政府のコンサル依存、脱却論が台頭―組織が衰え、利益相反の恐れも
2022年9月12日(月)、米フロリダ州デイトナビーチのボルシア郡保安官事務所証拠施設にて、押収されたヘロインが入った証拠袋。トーマス・シモネッティ/ブルームバーグ

政府のコンサル依存、脱却論が台頭―組織が衰え、利益相反の恐れも

各国政府のコンサル依存の脱却を求める声が高まっている。外注に依存する余り、専門知識を蓄積しなくなり、組織の衰えがみられる。世界中のあらゆる会社・機構と結びついているコンサルの潜在的な利益相反も無視しがたい。

吉田拓史

各国政府のコンサル依存の脱却を求める声が高まっている。外注に依存する余り、専門知識を蓄積しなくなり、組織の衰えがみられる。世界中のあらゆる会社・機構と結びついているコンサルの潜在的な利益相反も無視しがたい。


マッキンゼーの評判を損ねた米国の薬物乱用危機で、同社が陰ながら手を付けた新たな不品行が見つかった。3月初旬に公開された文書によると、マッキンゼーはパーデュー・ファーマやエンドなどの企業に、顧客でもある退役軍人会に医療用麻薬「オピオイド」入り鎮痛剤を販売する方法を助言していたことが判明した。マッキンゼーは「ある顧客に対して麻薬を売ることで、麻薬の製造元である別の顧客を支援する」という利益相反を否定している。

オピオイド危機は凄惨を極めている。米国におけるオピオイドが関連する薬物過剰摂取による死亡は、1999年の3,442件から2017年の17,029件に増加し、以降同水準をたどっている。大統領経済諮問委員会の報告書は、オピオイド危機が2015年に米国経済に与えた費用を540億ドル(国内総生産の2.8%)と推定された。

この渦中で、オピオイドの販売促進を助言していたマッキンゼーは、2021年に「致命的な麻薬」の蔓延に関与したとして、米国の49の州と 6億ドル近くを支払うことに合意していた。

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