SBGが「虎の子」のアリババ株を売り220億ドルを調達
2021年11月7日(日)、東京の店舗近くに表示されたソフトバンク株式会社のロゴ。Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

SBGが「虎の子」のアリババ株を売り220億ドルを調達

ソフトバンクグループ(SBG)は市場の低迷に対応するため、今後数年間でアリババの株式を大幅に手放すことを約束するデリバティブによって、220億ドルもの現金を調達した。

吉田拓史

ソフトバンクグループ(SBG)は市場の低迷に対応するため、今後数年間でアリババの株式を大幅に手放すことを約束するデリバティブによって、220億ドルもの現金を調達した。

フィナンシャル・タイムズ(FT)は「SBGは今年、アリババ株の約3分の1を株式先渡売買契約(prepaid forward contract)を通じて売却した」と報じている。SBGは現在、保有するアリババの半分以上をこの先渡契約で「売却」したようだ。

FTによると、今年行われたアリババ株2億1,300万株の先売りは、ゴールドマン・サックス、みずほ、UBSといった銀行と行われ、ほとんどの場合、最終的な株の受け渡しは2年後まで延期される。

FTの推計によると、今年の先渡取引のペースは過去3年間の合計よりも多く、SBGはデリバティブ取引や信用貸付の担保として株式を差し入れることで、「保有するアリババの80%以上にレバレッジをかけている可能性」がある。

株式先渡売買契約は企業が株式を信託に先売りすることで金融機関から現金を調達し、買い戻さない場合は信託が株式を現金に強制転換し、金融機関に一定のリターンを載せて渡すデリバティブの一種だ。SBGはアリババ株を買い戻す権利を保持しているという。

アリババに対する出資比率が取締役会の議席を維持するための基準値以下になり、アリババの利益の一部を財務諸表で認識することができなくなる可能性がある。

FTが引用したレデックス・リサーチのアナリスト、カーク・ブードリーは、6月末までの四半期にも損失が積み上がり、SBGの高水準の単体負債に監視の目が向けられると推定している。ブードリーは、単体負債は過去18カ月間でほぼ倍増して、3月末には12.1兆円(920億ドル)になっていたと述べた。キャッシュポジションは2.9兆円であった。

SBGはビジョン・ファンドの投資件数を半減させている。ブルームバーグがまとめたデータによると、SBGは、4−6月期に35社の新興企業に資金を投入し、51億ドル相当の資金調達ラウンドに参加した。1年前の同時期は70件、総額174億ドル相当だった。SBGは、ほとんどの案件をリードまたは共同リードしていた。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの絶望
フィンテック企業への投資における新たな失態は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の行く末への懐疑を一層強くさせた。そんなさなか、ファンド創設の立役者が足抜けしようとしている。SVFに復活の望みは残されているのか。