小売チェーンを追加している。また、同社は小包の配達まで事業を拡大している。11月には、Lazadaとの提携を発表し、販売者がGrabExpressを介してシンガポールの消費者に即日配達サービスを提供できるようにした。

しかし、この主の料理宅配や物流業は通常のテック企業のような高収益性のビジネスを表現しないことが、Uber、DiDi Global、Delivery Heloのような先行プレイヤーがすでに示している。Grabは「スーパーアプリ」としての発展性を主張するかもしれないが、現状の収益規模ではUberとほぼ同じ事業構成とみていい。

今後も続く東南アジア勢のSPAC米上場

東南アジアのスタートアップエコシステムは、日本とは異なり活気に満ちている。今年の同地域におけるユニコーンの数は20社以上に急増し、過去10年間の総数を上回っている。

インドネシアのKredivoやシンガポールのPropertyGuruなど、多くの東南アジア企業が来年中にニューヨークでSPACルートによる株式公開に合意しており、Ninja VanやCarroなどの企業も近い将来の株式公開に関心を示している。

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