8月3週のニュースまとめ

バイトダンスは中国政府の掌の上

8月3週のニュースまとめ

今週のトップニュース

中国政府は4月にByteDanceの1%の株式を取得し、ByteDance Technology Co. Ltdの3人の取締役会のうち1席の権利を有しているとThe Informationが報じた。微博(ウェイボー)も同様に、政府系企業に株式1%を売却し、取締役1人を指名する権利を与えていたとWSJが報じた

米国

  1. NVIDIAの5-7月の収益は65億1,000万ドルで、市場予想(63億3000万ドル)を上回った。データセンター部門の売上高は前年同期比35%増の23億7,000万ドルに達した。ゲーム関連の売上高は85%増の30億6,000万ドルだった。
  2. Facebookは仮想通貨ウォレットNoviをFacebookアプリに統合する計画。米国のほぼすべての州の認可を取得済みとのこと。同社の仮想通貨(ステーブルコイン)Diemのお目見えとなるか。
  3. アークへの逆張りが流行。映画と小説「世紀の空売り」で有名なマイケル・バーリ氏など著名ヘッジファンド運用者がアークの旗艦ファンドへの空売りポジションを明らかにした。
  4. モデルナは、HIV向けmRNAベースのワクチンについて、早ければ今週中にも臨床試験を開始する見込み。同社はHIV陰性の18歳から50歳までの56人を募集している。
  5. ゲンスラー委員長は、中国企業が米国上場のために利用するペーパーカンパニーのIPO承認を当面「停止」するようスタッフに指示したと明らかにし、これらの企業の仕組みについて投資家がより多くの情報を得ることを望むと語った。
  6. 米小売最大手ウォルマートが仮想通貨の専門家を雇おうとしている。社内に小さなチームを組織したAmazonに対抗する狙いか。
  7. 米運輸省道路交通安全局がテスラのオートパイロットシステムに対して調査を開始。オートパイロットを使用していたテスラ車両が1台以上の車両に衝突したのが、2018年初頭以来11件に上るという。
  8. FacebookとGoogleは、日本と東南アジアを結ぶ新しい海底ケーブルを計画。2024年に開通予定のアプリコットケーブルは、日本、台湾、グアム、フィリピン、インドネシア、シンガポールを結ぶ12,000kmの海底ケーブル。
  9. TSMCは2022年後半にApple製品向けの3nmプロセスの量産を行う計画だと報じられた。TSMCを追走する「最後の一人」となったサムスンは、3nmでリスクの高い逆転劇を狙うが、投入時期の後退が伝えられている。https://www.axion.zone/tsmc-is-winning-completely/
  10. 労働市場の逼迫の影響から、ギグエコノミー企業のホストや運転手確保の費用が急増。AirbnbはQ2の営業マーケ費用が175%増加して3億1530万ドル。DoorDashの同四半期の営業マーケ費用は154%増の4億2,700万ドル。

中国・アジア

  1. 中国の独占禁止法の監視機関である国家市場規制局が、インターネット企業間の不公正な競争を禁止する規則案を発表。アリババ、テンセント、JDの株式は、発表後の香港取引でそれぞれ2%、3%、4.6%下落した。
  2. WSJによると、中国では現在、「共同富裕」という格差解消のスローガンが演説から国営メディア、学校まであらゆる場所で掲げられており、馬雲(ジャック・マー)など当局の制裁対象となった実業家らもこのスローガンに言及し始めた。
  3. 「精神的アヘン」報道以降、株価が低迷するテンセント、6月までの四半期の純利益は前年同期比29%増の426億人民元(約7,200億円)。 約340億人民元のアナリスト予想のコンセンサスを上回った。
  4. 百度(バイドゥ)は7nmのAIチップ「Kunlun 2」が量産開始したと発表した。Kunlun 2は自社開発した第2世代のXPUアーキテクチャを採用し、第1世代と比較して2~3倍の性能向上を実現したという。
  5. 中国のフードデリバリー大手美団は、自律走行のスタートアップ企業であるQCraftの最新の資金調達ラウンド(1億ドル)に投資。QCraftは自律走行バスのいわゆるロボバス(Robobus)を開発している。
  6. 上海市政府とCATL社は、上海で戦略的協力枠組み合意書を締結した。協定によると、両者は新エネルギー分野での協力を包括的に深め、CATL(上海)イノベーションセンター、国際機能本部、ハイエンド製造拠点、未来エネルギー研究所などの関連プロジェクトの実施を推進する。
  7. 中国情報通信技術学院(CAICT)が1日に発表した報告書によると、中国の7月の携帯電話の出荷台数は2,867万6千台で、前年同月比28.6%増、前月比11.7%増。

インド

  1. SaaSスタートアップのPostmanは、2億2,500万ドルを調達し、企業価値は56億ドルとなり、BrowserStackを抜いてインド最大のSaaS企業となった。
  2. 資産運用サービスのSmallcase Technologiesは、シリーズCの資金調達ラウンドで4,000万ドルを非公開の企業価値で調達した。出資にAmazonが参加したことが話題を集めている。
  3. Amazonは、バンガロールでフードデリバリーアプリ「Amazon Food」の提供を開始してから1年が経過したが、出前市場では、ZomatoとSwiggyから突き放されている。
  4. 最高裁判所はインド政府に対し、政府がジャーナリスト、政治家、活動家、ビジネス界の大物、裁判官などの電話にNSOグループのスパイウェア「ペガサス」を使用して盗聴したとされる件について、独立した調査を求める多数の請願書への回答を求めた。

日本

  1. スマートフォン決済大手PayPay(ペイペイ)は10月から中小事業者向けの決済手数料を変更し、手数料率を最低1.6%とする方針を固めた、と日本経済新聞が報じた
  2. 米電気自動車(EV)大手のテスラが電力需給の調整弁となる大型蓄電池と制御システムを電力事業者に供給する。国内相場の約5分の1の価格で販売する予定だ。

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OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

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By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

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アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史