Twitterの落城は近い?

イーロン・マスクがTwitterを買収して以来、同社の財務は打撃を受けている。売上は4割縮小し、コストは2〜3割増える見込みであり、近いうちに会社存続が危ぶまれる事態を迎える可能性はゼロではない。

Twitterの落城は近い?
2022年10月6日(木)、米カリフォルニア州サンフランシスコのTwitter本社。Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

イーロン・マスクがTwitterを買収して以来、同社の財務は打撃を受けている。売上は4割縮小し、コストは2〜3割増える見込みであり、近いうちに会社存続が危ぶまれる事態を迎える可能性はゼロではない。


同社の収益のほとんどを占める広告収益は落ち込みが激しい。米テクノロジーメディアThe Informationが水曜日に広告部門のトップであるクリス・リーディが社内会議で行ったコメントを引用して報じたところによると、以下の通り。

  • 同社の第4四半期の売上は前年同期比で約35%減少
  • 第4四半期の売上は10億2,500万ドルで同社の社内目標の72%にすぎない
  • マスクが2022年10月にTwitterを買収する前、同社の売上は当初の予想の98%だった
  • リーディは2023年の第1四半期に7億3,200万ドルの収益を上げたいと考えている
  • マスクがCEOに就任して以来、上位広告主のうち500社以上が離脱

調査会社「スタンダード・メディア・インデックス(SMI)」が最近発表した広告費レポートによると、マスクの買収が成立後の11月の広告売上は、前年比46%減となっていた。これは、漏洩したリーディの情報と符合する。

財務問題も深刻だ。Twitterは、今月の最初の利払い(総額約3億ドルと予想される)に十分すぎるほどの資金を持っている。しかし、マスクが買収に使ったレバレッジド・バイアウト(LBO)スキームはTwitterに125億ドルの債務負担を強いている。側近の財務担当者は、負債をマスクにテスラ株を担保とした融資へと切り替えることを提案したとされている。

マスクは、水曜日に行われたTwitter Spacesでの話し合いで、Twitterはキャッシュフローの損益分岐点を「ほぼ」達成する、と主張した。その他、以下のことを主張した。

  • 年間売上が約30億ドルに達する軌道に乗った。マスク買収前の6割の水準
  • ツイッターの純支出は来年、約60億ドルから65億ドルになる
  • 支出増の要因は、金利上昇の中で年間約15億ドルの利払いが必要になること
  • コスト削減努力がなければ、「年間30億ドルのキャッシュフローのマイナス」に直面していた

財務的な圧力の中で、さらなるレイオフが取り沙汰されている。米ビジネスメディアInsiderによると、プロダクト部門では、今後数週間のうちにさらに50人が解雇される予定という。海外オフィスと米国内のいくつかの小規模オフィスを閉鎖する計画により、さらに多くのレイオフが発生すると従業員は予想している。マスクは短期間のうちに従業員の7割をレイオフしたが、 追加のレイオフにより、同社はこの10年で最も小さい従業員規模になる可能性がある。2013年の上場時には2,700人の従業員がいると公表していた。

また海外オフィスにも大鉈が振るわれた。12カ所以上の海外オフィスが閉鎖済みかその過程にあり、米国内でも今後数週間のうちにさらに閉鎖が増える見込みだという。

Read more

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表 往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史
新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

新たなスエズ危機に直面する米海軍[英エコノミスト]

世界が繁栄するためには、船が港に到着しなければならない。マラッカ海峡やパナマ運河のような狭い航路を通過するとき、船舶は最も脆弱になる。そのため、スエズ運河への唯一の南側航路である紅海で最近急増している船舶への攻撃は、世界貿易にとって重大な脅威となっている。イランに支援されたイエメンの過激派フーシ派は、表向きはパレスチナ人を支援するために、35カ国以上につながる船舶に向けて100機以上の無人機やミサイルを発射した。彼らのキャンペーンは、黒海から南シナ海まですでに危険にさらされている航行の自由の原則に対する冒涜である。アメリカとその同盟国は、中東での紛争をエスカレートさせることなく、この問題にしっかりと対処しなければならない。 世界のコンテナ輸送量の20%、海上貿易の10%、海上ガスと石油の8~10%が紅海とスエズルートを通過している。数週間の騒乱の後、世界の5大コンテナ船会社のうち4社が紅海とスエズ航路の航海を停止し、BPは石油の出荷を一時停止した。十分な供給があるため、エネルギー価格への影響は軽微である。しかし、コンテナ会社の株価は、投資家が輸送能力の縮小を予想している

By エコノミスト(英国)