中国の不動産ローンボイコットが再組織:経済危機の引き金引くか?
中国での住宅ローンボイコット運動は、当局が支援策で危機を食い止めようとしているにもかかわらず、勢いを増している。キャッシュフローを失った不動産プロジェクトが塩漬けになれば、経済システムを揺るがす可能性がある。
中国での住宅ローンボイコット運動は、当局が支援策で危機を食い止めようとしているにもかかわらず、勢いを増している。キャッシュフローを失った不動産プロジェクトが塩漬けになれば、経済システムを揺るがす可能性がある。
中国では住宅の建設前の先払いが一般的で、デベロッパーはこのキャッシュフローと負債によって、住宅を大量に建築してきたが、昨年からバブルが崩壊し、デベロッパーの資金繰りが悪化したため、不動産ローンを支払い続けているが完成した住宅を手に入れられない市民が急増した。
この市民がインターネット上で全国的に組織化し、ローン支払いのボイコットを行い、不動産危機を悪化させるばかりか、日本のバブル崩壊に似た経済危機の引き金を引きかねない状況だ。
住宅ローンへの抗議は、6月下旬にソーシャルメディアを通じて推進され、中国では珍しい市民的不服従の行為となり、規制当局は住宅購入者に最大6カ月間のローン支払い停止と建設促進を約束するために奔走することを余儀なくされた。
ソーシャルメディア上の検閲により、抗議活動のメッセージはブロックされ、動画は消去され、ほとんど世間の注目を浴びることはなかったが、それでも不買運動は拡大した。
新たに使われるようになったGitHubアカウント「WeNeedHome」によると、住宅購入者は9月12日時点で119都市で342件のプロジェクトをボイコットしており、8月上旬の100都市での約320件から増加していることが明らかになった。河南省、陜西省、湖北省、湖南省でのボイコット数が多い。
中国の住宅購入者の多くが住宅ローンの支払いを停止してから2カ月、当局の保証にもかかわらず、より多くの現場で進展がないため、ボイコットが強まる恐れがある。
コロナは中国国民に新たなプレッシャーを与えた。断続的に続く厳しい都市封鎖は、警察に講義するある市民の「私たちは最後の世代になるでしょう」という言葉の流行を呼び、「润学」という「海外移住の学問」を意味するネットスラングの流行を引き起こした。一部の市民は海外移住の可能性を探っているのだ。
かつての日本の「土地神話」に似た高騰し続ける不動産市場の崩壊は、住宅を持ち、その住宅が値上がりすることで富を増やすという中国人の常識を壊した。これは、長期に渡る経済成長で求心力を得てきた中国政府の信頼をも失墜させかねない。
ボイコットによって圧力を受ける、不動産プロジェクトの停滞は、中国経済と金融システムを揺るがしかねない。ブルームバーグエコノミクスのチーフエコノミスト、トム・オーリックは、中国本土に調査員を派遣して取得した過去のデータでは、プロジェクト開始から3年後には80%の完成率があったが、2021〜2022年のデータを見ると、完成率は50%まで下がっている、と指摘した。
「今、未完成の物件に付いている抵当権の価値は約1兆6,000億元であることが分かりました。これは中国のGDPの約1.4%に相当し、中国経済や金融システムのシステム的な問題になるほどの規模であることは間違いありません」とオーリックはポッドキャストでのインタビューで語っている。
中国政府はより強い対策を取らざるを得なくなっているだろうか。