中国テックの黄金期は終わったか:テンセントの「18年ぶり減収」が示唆
テンセントの減収は、中国のテクノロジーセクターが享受してきた黄金期が、パンデミックと取り締まりの終了以降も復活することなく安定期へと入る、という見方を強く支持するものだ。
テンセントの減収は、中国のテクノロジーセクターが享受してきた黄金期が、パンデミックと取り締まりの終了以降も復活することなく安定期へと入る、という見方を強く支持するものだ。
テンセントは18日に報告した決算で、オンライン広告の売上が記録的に減少し、2004年の上場以来初の減収となった。同社は従業員の約5%にあたる5,000人を削減したと発表した。
テンセントは2021年10-12月期まで、上場以来一貫して、2桁台の収益成長を記録していたことが、同社のデータで明らかになっている。
テンセントのマーティン・ラウCFOは決算報告の電話会議で、減収を「短期的な収益の底打ち」と表現し、マクロ環境が改善したときに、効率化や収益改善施策による業績回復を推進し、当社がどのように収益成長を強化し、拡大していくことができると強調している。
ラウは、その根拠として、中国の規制環境は正常化へと徐々に向かっていることと、コロナの感染拡大と景気減速の影響を受けているがやがて解消することを主張している。
テンセントのライバルであるアリババもまた今月、四半期ベースで過去初の減収を記録しており、今回の減収はマクロ環境のような横断的な要因によってもたらされている可能性は高いだろう。
しかし、マクロ経済の混乱以前から、中国の巨大なインターネット産業は、10年間の自由奔放な拡張の後、穏やかな成長の新時代を迎えていた。中国テクノロジー企業は、政府による徹底的な取り締まりによって2021年の時価総額の合計が1兆ドル以上下落した後、過去の市場占有率よりも収益性に重点を置いている。
テックの黄金期の象徴的な人物であるジャック・マーは欧州にヨットを係留し、旅行しているようだ。その代わりに政府が注力する分野で新たな起業家の大群が台頭している。
長い繁栄の季節を経て、習近平政権の主軸はテックセクターではなくなった。技術トレンドに敏感な中国では、米ビジネススクール卒の世間知らずたちが褒めそやすデジタルプラットフォームはもはや時代遅れで、AI、半導体、IoT、クラウドコンピューティング、電気自動車(EV)、クリーンエネルギー、バイオ等が次の重点となっている。
新勢力の勃興は記録的だ。ブルームバーグによると、今年これまでに中国本土で行われた新規株式公開(IPO)で、企業は580億ドルという記録的な資金を調達している。さらに1,000社が株式公開のために列をなしているようだ。また、新たな大物経営者も誕生している。中国の10大富豪は2020年に入ってから正味1,670億ドルの富を蓄積している。