半導体の対中禁輸は逆効果:孤立が独自の技術革新を促進

中国が西側諸国の技術なしでは作れないはずだった、半導体と5G機能を作ったことで、「孤立化が中国の独自技術の発展を招く」という大手企業や業界団体の主張が、急速に力を持ち始めている。

半導体の対中禁輸は逆効果:孤立が独自の技術革新を促進
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中国が西側諸国の技術なしでは作れないはずだった、半導体と5G機能を作ったことで、「孤立化が中国の独自技術の発展を招く」という大手企業や業界団体の主張が、急速に力を持ち始めている。


先週、世界有数のチップ製造装置メーカーであるASMLの最高経営責任者(CEO)、が、中国に対する新たな輸出規制の可能性について懸念を表明した。オランダのテレビ番組『Nieuwsuur』とのインタビューで、ピーター・ウェニンクは、中国を完全に孤立させることは逆効果であり、中国はイノベーションを加速させることになると強調した。

ウェニンクは、9月上旬の独ミュンヘンでの自動車見本市で中国EVの大量出展が欧州の危機感を煽ったことを例に挙げ、「14億人もの人々がいて、その多くが優秀であるため、彼らは我々が考えもしなかった解決策を考案するだろう。(禁輸措置は)彼らに非常に革新的であることを強いるのです」とウェニンクは述べた。

ウェニンクの発言は、先週のファーウェイのスマートフォンに搭載された7nmプロセスで製造されたとみられる半導体に言及したものだ。当初、中芯国際集成電路製造(SMIC)は経済性の悪い手法で、このチップを製造したと見られていたが、一部の識者は歩留まりが10%に留まっていると主張している。AppleがTSMCの実験台となって最新プロセスの立ち上げと高歩留まりの達成を支援しているように、ファーウェイも同じようにSMICを支援するだろう。

ファーウェイの最新チップの衝撃:禁輸が中国の独自技術成長促す
欧米日の禁輸措置のなか、ファーウェイの最新スマートフォンと半導体が重要な技術ベンチマークを実現したことが確定的だ。輸出規制は裏目に出て、自主開発を促し、中国の半導体技術の「独立」を加速させたのかもしれない。

自国で独自発展するチップ産業

ウェニンクの懸念は、珍しいものではない。NVIDIAは8月、米国の中国向けチップのさらなる輸出規制は、世界最大の市場の一つでリードする米国の半導体企業にとって「永久的な損失」になる危険性があると新たな警告を発した。同社CEOのジェンスン・フアンは5月には米国の半導体輸出規制が、中国企業に利していると訴えていた。中国では、莫大な補助金と海外投資マネーによって、NVIDIAの対抗馬たちが育っている。

米国の輸出規制が「中国版NVIDIA」を育てている?
米半導体大手NVIDIAのCEOであるジェンスン・フアンは米国の半導体輸出規制が、中国の地場半導体企業に利していると訴えた。中国では、莫大な補助金と海外投資マネーによって、NVIDIAの対抗馬たちが育っている。

韓国では、大手議員でサムスン電子の元常務で国会議員の梁香子(ヤン・ヒャンジャ)が、フィナンシャル・タイムズに、アメリカの圧力が強まれば強まるほど、中国は自国の産業に対して「より多くの国家的支援を提供する」ようになるだろうと語った。「米国が中国を制裁すればするほど、中国は急速な技術進歩を遂げようとするだろう」

7月には、インテル、クアルコム、エヌビディアの幹部たちが米国の高官と面談し、中国に関する政策を議論し、ワシントンが対中チップ制限を強化する可能性に対してロビー活動を展開した。この会合の後、米国で最も強力な半導体ロビー団体である半導体産業協会(SIA)は、中国に対するチップ規制を強化することは、自国のチップ産業を強化しようとするジョー・バイデン大統領の努力を台無しにすることになりかねないと警告した。

調査会社Futurum Groupのダニエル・ニューマンCEO兼主席アナリストは、6月にCNBC に「私は、次世代技術を構築する方法を見つけ、遅れている技術を活用して本当に重要な製品を製造する中国の能力と決意を過小評価していない」と述べていた。

中国は産業政策を加速

中国政府は半導体産業支援のために第3弾の「国家IC産業投資基金(通称ビッグファンド)」を始動する予定である、とロイターは最近報じた。400億ドル規模という。この新ファンドは、2014年と2019年にそれぞれ1,387億元と2,000億元を調達した前身ファンドを上回る、3つのファンドの中で最大規模のものになると予想されている。中国の「メイド・イン・チャイナ2025(中国製造2025)」と第14次5カ年計画は、いずれも半導体に焦点を当て、2025年までにチップの自給率を70%に引き上げるという目標を示している。

新アメリカ安全保障センターのシニアフェローで、元米国貿易当局者のエミリー・キルクリースは、ニューヨーク・タイムズに、もし北京が年間4,000億ドルのチップ輸入費を国内産業に振り向ければ、中国は「ようやく追いつく手段と動機を手にすることになる」と指摘している。

米の業界団体「米半導体工業会(SIA)」の情報によれば、ファーウェイは昨年、半導体の製造を開始し、政府や地元深圳市から約300億ドルの資金援助を受けた。また、SIAの発表によると、ファーウェイは2つのファウンドリー(チップ工場)を買い取り、さらに3つの新しいファウンドリーを建設していることが判明した。この情報は、ブルームバーグによって確認されている。SIAの主張が正しく、ファーウェイが目立たないように別の企業名でこれらの施設を買収・建設しているとすれば、現在制限されている米国のチップ製造設備や供給品を間接的に購入する可能性がある。

中国は国内半導体分野に積極的な投資を計画している。中国は2014年から2030年までに1,500億ドル以上を半導体に投資する、とSIAは予想している。

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