日立、さらなる海外IT企業買収でアクセンチュア化

日立は2021年の95億ドル買収に続き、さらなる海外IT企業の買収に意欲を示している。世界的なITサービスへの需要が高まる中、日立は組織を再編しながら「アクセンチュア化」を進めている。

日立、さらなる海外IT企業買収でアクセンチュア化
2019年10月30日(水)、東京で行われた記者会見で話す日立製作所の小島啓二執行役副社長(現社長)。Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日立は2021年の95億ドル買収に続き、さらなる海外IT企業の買収に意欲を示している。世界的なITサービスへの需要が高まる中、日立は組織を再編しながら「アクセンチュア化」を進めている。


日立製作所の小島啓二社長はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、2021年にシリコンバレーのソフトウェアエンジニアリング企業であるグローバルロジックを95億ドルで買収したのに続き、米国でもクラウドサービスにおける新たな買収ターゲットを積極的に探していると述べた。FTへの発言は、世界中の潜在的な買収対象へのシグナルに成ることを意図しているようだ。

日立の新社長、Lumadaを立ち上げた小島啓二副社長が昇格へ 「日立を社会イノベーション事業のグローバルリーダーに」
株式会社日立製作所(以下、日立)は12日、小島啓二副社長が社長兼COOに就任する人事を発表した。2021年6月23日の定時株主総会後に就任する。東原敏昭社長兼CEOは、5月12日付で会長兼社長兼CEOに、また6月23日には会長兼CEOに就任する。なお、中西宏明会長は5月12日付で相談役に就いた。

2021年に買収完了したグローバルロジックは、買収当時、世界中のエンジニアリングセンターやデザインスタジオで働く21,000人以上の従業員を擁しており、これが日立に加わった。

しかし、日立はまだまだ、雇用を拡大する目論見のようだ。小島はFTに対して、米国のハイテク産業のコスト削減により、日本企業には技術者を獲得する「大きなチャンス」があると語った。日立は2025年3月までの3年間、デジタル戦略への投資として5,000億円を確保し、その分野で働く人材を3万人雇用する計画で、グローバルロジックはすでに東欧や中南米を中心に毎月約1,000人を採用しており、最近もルーマニアとウルグアイの2社を買収しているという。

2022年6月に公表したデジタル・セクターの経営目標には、Lumada海外売上収益比率を35%から50%に拡大させることと、Lumada事業の売上収益を1兆4,000億円から2兆7,000億円に拡大することが盛り込まれた。

情報科学の博士号を持ち、同社のソフトウェア事業の「Lumada」を立ち上げた、小島はアクセンチュアをベンチマークにしている。アクセンチュアは、デジタル領域を中心にコンサルティングからシステム開発までを一貫して手掛けるビジネスモデルを採用し、近年急速に成長。2022年通年の売上収益は616億ドルに達し、従業員数は驚異的な73万8,000人に達した。この領域はデジタル・トランスフォーメーション(DX)の流行によってホットであり、マッキンゼーのような戦略コンサルティングファームですら、デジタル分野のサービスとのパッケージを売るようになった。

また、小島は、FTに対し、日立とホンダの自動車部品子会社による合併で生まれた日立アステモの株式を、海外のプライベート・エクイティ(PE)に売却する予定だと述べた。日立が3分の2を出資するこの部門は、2023年度にファンド投資家を募集した後、今後2~3年での上場を目指す予定だ。日立のような複合企業に子会社を切り離すニーズが生じることによって、日本のPE市場はブームを経験している。

日本のプライベート・エクイティに黄金期が来ている
日本のプライベート・エクイティ(PE)業界に黄金期が来ている。老舗財閥企業が系列を切り離す欲求を持っており、日本企業では引き受けられない大型案件が、海外勢に広範な機会を与えている構図だ。

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