TikTokはメタバースでもMetaの畑を荒らす

TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)が急速にメタバースへの賭けを増やしている。メタバースでもメタの畑を荒らすことになるだろうか。

TikTokはメタバースでもMetaの畑を荒らす
出典:小鳥看看科技(Pico Technology)

TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)が急速にメタバースへの賭けを増やしている。メタバースでもMetaの畑を荒らすことになるだろうか。

バイトダンスが2年前に買収したVRヘッドセットメーカーの「小鳥看看科技(Pico Technology)」は新しいヘッドセットの発売を準備していると、米テクノロジーメディアProtocolが報じた。今週、Pico 4ヘッドセットの新しい申請書がFCCを通過し、同社が「Pico 4 Pro」モデルを含む2つのバージョンのヘッドセットを導入する計画があることが明らかになった。

どちらのヘッドセットも、Metaのワイヤレスデバイス「Quest」シリーズと同様に、スタンドアロン型のデバイスだ。提出書類に含まれる文書によると、新しいPicoヘッドセットのProモデルは、顔および視線追跡機能を含むという。新しいヘッドセットの内部コードネームは「Phoenix」のようだ。この製品はAndroid Qを搭載し、クアルコムのプロセッサーを利用する予定だ。

プロプライエタリなオペレーションシステム(OS)や半導体を模索しないあたり、Metaよりも「実用的な」アプローチという印象を受ける。

Metaは独自のOSを模索したが、今年2月、拡張現実(AR)および仮想現実(VR)ヘッドセット用のOSを開発していた約300人のチームを解散し、エンジニアの一部をARグラスやOculus(あるいはQuest)ヘッドセットを開発しているチームに移動させたと報じられた。

メタ、VRとARのOSを開発する300人規模のチームを解散 - 報道
米テクノロジーメディアThe Informationの報道[https://www.theinformation.com/articles/meta-platforms-dissolves-team-developing-new-ar-and-vr-operating-system]によると、メタは、拡張現実(AR)および仮想現実(VR)ヘッドセット用のOSを開発していた約300人のチームを解散し、エンジニアの一部をARグラスやOculus(あるいはQuest)ヘッドセットを開発しているチームに移動させたと報じられている。これは、同社がVRおよびARヘッドセット用の統一カスタムOSを作成…

Metaは、同社の次世代拡張現実および仮想現実デバイスを動かすために独自のカスタムチップを作成することによって、他社の成功を再現することを望んでいる。しかし、今年4月にその計画は延期されたと米テクノロジーメディアThe Informationは報じている。

Metaはメタバースで(Metaのビジネスを圧迫する規約を作り続ける)Appleのような包括的な垂直統合を実現しようとする意欲が見え隠れするが、バイトダンスはメタバース・プラットフォームへの早い到着を優先しているように映る。

Protocolが入手した書類から分かる断片的な情報としては、新しいヘッドセットは、どうやら改訂されたコントローラと共に発売されるようである。デバイスの部分的な写真では、コントローラーとヘッドセット本体の両方が、同社の既存のPico 3 Neoラインのデバイスと同様に白色になることが示されているという。

最近では、ByteDanceはMetaとそのQuestラインとより直接的に競合する意図を示している。Picoはこの春、現行のNeo 3 Linkヘッドセットをヨーロッパで消費者向けに販売開始した。

VRコンテンツへの投資も本格化している。バイトダンスは先月、米国でPico Studiosというコンテンツ部門を構築していると報じられた。LinkedInで確認したところ、Picoがサンフランシスコ・ベイエリア、シアトル、サンディエゴで最大で40以上のポストを募集していたと確認されている(2022年7月23日時点で15のポストが募集されている)

雇用を兼ねた買収も視野に入れているようだ。VRコンテンツ制作会社にも「多額の資金」を提供するとしてアプローチしているという。

メタバースSNSに重点

バイトダンスは先月、バーチャルソーシャルプラットフォームを保有する「北京波粒子科技(PoliQ)」(以下、波粒子)を買収し、メタバースSNSを開発中だ。PoliQはユーザーが自分のアバターを作成できる、かつて人気のあった仮想社会プラットフォームVyouを運営していた。

中国テクノロジーメディア36krによると、PoliQのスタッフ約50人は新たに設けられたバーチャル SNS業務部門「Pico SNSセンター」の所属となり、PoliQの創業者である馬傑思が責任者を務めるという。

馬はシャオミのVR部門の元ディレクターで、2018年に中国のスマートフォンメーカーとヘッドセット大手Oculusとの協業を主導し、FacebookのOculus Goの中国版を発売、翌年には中国市場でベストセラーとなったVRデバイスの1つとなった。顔認証技術の「格霊深瞳(Deep Glint)」やVRヘッドセット「HTC VIVE」を提供する台湾の「HTC(宏達国際電子)」で働いた経験もある。

Pico SNSセンターはテストチームや研究開発の責任者のポストで月給は平均10万元(約200万円)、経験のあるSLAM(自己位置推定とマッピングの同時実行)のエンジニアには最高で20万元(約400万円)を提示している、と36krは報じている。

バイトダンスの重点はメタバースSNSに置かれているようだ。36krによると、今回のPoliQ買収前に、バイトダンスは中国で「派対島」、東南アジア市場「Pixsoul」という二つの「メタバースをコンセプトとするSNSアプリ」をリリース。「Pixsoulでは、ユーザーはAIによる顔加工効果を使い自分のアバターを作ることができる。また、派対島ではアバターを使って友だちとおしゃべりし、オンライン上で一緒にイベントに参加するといった機能がある」という。

外観設計特許も取得

出典:中国国家知識産権局(CNIPA)

バイトダンスの関連会社は先月、「VR(仮想現実)体験機」の意匠(外観設計特許)を取得した。ヘッドセットではなく設置型で、これをイベント会場等に設置して、コンシューマが体験する用途のものと考えられる。

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