ブラジルのNuBankが南米過去最大の500億ドル上場へ
ブラジルのフィンテック企業NuBankが南米企業過去最大級の500億ドルの米上場を申請した。硬直的な既存銀行業界とモバイルインターネット、金融サービスから阻害された大勢の人々と同社がさらに成長する余地は十分にある。
要点
ブラジルのフィンテック企業NuBankが南米企業過去最大級の500億ドルの米上場を申請した。硬直的な既存銀行業界とモバイルインターネット、金融サービスにアクセスできない大勢の人々…と同社がさらに成長する余地は十分にある。
億万長者ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイが支援するブラジルのフィンテック企業NuBankが、新規株式公開の場としてニューヨーク証券取引所(NYSE)を選んだと、関係者が語っている。
この取引は12月に行われる予定で、Nubank(同社)の価値は500億ドル以上になると、ブルームバーグが引用した関係者は語っている。上場審査は継続中で、詳細は変更される可能性がある。
世界最大の独立型デジタルバンクであるNubankは、今年初めの資金調達でバークシャーが5億ドルの株式を購入した後、300億ドルの評価を受けていたと、関係者が当時語っていた。2013年の創業以来、Nubankはセコイア・キャピタル、テンセント、リビット・キャピタル、カゼック、QEDインベスターズなどの投資家から23億ドルの資金を調達してきた。
当時のNuのユーザー数は、ブラジル、メキシコ、コロンビア全体で4,000万人だった。そのユーザー数の多さから、Nubankは顧客数では世界最大のデジタルバンクとなっている。注目すべきは、2020年の6月には2,500万人、2018年には600万人のユーザーがいたということで、その成長と顧客獲得のペースは非常に注目に値する。
ネオバンクは、2021年上半期の純利益が7,600万BRL(1,470万ドル)となり、2020年上半期の9,500万BRL(1,840万ドル)の損失から急成長した。この純利益には、同社の他の市場であるメキシコとコロンビアの業績データは含まれていない。
また、NuBankは、主要な融資、決済、利用においても急成長を経験した。NubankのCFOであるGuilherme Lagoは、決済総額が920億BRL(178 億 4,000 万ドル)に達し、前年比で倍増したことを明らかにした。また、同CFOは、2020年12月以降、800万人以上の顧客を獲得したと述べている。
また、ブラジル中央銀行のデータによると、融資残高は前年比約2倍の230億BRL(約44億6,000万円)に達した。
今回のNubankの成果は、最近同様のマイルストーンに到達した他の大手デジタルバンクに続くものだ。
CNBCの報道によると、英国のStarlingは、2020年10月に初めて月次黒字を達成し、今年度の黒字化を目指している。NECNの報道によると、英国に拠点を置くRevolutは、2020年11月に損益分岐点に達した。また、米国に拠点を置くChimeは、TechCrunchによると、2020年9月にEBITDAで測ると利益が出ていることを開示した。
2021年7月、Nubankは初の有料口座「Ultravioleta」を開設し、月額49BRLドル(9.50ドル)で提供した。これは、Nubankがユーザーの収益化と利益の拡大を目指していることを示すものである。
2013年に設立されたNuBankは、当初はモバイルアプリで管理される手数料無料のクレジットカードを提供していたが、無料のデジタルアカウントの提供へと移行し、最近各国で隆盛を極めている「デジタルバンク」となった。現在では、個人ローン、貯蓄口座、ビジネス口座、保険を提供しており、買収により投資商品にも参入している。
停滞するブラジルの従来型銀行
ブラジルの官僚主義的な銀行業界では、従来、基本的なサービスに高い金利や手数料が課せられ、国民の多くが金融サービスから除外されてきた。銀行業界は5大金融機関の寡占が敷かれており競争が失わている。
ブラジル中銀も硬直的な銀行業界を変えるため、モバイルペイメント基盤Pixを2020年11月にリリースし、開始から11カ月で一億人に迫るブラジル人に行き渡っている。
中央銀行のデータに基づいた証券会社XPの分析によると、同社はブラジルの小売クレジットカード市場で5.4%のシェアを築いている。同社は、1億人の「熱狂的な」顧客を獲得するという社内目標を掲げており、その野望を強調している。
S&PのアナリストであるGuilherme Machadoは、「今後は収益性が徐々に改善すると予想している。彼らは現在、はるかに成熟した(クレジット)ポートフォリオを持っており、収益面でのプラスの結果を容易に得ることができるはずだ」とFTに対し語っている。
一方で、Nubankに対抗する新興企業が続々と登場している。CB Insightsによれば、6月以降、JPモルガンが40%出資し、50億ドル強の評価を受けているユニコーンのC6もその一つだ。
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