MicrosoftのActivision買収案に暗雲漂う
2018年7月14日(土)、米ニューヨークのMicrosoft旗艦店の外観に表示された看板。Mark Kauzlarich/Bloomberg

MicrosoftのActivision買収案に暗雲漂う

大手テクノロジー企業に対する反トラスト規制が厳格化する中、Microsoftは多くの買収を実現してきた。しかし、687億ドルのActivision Blizzard買収案は余りには、シビアな視線が注がれている。

吉田拓史

大手テクノロジー企業に対する反トラスト規制が厳格化する中、Microsoftは多くの買収を実現してきた。しかし、687億ドルのActivision Blizzard買収案は余りにもゲーム業界に及ぼす影響が大きそうであり、シビアな視線が注がれている。


ロイターが入手したEUの文書によると、EUの反トラスト規制当局は、Microsoftが、Activision Blizzardのベストセラーゲーム「コール オブ デューティ(Call of Duty)」へのライバル企業のアクセスを阻止するインセンティブがあるかどうかを、各ゲーム会社に問い合わせているという。

EUの規制当局は、2022年11月8日までにこの取引を認可するかどうかの予備的決定を下す予定であり、また、Activision Blizzardのユーザーデータが、新しいゲームを開発・公開する際にXboxメーカーに競争力を与えるかもしれないと感じるかどうかもゲーム開発者に尋ねている。

規制当局は、開発者に送付したアンケートで、この取引が、Xbox Game Passを含むマイクロソフトのプラットフォームやサービスでコンソールやPCタイトルを販売しようとするパブリッシャーやディストリビューターの交渉力に影響を与えるかどうかを理解しようとしている。

開発者には合計で約100の質問が提示され、2022年10月10日までに回答を提出することになっている。EUの規制当局が予備的な決定を下すまで1カ月を切っており、彼らがどちらに傾いているかを知るのに長く待つ必要はないだろう。

他の規制当局も、独自の調査の一環として、業界の主要プレイヤーを調査している。8月には、ブラジルの規制当局がそうした調査文書を公開し、マイクロソフトが「Call of Duty」を所有することで、人々がどのゲーム機を購入するかに影響を与えかねないというソニーの懸念が明らかにされた。

ブラジルの経済防衛行政審議会(CADE)の公開資料によると、Xbox Game Passは、昨年のXboxの総収入の18%、Microsoftのゲームとサービスの収入(126億ドル)の23%を占めている。Microsoftの2021暦年の収益は1,849億ドルで、Xbox Game Passはこの期間の同社全体の収入のわずか1.57パーセントを占めているに過ぎない。

同じCADEのレポートでは、任天堂、ソニー、マイクロソフト、EAが「ゲーム配信サービス」でどれだけの市場を開拓しているか、推定値が示されている。マイクロソフトは、Xbox Game Passについて、市場の30-40%に位置し、その収益は29億ドルである。CADEは、ソニーが40~50%で市場リーダーとなっているが、その収益は記載されていない。しかし、フォーブスの計算では、ソニーは昨年、PS Plusと(現在は廃止されている)PS Nowから最大42億ドルの収益を上げることができたことになる。

マイクロソフトは、Activision Blizzardの買収について、専用のウェブページを公開し、プレイヤーからクリエイター、業界全体に利益をもたらすと説明している。

米国の連邦取引委員会と英競争・市場庁(CMA)は、ともに調査の第二段階に入っている。前者は11月末までに、後者は3月1日に最終報告書を作成する予定であると報道されている。

CMAは9月初旬、ゲーム業界のライバルに損害を与える可能性があることを懸念していると発表した。CMAによると、調査グループには4人が任命されたことも判明している。いわゆる第2段階のCMA調査は、この独立した委員会が予備調査によって提起された懸念を検証するもので、詳細な評価には数ヶ月から半年以上かかる可能性もある。

4月にはブルームバーグは「ウォール街は買収非実現に賭けている」と報じた