独決済大手、顧客情報を捏造しSBGから1240億円を獲得
2020年7月1日(水)、ドイツ・ミュンヘンで警察と検察の家宅捜索を受けたワイヤーカードのロゴ。 Michaela Handrek-Rehle/Bloomberg

独決済大手、顧客情報を捏造しSBGから1240億円を獲得

かつて時代の寵児だった独決済大手ワイヤカードが、ソフトバンクから9億ユーロ(約1240億円)の投資を受けるために、顧客データを偽造し、内部記録について嘘をついていたと報じられた。

編集部

かつて時代の寵児だった独決済大手ワイヤカードが、ソフトバンクグループ(SBG)から9億ユーロ(約1240億円)の投資を受けるために、顧客データを偽造し、内部記録について嘘をついていたと報じられた。

フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によると、SBGが転換社債の購入に際して、アウトソーシング・パートナーを通じて処理されたワイヤーカードの最も重要な顧客のリストを開示するよう主張したと、この詳細に詳しい関係者は述べているという。元最高経営責任者マルクス・ブラウンは当初、業務上の機密データであるとして、この要求を拒否したという。妥協案として、ブラウンと当時の上級幹部だったナヘタは、SBGの担当者がミュンヘンのワイヤーカード本社にあるコンピューターで顧客データを見ることに同意した。

ワイヤーカードが作成したスプレッドシートを引用し、マニラ、シンガポール、ドバイの3つのアウトソーシング・パートナーが収益の半分と営業利益のほぼすべてを占めていた。ワイヤーカードは自らの「信任投票」と見なされるソフトバンクからの9億ユーロの投資を確保するために、アウトソーシング・パートナーに関連する顧客データを捏造し、内部記録について嘘をついたようだ。

この問題に詳しい関係者によると、3社のアウトソーシング・パートナーには実際の顧客がいなかったため、ワイヤーカードのバイスプレジデント、ヤン・マルサレックと同僚が、ヨーロッパで展開するワイヤーカードの本物の顧客データを使ってリストを捏造したとされる。

SBGの「関連ファンド」によるワイヤーカード転換社債への投資は2019年4月に発表された。SBGはまた、ワイヤーカードと協力協定を結び、ビジョン・ファンドの企業を含む他のソフトバンク支援企業と取引する道を開いた。

その後、ワイヤーカードはこの一連の取引によって得た信用を使い、他の投資家に5億ユーロの債券を売却した。この資金により、ワイヤーカードの多額の現金を消費する事業が維持された。

ソフトバンクからの支援により、ブラウンはさらに5億ユーロの負債を調達することができたが、その後、2020年6月にワイヤーカードは収益の半分と19億ユーロ(約1,930億円)のキャッシュが実際には存在しないことを認め、破綻した。

SBGはこの捏造による悲劇の主人公ではない。SBGの「関連ファンド」の取引はワイヤーカードを一時的に救命したが、実際には、ファンドは複雑な取引の結果、即座に売り抜けていたことが発覚している。

ファンドは、ビジョン・ファンドを管理するソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ(SBIA)が管理していた。その出資者には、アクシャイ・ナヘタ、ラジーブ・ミスラ、ソフトバンクグループの元戦略責任者である佐護勝紀、アブダビの政府系ファンドの1つなど、個人的な利益を追及したSBGの幹部が少なからず含まれていた。

ソフトバンクの過酷な真実
世界で最も過激なハイテク投資家集団のソフトバンクは見事な復活を遂げた。しかし、その欠点はまだ残っており、次のストレステストが近いかもしれない。

ワイヤーカードの問題は、キャメロン元首相を巻き込み英国の一大政治スキャンダルとなった、サプライチェーンファイナンス会社グリーンシルの破綻とともに、SBGの欧州での評判に影響した事案である。

(ミスラは最近、SBGの職務の多くから離れ、中東の投資家とのパイプを活かして独自ファンドを立ち上げたが、そのファンドにすでにSBGを去ったナヘタを誘っている)