2021年の世界のベンチャー投資額、前年比2倍の74兆円
2021年の世界のベンチャー投資額は驚異の6,430億ドル(74兆7,300億円)に達した(Crunchbase調査)。2020年の3,350億ドルと比べ92%の成長。10年前の10倍以上に増加した。
Crunchbaseが1月5日発表したレポートによると、 2021年の世界のベンチャー投資額は驚異の6,430億ドル(74兆7,300億円)に達した。
2020年の3,350億ドルと比べ92%の成長。10年前の10倍以上に増加した。過去3年間のベンチャー資金総額はいずれも3,000億ドル前後で推移していた。
この数字は、この1年でスタートアップの資金調達環境が劇的に変化したことを示している。パンデミックから約1年が経過した2020年末の時点では、世界のベンチャー投資の成長率は前年比4%程度だったと考えられる。
以下、Crunchbaseの報告の要約
- レイトステージ(後期段階)およびグロースステージ(成長段階)のスタートアップ企業は、前年よりも1,960億ドル多く調達し、シリーズC以降で投資された世界のベンチャー資金は合計4,130億ドルに達した。
- アーリーステージ(初期段階)の投資は、昨年の調達額が2020年に比べて1,000億ドル増加し、合計で2,010億ドルを調達した。
- シードステージ(最初期段階)のスタートアップは、2021年に100億ドル多く資金を調達し、総額294億ドルとなった。
- 2021年には企業価値10億ドル以上の未公開企業である「ユニコーン」が毎週平均して10社以上が誕生した。年末時点でユニコーンは1,148社に達し、2021年には約1.8兆円の価値が追加されたことにもなる。
- 金融サービス業は、2021年に他のどの業種よりも多くのベンチャー投資を集め、主要産業の中で最も前年比成長率が高く、次いでヘルスケア、Eコマース、運輸の順となった。
- 中南米のスタートアップへのベンチャー資金は、2021年に最も成長し、196億ドル近くが投資され、前年比で300%以上の成長となった。
- 2021年には、記録的な数のベンチャー企業が株式を公開した。多くの企業が巨額の評価額で上場し、10億ドル以上の評価額で上場した企業は、2020年の61社に対し、2021年は238社となった。
2022年は調整があるか?
この成長は、2021年に上昇した投資水準を、金利が上昇し始めた2022年にも維持できるかどうかなど、いくつかの疑問点を提起している。これまでのゼロ金利に近い環境では、適切なリターンを求める投資家は、より多くのリスクを取らざるを得なかった。1月5日、FRBが今後数ヶ月のうちに利上げを行う可能性が高まっていることから、環境は変化していくでしょう。
関連した問題として、ベンチャー投資の莫大な増加がリターンを低下させるかどうかということがある。昨年、ベンチャー企業の評価額は急上昇し、時には異常なレベルにまで達した。取り残されることへの恐れ(FOMO)に取り憑かれた投資家がデューデリジェンスを軽んじる場合が多々あったようだ。
これらはすべて、投資家にとってのリスクの増大につながる。実際、昨年のIPO(初期投資家にとっての出口)は期待外れに終わった。
https://www.axion.zone/2021ipo6/
5日のテクノロジー株の売りは、それをさらに際立たせた。一例を挙げよう。Robinhoodは、IPO価格を58%下回り、プライベート市場で最後に株式を販売した価格よりもわずかに高いだけだ。昨年のベンチャー界は、1年中パーティー状態だった。今は二日酔いだ。